窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「アルキメデスの大戦」(BD)

フルーレイ視聴。

雑感

浜辺美波が見たくて借りてきたようなもの。うーん、何度見返しても美谷時乃と同一人物だとは思えない。

作品としては昨年夏に見たばかりだが、相変わらず面白い。菅田将暉柄本佑の「バディもの」という見方もできると思うがこの二人の掛け合いもいい。終戦時に田中正二郎が生きていたのか気になる。

戦争は悲惨だ、戦争は厭だ、二度と戦争を起こしてはならない。誰もが言うし、そして恐らくそう口にする人の大部分は心底そう考えているのだろう。が、戦争(大東亜戦争)を起こさないためには、あの時こうすべきだった、あそこでこういう選択をすればよかったのだ……という分析を、寡聞にして聞いたことがない。しかし、それがわからない限り、再発を防ぐことはできないはず。

この映画の冒頭は終戦間際だが、それは別にして、本作の肝の部分は大戦前である。しかし、この時代まで来てしまうと、誰が何を言ってももう大戦に突入することは不可避だったように思える。止めるならその前(それがいつかはわからないが)。ここまで来たら、戦争を少しでも早く、有利に、終えることを考えなければいけないということか。

アルキメデスの大戦 Blu-ray 通常版

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  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: Blu-ray


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(2020/4/1 記)

「アリバイ崩し承ります」第三回「美人姉妹のアリバイ」

出演(ゲスト)

  • 住田紗里(河谷敏子、ピアノ講師)←クレジットなし
  • 橋本マナミ(河谷純子、敏子の妹・ホステス)
  • 木村了(芝田和之、マッサージ店店長)

概要

河谷敏子の死体が自宅で発見された。発見者は教室を訪ねてきた生徒。教室には鍵がかかっており、出入りできるのは教室の生徒か妹のみ。妹の純子は死亡推定時刻には寝ていたというが、寝ていたことを誰も証明できない……

雑感(ネタバレあり)

これまで2回は「アリバイ崩し」だったが、今回は「アリバイ探し」。

相変わらず杜撰な操作である。教室に出入りできるのは生徒と妹だが、妹が犯人の可能性が高いとなった時点で生徒の調査をやめてしまうし。そもそも死体のあった部屋から、指紋そのた犯人の遺留品が何も出て来なかったのか。ピアノ教室ゆえ防音設備が整っていて、音漏れはなかったという説明はあったが。

動機も少々唐突過ぎる。敏子と芝田が付き合っていた、というなら、何かそれを匂わすものがほしかった。まあ、それは言わない約束の物語なのかも知れないが。

渡海雄馬は当初は単にイヤな奴と思っていたが、察時美幸の手柄と自分らの不手際を素直に認められる点は好感が持てた。しかし美谷時乃に首ったけというのは……ドラマに登場する女性が彼女一人だからそうなってしまうのは致し方ないのかも知れないが、もう少し身元の確かな女でなくてよいのか。

浜辺美波の入浴シーンは毎回のお約束なんだな。イマイチ色っぽくないが、健康的なところがよいのだろう。

配役

  • 住田紗里はテレビ朝日のアナウンサー。異色の起用だし役どころもそれなりに重要と思うが公式サイトにはクレジットなし。エンドロールも名前だけ。多分河谷敏子役をやったのがこの子だと思うよ多分……
  • マッサージ店の客で諸井役をやった女優はふせえりだと思ったがエンドロールにも名前なし。ふせえりが出れば名前が出ないわけがないから、別の役者か……


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(2020/3/3 記)

「ラストラバー」

いわゆる自主製作映画。こういう映画を見られるようになったのは、映画そのものを見る回数が増えたからである。その意味で感慨深い。

題名ラストラバー
監督・脚本岡元雄作
出演優美早紀(松本美優)、安藤慶一(長谷部光希、美優の彼氏)、金久保マユ(松本乃々、美優の妹)、新井敬太(小西瑛太、ストーカー)、大山真絵子(橋田恵美、美優の職場の先輩)、根矢涼香(星野朋子、美優の職場の同僚)、藤田健彦(飯島晴信、美優の職場の上司)、中野将樹(金剛猛、お祓いをする寺の住職)、山口祥平(尾瀬太志、オタク)、鏑木悠利(公園のおばちゃん)、室上茂(管理人)、泉光典(運送会社社員)、他
公式サイト映画「Last Lover ラストラバー」公式サイト 1月31日~テアトル新宿他 順次全国公開
制作日本(2020年1月31日公開)
時間??分
劇場テアトル新宿(劇場1)

概要

美優は光希と仲良く一緒に暮らしていたが、ある日事故で光希が死んでしまう。落ち込む美優。その後、美優のまわりでは不可思議な現象が起きるようになる。お寺に相談しお祓いをしてもらうもあまり効果なく、美優は自分が霊感体質のため悪霊を引き寄せてしまったのではないかと悩むが、正体は光希だった。光希は美優に未練があって死に切れず、地縛霊となって戻ってきたのだ。

喜ぶ美優と再び同棲生活が始まるが、幽霊との生活は楽しいことばかりではなかった……

雑感

1月にテアトル新宿で映画を見た時に、予告編を見て印象に残り、見たいな、と思っていた。ちょうど最終日に時間が空いたので、急遽見に行くことに、会社を出る前にチケット予約をしたら、普通は後ろの座席から埋まっていくものなのに、前から埋まっていたため驚いた。こんな前では画面が見にくいだろうに……と思ったら、なんと舞台挨拶があるのだった。ナットク。*1
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恋人が死んだら誰だってショックだ。病気で、長い療養生活の果てに、とでもいうなら、覚悟ができているかも知れないが、事故で突然ともなればなおさらである。ただ、では生き返ってくれたら幸せか、といえば、難しいところだ。本当に生き返ってくれたらよいが、本作のコウちゃんの場合は地縛霊である。

美優の側からすると、とにかくキスができない、抱きしめることができない。それだけのために付き合っているわけではない、という向きもあるかも知れないが、恋人と友人や家族の一番違うところでもあるわけで、ただ顔を見て話をするだけで満たされるものなのか。

光希の側からすると、とにかくこの家から出ることができないというのはたいへんなストレスだろう。売れない役者という設定だが、いくら練習しても舞台に立つことはできない。自分の未来や将来に何の夢も持てなければ漫画を読んでいても楽しくないだろう。

美優が飯島晴信からセクハラを受けた時、そのことを光希に言わなかった。そもそも飯島と飲みに行ったことを女性の友人と飲みに行ったとごまかした。この時点では本当は嘘をつく必要はなかった。「コウちゃん聞いてよー、上司が話があるっていうから仕事の話かと思ったらいきなり口説いてきたんだよー」と話せばよかった。あとでそのことを責められた美優は、光希が心配すると思って言えなかったと答えたが、この頃から光希に頼りないものを感じ始めていたのではないか。

自分の父親は、高校生の時に死んだ。もし生き返ってほしいかと言われたら、一日だけ、あるいは2時間だけならぜひ会って、一度くらい酒を酌み交わしてみたい。でもその一日(あるいは2時間)だけで結構だ。
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映画のパンフレットは買わない主義だが、今回はもちろん購入。主演の二人にサインしていただいた。


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(2020/3/31 記)

*1:自分は舞台挨拶があると知らずに席を取ったが、わかっていてもやはり同じ席を取っただろう。自分が取った席は、舞台挨拶の時には役者さんの顔はほとんどわからなかったが、スクリーンはとても見やすかった。まあ、もし登壇するのが能年玲奈広瀬すずだったら最前列に席を確保したかも知れないが。

「嘘八百 京町ロワイヤル」

見たのは2月10日。珍しく一日二本。せっかくの休みなので本当は三本か四本見るつもりだったが、体力が持たない。

題名嘘八百 京町ロワイヤル
監督武正晴
出演■小池の関係者/中井貴一(小池則夫、古美術商)、森川葵(大原いまり、則夫の娘・占い師)、ブレイク・クロフォード(ピエール、調査員)、塚地武雅(田中四郎、学芸員
■野田の関係者/佐々木蔵之介(野田佐輔、陶芸家)、友近(野田康子、佐輔の妻)、前野朋哉(野田誠治、佐輔の息子・特殊メーキャップアーティスト)、浜村淳(ギャラリーオーナー)
■テレビ局/吹越満(青山一郎、プロデューサー)、坂田聡(内村、ディレクター)、冨手麻妙(マリ、アナウンサー)
■居酒屋「土竜」/木下ほうか(西田、筆跡偽造の達人)、坂田利夫(よっちゃん、紙偽造の達人)、宇野祥平(材木屋、指物偽造の達人)
■古美術店「嵐山堂」/加藤雅也(嵐山直矢、二代目社長)、山田雅人(番頭)、国広富之(橘正志、元番頭)
■その他/広末涼子(橘志野、依頼人)、山田裕貴(牧野慶太、陶芸王子)、竜雷太(億野万蔵、鑑定家)、桂雀々(後醍醐、文化庁文化財部長)、他
公式サイト映画『嘘八百 京町ロワイヤル』 公式サイト
制作日本(2020年1月31日公開)
時間106分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン3)

概要

正直なところ筋はよくわからなかった。前作を見ていないため、基本的な世界観がよくわからない。小池則夫と野田佐輔は詐欺師なのかと思ったがそういうわけでもないようだ。とはいえ偽造の専門家を仲間に持ちいろいろと策を弄するので真っ白というわけでもない。何をすると勝ちになるのかはっきりとわからないまま最後まで見ていた。とはいえ、まあそれはそれで面白かったが。

雑感

ヒロスエもトシとったなー、というのが一番の感想。23年前の17歳の時から見ているので、時の流れを感じるのは当然だが、本作では「一目あった男が誰でも思わず惚れ込んでしまう着物美人」という役。果たして今のヒロスエがそこまでの美人かな、と思わなくもない。

ラストシーンで橘志野が乗り込むのはダイヤモンド・プリンセス号だったかな。ちょうど新コロナウイルス騒ぎで注目が集まっていた時だったから、驚いた。

映画の感想としてこれだけというのは申し訳ないが、見てから感想を書くまで一ヵ月半も経ってしまったため、詳細は覚えていないのだ。

嘘八百 京町ロワイヤル

嘘八百 京町ロワイヤル


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(2020/3/30 記)

「ヲタクに恋は難しい」

題名ヲタクに恋は難しい
原作ふじた(漫画)
監督・脚本福田雄一
出演高畑充希(桃瀬成海、腐女子)、山崎賢人(二藤宏嵩、桃瀬の幼馴染・ゲーマー)、斎藤工(樺倉太郎、桃瀬・二藤の上司)、菜々緒(小柳花子、樺倉の彼女・コスプレイヤー)、賀来賢人(坂元真司、二藤の同僚・アイドルオタ)、今田美桜(森田悠季、桃瀬の同僚)、若月佑美(未来、桃瀬のオタ友)、ムロツヨシ(バーのマスター)、佐藤二朗(石山邦雄、桃瀬・二藤の先輩)、内田真礼(本人役)、他
公式サイト映画『ヲタクに恋は難しい』公式サイト
制作日本(2020年2月7日公開)
時間114分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン10)

概要

桃瀬成海は腐女子であることが理由で失恋したことがあり、相手が職場の同僚だったため居たたまれずに転職。新しい職場では自分のオタク趣味は一切秘密にしている。ただし幼なじみで自分の趣味も熟知している二藤宏嵩だけは別で、自分の趣味を隠すことなく話せる相手として貴重な存在だと思っている。そんな二藤から告白され、付き合うことになったが、「恋人」としての距離の取り方がよくわからない二人は……

雑感

ストーリー展開は納得のいくものであり、ギャグはそれなりに笑えた。全体のテンポもよく、まずまずよくできた作品だった、というのが総論。

ネットを見ると厳しい評価が多いようだが、大部分は原作ファンのように思われる。これまでも何度か書いているが、原作ファンから見た時に、あれが違うここがおかしいという箇所は山ほどあるだろう。ただ原作をできる限り忠実になぞることが必ずしも正しいわけではなく、映画には映画の面白さがあるはず。端的に言えば、原作を知らない人が見て面白かったら、それは映画としてはいい作品なのだ。

自分はオタクという言葉が市民権を持ち、このような意味で定着する過程をリアルタイムで目撃している。恐らくオタク第一世代である。もっとも当初の「オタク」は蔑称で、だから悪口として使われることがほとんどであり、自分で自分のことを卑下して言うこともないではないが、あまり一般的ではなかった。現代では自分で「ゲーオタ」だとか「ドルオタ」だとか言っているのを聞くと、隔世の感がある。

コミック・マーケットも既に存在していたが、当時はコミケとは言わずコミケットと呼ぶのが普通だった。もちろん当時ビッグサイトはないし、内容も今のものとはかなり違っていたはずである。

僕は過去にはオタクだと言われてもおかしくない時代がないではなかったが、少なくとも今は、現在の意味でのオタクではなく、オタクの文化・風習というものについては(全くとは言わないが)ほとんど知らないと言っていい。だから、この映画で描かれているオタクの生態というものにはすごく興味を感じたし、それだけでも十分見応えがあった。もっとも、福田雄一はオタクを知らないし本作でオタクの何たるかがわかった気になられては困る……といった意見もあるようだが。

配役

  • 佐藤二朗のキャラは「女子ーズ」のチャールズにそっくり。その時まで本作が福田監督作品だと知らず、あとで知ってナットク。

ヲタクに恋は難しい: 1 (comic POOL)

ヲタクに恋は難しい: 1 (comic POOL)

ヲタクに恋は難しい: 2 (comic POOL)

ヲタクに恋は難しい: 2 (comic POOL)

ヲタクに恋は難しい: 3 (comic POOL)

ヲタクに恋は難しい: 3 (comic POOL)


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(2020/3/28 記)

「麒麟がくる」第四回「尾張潜入指令」

出演

  • 松平竹千代(岩田琉聖)

あらすじ

  • 1548年、小豆坂の戦い三河で織田と今川軍が激突。
  • 十兵衛は鉄砲の試射を繰り返すが的に当たらない。藤田伝吾に「戦では使えない」と言われてしまう(番組ラストでようやく命中する)。
  • 小見の方の具合もだいぶ良くなってきたため、望月東庵は京に帰ることになった。利政が京へまっすぐ帰るのか、どこかへ寄り道するのかと尋ねるとまっすぐ京へ帰るという。「この利政に嘘は通じませんぞ」と言って、東庵はこれから尾張に行くつもりであろうこと、東庵と織田信秀はかねてより昵懇で、たびたび双六をする仲であり、しかも十貫という借金を抱えていること、信秀が東庵を呼んだのは、先の小豆坂の戦いで傷を負ったからではないかと喝破する。
  • 信秀を診たら病の具合を報告せよと迫る。東庵は最初は拒否するが、命を取ると言われれば承知するしかない。代わりに織田からの借金十貫を用立てろと条件を出す。
  • 尾張に行った東庵は、信秀に「利政に何か言われたのでは?」と訊かれると密命の内容をぺらぺらとしゃべってしまう。
  • そこに農民に扮した十兵衛と菊丸がやってくる。東庵は、信秀は戦で流れ矢が当たり、そこから毒が回って既に手遅れであると十兵衛らにひそかに告げる。
  • 東庵を待つ間、織田家で竹千代と出会う。竹千代は十兵衛らに助けを求めるが十兵衛は断わる。
  • 信秀は、東庵の元に来た二人の農民が怪しいとにらみ、斬り捨てるよう配下に告げる。が、二人が襲われた時に手助けをする集団があり、命拾いをする。
  • 美濃へ帰った十兵衛は東庵から聞いた信秀の様子を利政に伝える。利政は小躍りして喜ぶ。
  • 十兵衛が駒に「京へ帰っていいですよ」と告げると駒は「十兵衛さまは私が京へ帰ってもいいのですか」と逆ギレ。
  • 本能寺が登場。本能寺では将軍家に命じられて鉄砲の製造を行なっているというのだ。この時代の本能寺は、軍事基地としての側面もあったか。信長が常宿としたのはそういう理由もあった?

雑感

東庵を通じての利政と信秀の駆け引きが見事。利政は、十兵衛の「京の名医です」という言葉を信じなかったわけではないのだろうが、ちゃんと身元を調べるあたり、さすがは殿さまだというか、恐ろしいというか。そして医師という立場を利用し信秀に対するスパイに仕立てようとする。信秀も、利政ならばそうするだろうと読んでいて、東庵に、自分のことを探るように言われているのだろうと迫る。ここまでは両者とも見事。

わからないのは、

  1. 数ヵ月美濃に滞在して、美濃の生活や政治形態など、それなりに詳しく知った東庵を、信秀と親しいとわかっていてなぜみすみす尾張に行かせたか。美濃の様子をしゃべられては困るのではないか?
  2. 東庵がスパイだとわかった信秀は、どのような措置を取ったのか? 東庵に「わしが助からないと利政に言え」くらいのことは言ったのではないか? 利政は十兵衛を通じて信秀が重篤だと知り喜ぶが、それが事実だとどうしてそう簡単に信じられるのか?(もっとも、ちょっと蹴鞠をしただけで汗をかき、水をがぶ飲みしたとか、夜うなされるとか、病気の兆候を示すフラグはいくつか立っていたが)
  3. もともと信秀の様子を見たら再び美濃に帰って利政に報告するという手はずだったはず。そのために駒を人質に取っていたのではなかったか。それなのになぜ十兵衛らはわざわざ尾張に侵入したか。助かったからよいが、一歩間違えば命がないところだった。(駒を人質から解放させるためか?)
  4. 東庵先生は尾張から、もう二度と出られないのではないか。美濃はもちろん京に帰ることも許されないのでは……僕が信秀ならそうするが。

雑感(その他)

  • 小豆坂の戦いの結果は痛み分けというが、戦場にされた三河は痛いだけだろう。弱小国はつらい。この戦いには井伊谷の人も多数招集されていたんだろうな。そして何人もの男衆が死んだんだろうな……
  • 十兵衛が前回鉄砲を撃って一発で当てたのはまぐれだったのか?
  • 当初は東庵と駒は一緒に京へ帰るつもりだった(少なくとも駒はそうするつもりだった)。帰蝶から、せっかく仲良くなれたのに寂しい、駒だけ残ってはどうか、と言われた駒は、そう言ってくださるだけで十分です、東庵先生は自分がついていないともらったお金をみんな賭け事につぎ込んでしまうから、そばにいないとダメなんです、と言って「囲碁、双六、闘鶏、足相撲」と例を挙げる。最初の三つはわかるが足相撲ってナニ?
  • 菊丸は何者だとネットで話題になっているが、え、ただの農民ではないの? 何者かなの?

今日の菊丸

「わしも三河の者ですから、今の方(竹千代)の気持ちはよくわかります。三河は小さな国ですから、駿河尾張のような国に寄り添わないとやっていけないのです。幼い若君様を人質に出しても……くやしいけど……」


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「アリバイ崩し承ります」第二回「ストーカーのアリバイ」

出演(ゲスト)

概要

殺人事件発生。被害者は浜沢杏子、包丁で胸を刺されていた。胃や腸の中の残留物およびSNSでの投稿から、死亡推定時刻は19時半とされた。第一発見者は翌朝訪ねてきた弟。犯人は元夫の菊谷吾郎だという。別れた後も杏子にたびたび無心しており、ストーカーと化していたというのだ。察時美幸も菊谷が犯人だと判断するが、18時から22時まで鉄壁のアリバイがあった……

雑感(ネタバレあり)

相変わらず杜撰な捜査である。菊谷が怪しいからといって、捜査の初期段階で菊谷に絞ってしまうのはどうなのとか、死亡推定時刻が胃腸の内容物だけで、食事の時間はSNSの投稿時刻、というのは根拠が薄弱(SNSの投稿なんて、タイマー設定もできるし人に頼むこともできる)だとか……

しかし、真相が、杏子自身の意志によるものだったというのもあきれた。どのみち長生きできないなら、無理に死ななくてもよいではないか。生命保険で借金を返す必要があるといっても、そのくらい待ってもらうよう交渉することはできるはずだ。そもそも借金の無心やストーカー行為が演技なら、なぜ菊谷と別れたのだろう?

浜辺美波の入浴シーンは毎回のお約束なのか?

察時美幸が時乃とひとつ屋根の下で暮らしていることを知った渡海雄馬が激怒。また切れ味よく事件の謎を察時が解くのは、誰かの知恵を借りているのではないかと疑い出す。

配役

  • 成田凌は顔にも名前にも覚えがなかったのだが、「残穢 -住んではいけない部屋-」(2016)「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(2018)「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018)に出演していたことを知った。気づかなかった……。
  • ゲストの忍成修吾はやけに整った顔立ちだが、こちらも調べてみると「100回泣くこと」(2013)にムース(波留の夫)「超高速! 参勤交代」(2014)に隠密で出演している。波留のバッハはかすかに記憶にあるが、その夫役の人までは……


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(2020/2/11 記)

「記憶屋」

題名記憶屋 あなたを忘れない
原作織守きょうや「記憶屋」
監督平川雄一
主題歌中島みゆき「時代」
出演山田涼介(吉森遼一)、櫻井淳子(吉森朝子、吉森遼一の母)、芳根京子(河合真希、吉森遼一の幼馴染)、須藤理彩(河合希美、河合真希の母)、田中泯(菅原慎一、河合真希の祖父)、蓮佛美沙子(澤田杏子、吉森遼一の元カノ)、佐々木蔵之介(高原智秋、吉森遼一の通う大学の教師・弁護士)、泉里香(安藤七海、高原智秋の秘書)、杉本哲太(福岡琢磨、高原智秋の主治医)、戸田菜穂(水野里香、高原智秋の元妻)、ブラザー・トム(外山、澤田杏子の勤める喫茶店のマスター)、佐々木すみ江(内田アイ子、記憶屋を知る人物)、他
公式サイト映画『記憶屋 あなたを忘れない』公式サイト
制作日本(2020年1月17日公開)
時間105分
劇場丸の内ピカデリー(シアター2)

概要

吉森は澤田杏子に大学を卒業したら結婚してほしいと申し込み、OKの返事をもらう。有頂天になる吉森だったが、なぜか翌日から音信不通に。ようやく数日後に彼女を見つけて話しかけるも、杏子は吉森のことを知らなかった。吉森は記憶屋の仕業ではないかと疑う。都合の悪い記憶を消してくれる記憶屋という存在が話題になっていたが、これまでは単なる都市伝説だと思っていた。が、他にも不自然に記憶を失った人の存在を知り、実在するのではないかと疑い、記憶屋を探す……

雑感(ちょっとネタバレあり)

記憶屋にリアリティがないこととか、河合真希の傍若無人な態度にイライラさせられるとか、いろいろ不満もあったが、たどり着いた「真実」が悲しいものだったので、それは差し引いてよしとしよう。

気になったのは、杏子の吉森に関する記憶は最後まで戻らないのだが、杏子は吉森と再会して好感は抱かなかったのか、ということ。人間の好みというのはある程度一定していて、たとえ過去の吉森とのことを覚えていないとしても、目の前の吉森を見たらまた好きになってしまうのが自然ではないだろうか。

それで思い出すのが子供の頃に見た「逢えるかも知れない」というテレビドラマ(1976年、フジテレビ)。深夜枠の大人のドラマであったが妙に惹かれるものがあり、毎回のように見ていた。が、どんな話だったかほとんど覚えていない。覚えているのは、主人公の林隆三は記憶喪失である。それをお世話している秋吉久美子が彼のことを好きになり、そんな彼も親切な秋吉にほだされて付き合いかけるのだが、彼はかつて山本陽子と付き合っていた。そして陽子と再会。陽子は何とか林の記憶を戻そうとするが、記憶は戻らない。が、ある時林が陽子に、「昔のことは思い出せません、でも、今の僕は、あなたのことを好きになりかけています」と言い、それを耳にした久美子が泣き崩れるシーンは鮮烈で、そこだけよく覚えている。

当時、秋吉久美子のことが自分は好きで、このまま林と久美子が結ばれたらいいなと思っていたのにそれを裏切るような展開になり、ひどい男だと当時は思ったし、久美子が不憫でならなかったが、今から思うと、これは当然の心理だと思う。かつて本気で愛した人と再会したら、そりゃ好きになるだろうと思うのだ。

配役

監督

平川雄一朗は初めて聞く名で、過去の映画作品で見たものはないが、テレビドラマだと「白夜行」をはじめ結構な人気ドラマを手掛けている。


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(2020/2/17 記)

リンク

「麒麟がくる」第三回「美濃の国」

出演

あらすじ

戦から半年後、寡婦となった帰蝶明智光安の見舞いの名目で明智荘を訪れる。幼い頃、十兵衛の家で一年ほど暮らしたこともあったらしく、しばし気の置けないひとときを過ごす。かつて牧から聞いた昔話をすると駒はそれを知っていた。命を救ってくれた人がしてくれたのだと。美濃の物語を知っているということは、その人は美濃の人かも知れない。

斎藤利政は高政とともに土岐頼芸を訪ねる。土岐頼純が死んで美濃の守護がいなくなってしまったから、頼芸に引き受けてほしいと。美濃をまとめるためには国衆の協力が必要だが、自分が声をかけても動かない、頼芸が言えばまとまると。頼芸は「おぬしに毒殺されとうない」と断わるが、利政は「操り人形に毒は盛りませぬ」とぬけぬけと答える。

帰り際に頼芸は高政のみを呼び止め、利政はダメだ、自分はお主に期待している、子どものように思っているのだとこっそり告げる(利政には聞こえているようだったが)。高政の母・深芳野は元はといえば頼芸の愛妾。もしや自分の父は頼芸なのではないかと訝しむ。

第一回で十兵衛が助けた菊丸が、お礼にと手土産を持って訪ねて来る。そこへ駒がやって来る。その駒を菊丸が、なにやら意味ありげにじっと見つめるが……あれはなんだったんだろうか。駒は、薬草を手に入れるのが困難なため今後の治療が難しいと言うが、菊丸が薬草をたくさん持っているのを見て、これが生えているところを教えてほしいと頼み込む。

利政は高政に、鉄砲が戦で使えるかどうか調べろという指示を出す。高政はそれを十兵衛に丸投げする。十兵衛がその無責任な対応を咎めると、試し撃ちだけは二人でやってみようということになり、出かける。そこで高政は、父・利政は戦は強いが政がダメだ、勝手領地を守れば良いというものではないと説く。頼芸は父ではなく自分に期待してくださっている、十兵衛にも協力してほしいと。十兵衛が木に吊り下げた瓢箪目指して試射すると、見事瓢箪が炸裂!

今川が三河の覇権をめぐり、太原雪斎を総大将として尾張に攻め込んでくる。小豆坂にて激突。

雑感

  • 父と夫の間で苦しむ帰蝶。実母は病人だし、明智荘で牧が唯一甘えられる存在か。
  • 斎藤利政は相変わらず怖い。そして息子の高政は相変わらずボンクラだ。頼芸にちょっと囁かれただけでその気になるなんて、本当にチョロイ。もっとも、父への批判は当たっている。いわゆる「国盗り物語」では戦の勝ち負けばかり追いかけることになりがちだが、政治をきちんとやらなければ領民は富まないし、領民が富まなければ、結局強い軍隊を作ることもできない。
  • 十兵衛が初めての試射でいきなり命中させたのには驚いた。さては鉄砲を買って京から戻る道すがら、何度も練習したのか?


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(2020/2/10 記)

「アリバイ崩し承ります」第一回「死者のアリバイ」

原作

出演(レギュラー)

  • 浜辺美波(美谷時乃、美谷時計店店主)
  • 森本レオ(美谷時生、時乃の祖父(故人))
  • 安田顕(察時美幸、捜査一課管理官)
  • 成田凌(渡海雄馬、捜査一課巡査部長)
  • 勝村政信(牧村匠、捜査一課係長)
  • 中丸新将(綿貫哲治、県警本部長)
  • 柄本時生(樋口秀人、鑑識課検視官)
  • 是永瞳(高杉カレン、事務員)
  • 井上雄太(郷明斗夢、捜査一課巡査部長)
  • 溝口琢矢(堀雅人、捜査一課巡査部長)

出演(ゲスト)

概要

異動でこの地へやってきた察時美幸の下宿先は時計屋だったが、そこの店主・美谷時乃は、一回5,000円の成功報酬で「アリバイ崩し承ります」という商売もしていた。

事件発生。察時の目の前で交通事故が起きる。撥ねられた男は作家の奥山で、察時に「さっき人を殺した」とつぶやく。言われたマンションへ駆けつけてみると、中島香澄が殺されていた。二人は不倫関係にあったが、奥山が別れたがっていたことから、彼が中島を殺害したことはほぼ間違いないと思われた。しかし、奥山の最後の目撃情報があった時刻・場所からマンションへ向かって殺人を犯したとすると、まっすぐ事故現場へ来たとしてもとても間に合わない。どのようなトリックが使われたのか!?

いろいろ調べたが解決の糸口がなく、途方に暮れた察時は、「試しに」といって時乃に解決を依頼するのだった……

雑感

「屍人荘の殺人」で俄然浜辺美波に注目した自分としては、タイミングよく彼女の主演ドラマが始まるというので見逃せないと思った。

映画の剣崎比留子は、どちらかというと「あまり女性としては魅力的ではない」風体だったが、今回は今風の美人キャラだった。もともと美人には違いないからいいんだけど、派手なお化粧をしているのはちょっと期待とは違った。

謎解き自体はまともだったが、あれだけの手がかりから真実にたどりついた時乃はともかく、捜査一課の面々がなぜわからないのか? 死に行く人の最後の証言を過信せず、誰が殺したのか、どこで殺したのか、真っ当な裏取りをしていればわかっただろうと思う。ちょっと、いやかなり、だらしない。

渡海雄馬がいずれ父親の跡を継いで政治家を目指したとしても、そもそも選挙で当選するかどうかもわからないのだし、あそこまでおぼっちゃま扱いするのは滑稽もいいところ。時乃のもったいぶった大仰な物言いはともかく、全体的にギャグ調が強過ぎるのが残念。

#1 死者のアリバイ

#1 死者のアリバイ

  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: Prime Video


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(2020/2/9 記)

「前田建設ファンタジー営業部」

封切り日に鑑賞。岸井ゆきのの笑顔が救い。「マジンガーZ」を全話見返したくなった。

題名前田建設ファンタジー営業部
監督英勉
出演高杉真宙(ドイ、広報)、上地雄輔(ベッショ、広報)、岸井ゆきの(エモト、広報)、本多力(チカダ、広報)、町田啓太(ヤマダ、土質)、濱田マリ栗本鐵工所社員)、鶴見辰吾前田製作所社員)、六角精児(フワ、機械グループ部長)、小木博明(アサガワ、広報部長)、永井豪(本人役)、他
公式サイト映画『前田建設ファンタジー営業部』公式サイト
制作日本(2020年1月31日公開)
時間115分
劇場ヒューマントラスト渋谷(劇場1)

概要

前田建設ファンタジー営業部(実在)が第一弾の「『マジンガーZ』光子力研究所格納庫兼プール建設」の見積書を作成するまでの奮闘を描いたもの。

雑感

前田建設がWebでこのような活動をしていることを全く知らなかった。映画の予告が流れるようになった時に、これって実話? 架空の話? と戸惑ったほど。

しかし、実話なら実話らしく作れば良かったのに。何もプロジェクトXのようにとは言わないが、「マジンガーZの格納庫をうちの会社が作ったら作れるか? 作れるとしたらいくらかかる?」というのは、多くの人が素直に興味を持つと思うのだ。僕自身、この問いかけだけでワクワクしてしまう。

問題になるとすれば、このテーマでどこまで真面目に検討するかにもよるが、建築会社として恥ずかしくない内容にしようと思ったらそれなりに工数がかかる。人員が割かれ、相応の費用も発生する。それに見合うメリットがあるかどうか? ということは当然考慮されるべきだろうが、広告宣伝費を充てることでまかなえるならそれでもう問題はないはずだ。物語の前半で、スタッフにやる気がなく、活動を始めたら周囲の猛バッシングに遭ったあたりは理解できなかった。

それはそれとして、現実にこのような格納庫を作ろうとするとどのような問題が起きるのかは実に面白かった。一番興味を感じたのは、原作アニメの放映回によって格納庫の描写に揺れがあり、仕様としてどれを採用すべきかという議論だ。柳田理科雄の「空想科学読本」で確立した感のある手法だが、こうしたことは大いにやってもらいたい。

映画鑑賞後、実際の前田建設のサイトを見に行ってみたら、映画に関係のない過去の記事はバッサリ消えていた。恐らく本になった部分は本を買えということだろう。が、文庫化までされているというのに、電子書籍では出ていない。なんということだ。kindleで出してくれたらすぐに買うのに!

スーパーロボット超合金 マジンガーZ

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(2020/2/10 記)

「麒麟がくる」第二回「道三の罠」

第一回を見て、本木雅弘の斎藤利政は大河史上最も格好いい道三だ、と思ったが、今回を見て、これは大河史上最も恐ろしい道三だ、と思った。これに匹敵するほど怖い人物と言えば、「おんな城主直虎」に登場した織田信長市川海老蔵)しか思い浮かばない。

麒麟がくる メインテーマ

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  • 発売日: 2020/01/20
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出演

あらすじ

十兵衛が望月東庵と駒を連れて帰ると、美濃が攻められるところだった。相手は織田信秀。加納口の戦いが始まろうとしていた。

十兵衛は光安に連れられ利政の元へ。此度の戦は織田方の二万に対し味方は四千。兵の数が足らず殿は不機嫌じゃ……と光安は言うが、利政は呑気に鼻歌を唄っている。「敵を知り己を知らば百戦危うからず。わしは信秀の閨の中まで知っている」と豪語。信秀は金はあるが人望がない。二万とはいえ金に釣られて集まっただけ。崩れれば脆いと喝破する。

十兵衛に対し、旅の成果を問う。鉄砲を入手し医師を連れてきたことを褒めるが、旅の費用は「やったわけではない。足らぬというから貸してやったのだ。ちゃんと返せよ」と言う。信じられないという顔をする十兵衛に「返す当てがないなら戦で返せ。侍大将の首二つで免じてやろう」と言い放つ。

戦は、緒戦は数で勝る織田方の圧勝となる。諦めた利政はすぐに兵を退却させ、籠城することに。門を閉じた後は城兵に酒を振る舞い戦をねぎらう。美濃城は山城だけに籠城されると簡単には攻められない。城内の様子を乱破から聞いた信秀は、美濃方に戦う気なしと判断し、体制を整えるためいったん兵を引き始めるが、その隙に美濃兵が攻め寄せてきた。酒を振る舞っていたのは中身は水で、織田方を油断させるための作戦だったのだ。織田方は大敗を喫して尾張に帰る。

戦勝の祝いに守護の土岐頼純が利政を訪ねて来る。頼純は帰蝶の夫であった。帰蝶は、織田二万に対して味方は四千、苦戦は必至なのに、なぜ土岐氏は斎藤に加勢しなかったのかとなじる。頼純は「戦勝を信じていたゆえ……」と言い訳をするが、帰蝶を下がらせた後、利政は、信秀を先導した張本人が土岐頼純だと弾劾し、毒殺する……

戦国の戦

相変わらず刀でのチャンバラが多いがそれは措く。弓をそれなりに効果的に使っている点でこれまでの戦国大河よりはマシかも。

ところで、羽柴秀吉の台頭以降「籠城=干殺し」のイメージが強く、城にこもったら悲惨な負けしかないという印象が強かったのだが、それは城を取り囲んで補給を完全に遮断できるくらいの大軍で攻めた場合の話なのか。今回程度の戦力差だと、引いて補給や休息ができ、押して攻められるなど、籠城側は自在にできるが、常に野営を強いられる攻め手は辛いかもな……と思った。寒かったり雨が降ったりすれば、それだけで戦力ダウンするだろうし。

その他雑感

十兵衛が「侍大将! 首二つ!」と叫びながら斬り込んで行くのはおかしくもあり哀れでもあり。当時としては、戦に出る時の正直な心境なのかも。

敵の侍大将の首を斬ろうとしたらそれが西村まさ彦で、十兵衛が驚愕したから、てっきり明智光安が裏切ったのかと思った。実はその侍大将の顔が叔父上に似ていたために首を斬るのを躊躇した、とあとで十兵衛が話すのを聞いてようやく事情が呑み込める。このシーンは、借金を返すための賞金首としか見ていなかった大将首が、実は相手も人間であり、家族や、自分のような甥がいるのかも知れない、ということに初めて気付いた瞬間でもあったのだろう。

好んで戦をするわけではないが、戦をする以上死にたくないから勝つしかない、しかしそれが武士の誉れかと言われれば複雑な心境だ……というのが今年の主人公の心情で、これは悪くない。

帰蝶が利政に夫のことを詫びるシーン。帰蝶が事情を知っていたとわかると
「我が夫をお許しください」(夫を殺さないでください)
「もうよい、そちは下がっておれ」(だが断わる)
ということかしらん。

毒を飲んで苦しむ頼純を見ながら歌を歌う利政だが、これって戦の前に光安と十兵衛が利政の元に参った時、練習していた歌だろうか。この時から、この戦が終わったら頼純を葬ってやろうと考えていた、ということなのだろう。なんとも恐ろしい。

追記(2月19日)

  • 陣太鼓を打ち鳴らす様子をていねいに描いてくれたのは得点高い。士気を鼓舞するというだけではなく、無線どころか有線の電話もない時代、作戦を伝える合図にもなっていたのではないか。
  • 信秀が熱田神宮宮司を連れていて驚いた。当時は「神が守ってくださっている」ことを示すために戦に宮司を連れて行くことはよくあったそうだ(大河ドラマでは初めて見た)。それで命を落とした宮司もいたとか。
  • 斎藤利政「豊かであれば無用な戦をせずに済む」


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(2020/2/9 記)

「麒麟がくる」第一回「光秀、西へ」

出演

明智
斎藤家
その他

あらすじ

野盗が明智荘を襲ってきた。光秀率いる部隊は必死で防衛し、追い返すが、畑に火をつけられ、米俵を何俵も奪われてしまう。彼らはまた襲ってくるだろう。その時は防ぎ切れるだろうか? また野盗は鉄砲という見たこともない武器を持っていた。防衛軍を率いる立場として自分はあまりにも無知だと感じた光秀は、主君である斎藤道三に願い出て、鉄砲の購入と病弱な小見の方の介護のため医師を連れてくることを条件に、京への旅を許可してもらう。

堺では松永久秀の協力もあり鉄砲を一丁手に入れることができたが、同じく鉄砲の購入に来ていた幕府方の三淵藤英は、弓矢のように連発が効かず、使い勝手も悪い、鉄砲は戦の道具としては使えない、床の間に飾るのならいいが、という。

その後京へ行くと、度重なる戦で町は荒れ果てており、住民は食うや食わずのありさまだった。そこで知り合った駒は戦災孤児で、いつか戦はなくなる、あともう少しの辛抱だと光秀に語る……

戦国の戦

冒頭の野盗との戦闘シーンはかなり迫力があった。特に野盗の一人が(それを追いかけるハセヒロも)地面から家の屋根に駆け上り、隣の家の屋根に飛び移り、その勢いで屋根を踏み抜いて床に転がり落ちる、というシーンはすごかった。ケガなく撮影できたのだろうか?

しかし、いつも思うのだが肝心のところがおかしい。光秀らが陰に隠れて野盗が走り抜けていく横合いから弓矢を射かけたのは良かった。が、野盗らが刀を抜いて向かってきた時に、なぜ弓を捨てて自分らも刀で応戦したのか? 遠間から矢を射かけ続ければ、傷を負うことなく相手を負傷させられたはず。真剣を手にして複数の相手と斬り合えば、どんなに腕が立ったとしても無傷ではいられない。

戦で相手を攻撃する時は、平安時代から、とにかく弓。矢がなくなったら槍。刀なんてよほど近寄らなければ斬れないから実戦では役に立たないのだ。けれども日本人はちゃんばらが好きだというか、ちゃんばらが好きだとドラマスタッフに信じられているせいか、どんな戦国ドラマを見ても必ず刀を抜いてチャンチャンバラバラを始めてしまう。刀を抜いて相手を斬ったのは幕末の新選組くらいのものではないか? おかしいなといつも思う。

その他雑感

  • 珍しく子役を使わず、いきなり本役で始まる。最近だと「真田丸」以来か? そのハセヒロさん、やたらに甲高い声で叫び、テンションが高いが、若さを表現していたのか(恐らく今回の光秀は10代なのであろう。ハセヒロさんは42歳……)。
  • 駒のしゃべり方が現代(21世紀の)娘っぽい。とはいえぎりぎり許容範囲内か?
  • 登場人物が割に派手な色合いの衣裳を着ているのは、今回(大河史上初めて)4K撮影をしているからとのもっぱらの噂。衣裳が綺麗なのは良いが、田畑の黄色や緑も鮮やか過ぎて人工色っぽい。
  • 松永久秀はてっきり光秀の金を盗んだのかと思った。が、ちゃんと鉄砲を用意していた。それならわざわざ酔い潰さなくてもよさそうなものだが……
  • 15分拡大の1時間かと思ったら、30分拡大の75分だった。長過ぎる。
  • 終了直前に(第二回の予告編的に)帰蝶が登場。川口春奈はなかなか可愛くてよいが、このシーンは周囲の人にとっては二度目の撮影かと思うと、思わず涙である。

追記(1月21日)

  • 人身売買や比叡山が勝手に通行税を取ったりとかいうことがありふれた日常として描かれていた(主人公がそれにいちいち怒ったりかばったりしない)のは良かった。
  • 斎藤家が織田との戦の準備中に帰蝶がやってきて参戦するというと、利政が「嫁に行った娘をあてにするほど落ちぶれてはおらん」のように言うのだが、まだ信長に嫁いではいないはずで、ちょっと「???」だった。あとでネットを見てみると、信長とは再婚という最新の学説に基づいているそうな。

追記(1月25日)

  • 1547年と冒頭で宣言されていた。明智光秀の出生年は不明で諸説ありだが、1528年説を採用すると19歳。ハセヒロさんのはっちゃぶりも10代を意識した演技だったと思われる。
氏名 満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 19 42
斎藤利政 53 54
斎藤高政 20 44
帰蝶 12 24
松永久秀 39 61


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(2020/1/20 記)

「ラストレター」

封切り日に鑑賞。広瀬すずの魅力がすべて。

題名ラストレター
監督・脚本岩井俊二
音楽小林武史
主題歌森七菜「カエルノウタ」
出演■現在/松たか子(岸辺野裕里、旧姓:遠野)、庵野秀明(岸辺野宗二郎、裕里の夫・漫画家)、森七菜(岸辺野颯香、裕里の娘)、広瀬すず(遠野鮎美、裕里の姉(未咲)の娘)、水越けいこ(岸辺野昭子、宗二郎の母)、小室等(波止場正三、岸辺野昭子の教師)、鈴木慶一(遠野幸吉、未咲・裕里の父)、木内みどり(遠野純子、未咲・裕里の母)、豊川悦司(阿藤、遠野鮎美の父)、中山美穂(サカエ、阿藤の同居人)、福山雅治(乙坂鏡史郎、作家)、他
■回想/森七菜(遠野裕里)、広瀬すず(遠野未咲、裕里の姉)、神木隆之介(乙坂鏡史郎)、他
公式サイト映画『ラストレター』公式サイト
制作日本(2020年1月17日公開)
時間120分
劇場TOHOシネマズ日比谷(シアター12)

概要

岸辺野裕里の姉の遠野未咲が、高校生の娘を残して亡くなった。娘の鮎美は祖父母の元で暮らすことになる。裕里の娘の颯香も夏休みの間、一緒に過ごすことになった。

未咲宛てに高校の同窓会の案内が届く。裕里は姉が亡くなったことを伝えようと同窓会に行くが、未咲だと間違えられ、言い返すことができずに、未咲として振る舞ってしまう。

その同窓会には乙坂鏡史郎が出席していた。乙坂は未咲と付き合っていたことがある。が、裕里も乙坂には憧れていた。裕里を未咲だと思っている乙坂と連絡先を交換し合うが、乙坂からのメッセージに気付いた宗二郎から浮気を疑われ、携帯を壊されてしまう。連絡できなくなった裕里は乙坂に未咲の名前で手紙を書く……

雑感

岩井俊二の名前は初めて知ったが、ファンが多いらしい。こんなことを書いたら怒られるかも知れないが、気持ちの悪い作品だった。途中で見ているのが嫌になるほど。

その元凶は裕里である。こいつは高校時代に、姉に渡してあげると言って乙坂から未咲宛てのラブレターを預かり、それを未咲には見せずに勝手に開封して、さらに未咲に成りすまして返事を書くということをして、延々と乙坂と「文通」していた過去がある。乙坂が未咲に直接話しかけて手紙のことを確認したところ、未咲が手紙のことを全く知らなかったため、事実が判明。乙坂は激怒して裕里に「どういうことだ!」と詰め寄る。

この時裕里は、自分はやってはいけないことをやってしまって、そのため乙坂をいたく傷つけたということを学び、深く反省したはずだ。それなのに、20数年経って性懲りもなく同じことを繰り返すのである。正直言って人間のクズだと思う。この時もすぐにバレるが、よく乙坂が怒らなかったものだ。

未咲は阿藤と出会って鮎美をもうけるが、阿藤は生活力のない人間で未咲はずいぶんと苦労を重ね、最後は自殺してしまう。裕里は乙坂に、あなたが姉と結婚してくれればよかったのに、と伝える。この気持ちはまあわからないでもない。恐らくそうしていれば未咲は大事にされただろうし、少なくとも自殺することはなかっただろう。自分だってかつて恋心を抱いた相手が家族になってくれればその方がいいに決まっている。

しかし、事情を知った鮎美が、「あなたがお母さんと結婚してくれていたら……」というのは解せない。キミの父親は阿藤なのよ。乙坂がキミのお母さんと結婚していたら、キミは生まれていないのよ。そんなことがわからない年齢ではないでしょう。阿藤と別れた後、よほど母親から阿藤の悪口を聞かされて育ったのだろうか?

手紙を何度もやりとりするから何か月も経ったのかと思ったら一週間しか経っていないとか。そもそも携帯が壊れたからといって修理しない(買い換えない)のはおかしい。それをやると「浮気相手と連絡を取るために携帯が必要なんだろう」と宗二郎の怒りに火を注ぐからやめておいたという理屈なのかも知れないが、いくら専業主婦でも娘がいるんだから、娘との連絡に携帯は必要だろう。親とも、学校の先生ともやり取りをするだろう。現代で、携帯がなくても平気というのはちょっと不自然に過ぎる。

というように腹立たしい設定や、おかしな点はあちこちにあって、とても褒めることはできないが、では映画としてそれほどひどかったかというと、実はそうでもなかった。それはなぜか。広瀬すずが美人だったからである。

以前は単にかわいいとしか思っていなかったが、広瀬すずは本当に美人になったと思う。彼女はこれからまだまだきれいになる。美しい容姿を、大画面で鑑賞するというのも、映画の楽しみのひとつだと思うのだ。

配役

その他

これは全く個人的な感覚なのだが、「マチネの終わりに」が公開中に本作の予告編が流れることに強い違和感を覚えた。福山雅治は映画にはだいたい年に一本出るか出ないかなのに、今回は「マチネの終わりに」が公開されてから2ヵ月半しか経っていないし、どちらも恋愛ものである。こういうのは普通の人は気にならずに受け入れられるのだろうか。

2013年にも「真夏の方程式」と「そして父になる」とふたつの主演映画が公開されている。が、三ヶ月空いていたし、ガリレオ先生と野々宮良多では全くキャラが違うから混乱はなかった。今回は、単に恋愛ものだというだけでなく、(福山の役は)ともに独身、ともに片思いで悲恋に終わる。たいへん似通っているのだ。こういう時は、もう少し間を空けてほしい。

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック


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(2020/2/8 記)

「麒麟がくるまで待てない戦国大河ドラマ名場面スペシャル」(NHK)

大河ドラマは歴史が長いし、名作ぞろいだから、「名場面スペシャル」はすごく面白いものになる。テーマとか、特定の人物を演じた役者の共演は見どころ十分で興味深かった。

しかし、改めてみると戦国時代だけでもこんなに何度もやってたんだな、と思う。それはそれでいいのかも知れない。桶狭間を、川中島を、本能寺を、関ヶ原を、手を変え品を変え、何度も何度も演じていくというのは、ありなのかも知れない。毎年必ず「生まれて初めて大河ドラマを見る人」というのが必ずいるわけだし。

しかし、一般の人には知られていないけど日本史上で重要な役割を果たした人というのは、もっと大勢いるのではないか。そういう人に光を当てていくのも、大河ドラマの重要な役割ではないのか、とも思うのだ。

来年は渋沢栄一、再来年は北条義時だそうだから、そのあたりはわかっているのかも知れないが。


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(2020/1/18 記)