窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「光秀のスマホ」(6)「#敵は本能寺にあり?」

概要

秀吉の援軍を命じられた光秀だが、地図アプリで確認したルートは亀山城から本能寺への道筋だった。FUMIグループで明智重臣団へ、本能寺を討つ旨通知する。みなは半信半疑だが……

燃え盛る本能寺。信長から「是非に及ばず」とFUMIがくる。それを読んだ光秀は、静かに「信長」アカウントを削除する……

本能寺の変を知った秀吉から「慶賀の至り」とのFUMIがくる。チラと映った過去履歴では、「信長さまは明日本能寺に滞在される」「お付きも30人ほどで手薄」などと送られてきており、秀吉がけしかけているのが明らか。秀吉は、光秀の大英断だと褒めそやすが……
移動中に玉から電話がかかってくる。「お土産買ったからね」「早く帰ってきて」などとやり取りをした直後、目の前を歩む部下(らしき人)が襲われ、光秀のスマホの横にうしろから真っ赤な竹槍が飛び出してくる。光秀は倒れる。

倒れた光秀の手から誰かがスマホを取り上げ、戦国ニュースを見る。そこのニュースの見出しは「名君・織田信長氏が本能寺で散る 謀反人・明智光秀氏に批判の声」で、またインタビューを受けた秀吉は「必ずかたきを討つ」と涙ながらに語っていた。

雑感

山田孝之の手の演技が見事。不安、迷い、ためらい、諦念、愛情、などを指先で見事に表現している。

光秀が家臣団にFUMIで本能寺襲撃を指示した時、左馬助は「からの~?」と三回繰り返している。これは、冗談めかしつつ、なんとか指示を変えさせようと彼なりに必死だったのではないか。忠義ぶりが切ない。

玉ちゃんがかわいい。第5話でもそうだったけど、本当にいい娘に育った。

本作では山崎の合戦はなかったことになっているようだ。



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「光秀のスマホ」(5)「#もしかして、時は今だったりする?」

概要

信長から直電。明後日家康が安土に来るので、光秀に貸している茶器を見せたいから今すぐ安土に持ってこい、と。いつもながら無茶振りに腹を立てて裏垢で信長の悪口をつぶやいたつもりが、うっかり本垢でつぶやいてしまう。玉から「ぶちぎれてどうしたの?」とFUMIが来て気づき、慌てて削除したが……

その直後、信長からのFUMIで、さっきの茶器の件はなし、その代わり家康の宴会係をやれとのこと。先ほどの誤爆つぶやきを見られたのか? そうではないのか? 今度こそ裏垢であることを慎重に確認し、「面倒くせー」とつぶやく。

しかし家康に腐った魚を出してしまい、宴会係もクビになる。この事実は、視聴者は光秀が見ているスマホの画面で、「光秀氏が解任、宴会に“腐った魚”で信長氏が激怒」という見出しの戦国新聞の記事、および、信長とやりとりしたFUMI「もういい、宴会担当は交代(中略)処遇は追って決める」などによって知ることになる。

結局、丹波を没収されてしまう。秀吉からは、自分も上様から木刀で殴られたりロウソクの火で火傷させられたりしている、光秀の気持ちがわかるのは自分だけだ、と言われ、「ところで……」と、知り合いの記者から、上様を裏切ろうとしている大物家臣がいるという話を聞いたのだが何か知っているか、と尋ねられる。知らない、と答える光秀に、「上様を裏切って討とうものなら、歴史に名が残る」「そうなった方が私たちも助かる」などと言い始める。「その話は聞かなかったことにする」とかわす光秀だが、何が思うところがあったのか、「ときは今あめが下しる五月かな」という句をアップする……

雑感

信長の言っているのは、大事な客がくるから貸している茶器を返せというだけで、いささか急過ぎるきらいはあるが、非難されるほどの話とは思えない。少々腹が立ったからと言って、いちいち裏垢で上司の悪口をつぶやく光秀の方が問題ありだ。

しかし、秀吉は煽るなあ。本ドラマにおける光秀は、根が単純で調子乗りである。前回、上様は確か馬が欲しいと言っていました、という秀吉の言葉を真に受けて信長に馬を贈って送り返されてしまう光秀なのである。最後に光秀がアップした句は、信長を討つ決意をしたとされるもの。この句が出てきたら、いよいよだ。



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「光秀のスマホ」(4)「#信長様にフルボッコされるまで」

概要

丹波攻めで苦労している。信長から進捗を訊かれ「あと一息です」と答えるも「お前はいつもあと一息だな」と返される一コマも。

信長からの直電で「お前は本気を出せば猿など比ではない」と励まされたと思ったら「間もなく佐久間信盛、林秀定を追放する。意味は分かるな?」と脅される。「丹波・オア・ダイ!」

発奮した光秀は丹波・丹後を平定。褒美としてしじら織百反と丹波の国を賜る。

その頃、元稲葉一鉄の家臣であった斎藤利三が新たに光秀の家臣に加わる。が、信長から、「稲葉一鉄に返してやれ」との指示が。断わると、光秀のところへやってきた信長に「ちょっと手柄を立てたぐらいでいい気になってわしに逆らうのか」と足蹴にされる……

雑感

第三話の松永久秀の件は不問にされた模様。しかし信長の冷血ぶりに改めてゾッとする。

しかし、信長の機嫌を取ろうとして好みを秀吉に聞いたり、ご機嫌取りを見抜かれて誤魔化したり、秀吉情報を真に受けて信長から送り返されたり、光秀は性格がセコイ上に頭の回転もイマイチ。いくらなれなれしく寄ってくるからといって、キミが秀吉のことを死ね死ねと思っているのと同じように、相手も光秀のことを思っているのだろうから、ちょっとは考えろよなあ……

ようやく丹波を平定させ、面目を施した光秀だが、信長に面と向かって逆らったのは、やはりいい気になっていたのか? 最終的には断わるにしても、もう少し言い方がありそうだとは思った。もっとも、信長がなぜ稲葉に戻せと言ったのかは謎。

史実では斎藤利三は光秀の家臣を続け、本能寺の変・山崎の合戦で光秀と行動をともにし、ともに死んでいる。春日局の父である。



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「麒麟がくる」第二十九回「摂津晴門の計略」

出演

あらすじ

二条城が完成した。しかし、資材をかき集めたことで多くの反発も招いた。そうした不満の声が摂津晴門の元に届き、摂津は義昭の耳に入れる。義昭は、信長が自分のためにしてくれたことだから反対はできない。が、いつまでも信長が京にいるわけではない。岐阜に戻ったら、少しずつ返そう、と約束する。この「口利き料」で摂津は寺から小金をせしめる。

光秀が妻子をいずれ京に呼び寄せるつもりだと知った義昭は、住むところが必要だと土地を与える。が、その土地は騙されて盗られたものだとの訴えが上がってきた。それをしった細川藤孝はすぐに光秀に知らせ、光秀は摂津を問い詰める。公方様より賜ったものだが、土地を確保したのは政所、それが騙して巻き上げた土地だとはどういうつもりか、と。摂津は、こんなこといちいち気にすることはないと誤魔化そうとするが、光秀は、目をつぶるわけにはいかない、直ちに吟味するよう伝え、摂津は、ながーいながーい時間をかけてじっくり調べましょう、と答える。

二条晴良によって失脚させられ、京を追われた近衛前久は、ひそかに京に戻り、伊呂波太夫を通じて光秀に会う。前久は、今の幕府は、己の私利私欲を満たすことしか頭にない連中ばかり、これでは世は平らかにはならないと指摘する。

太夫は、御所の壁があちこち崩れているが帝には直す金がない、手を貸すべき幕府も知らん顔だと窮状を訴える。

光秀は信長に、幕府は腐っている、人を全部入れ替えるべきだと訴えるが、信長は、幕府のやることに口は出さない、それは光秀の仕事だと言い返し、朝倉義景へ備えるために岐阜へ戻っていった。

今日の光秀&木下藤吉郎

「今日はいかなる御用で」
「信長様に申し上げたき儀があり――」
「あ、昨日お会いになった近衛前久様の件でございますか」

登場人物の満年齢(1569年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智光秀 41 42
織田信長 35 28
木下藤吉郎 32 52
足利義昭 32 43
細川藤孝 35 43
近衛前久 33 29
浅井長政 24 28
朝倉義景 36 49

雑感

絵に描いたような悪役(摂津晴門)の登場だが、それはそれとして、室町時代後期の幕府の統治機構はどのようなものであったか、とても興味がある。が、不勉強なせいか、これまで見たり読んだりしたドラマや小説・漫画はもちろんのこと、まじめな歴史書・解説書の類でも、ここを解説したものを見た記憶がない。形骸化したとはいえ、室町前期のものを引き継いでいたのだと漠然と思っていたが(思っているが)、問題は、どの程度の力があり、どの程度形骸化していたのかだ。

これはドラマで必ずしも史実通りではないだろうが、摂津晴門の名が知れただけでも良かった。

しかし、摂津に訴え出た寺社、信長に襖を全部取られて寺の形を成さないなどというが、摂津に袖の下を渡す金があるなら、その金で新しい襖を作ればよかろうにと思うのだが、別の目的があったのだろうか。

木下藤吉郎は光秀がひそかに会った相手が近衛前久であることをちゃんと知っており、それを光秀に明かすことで釘を刺す、実に油断のならない人物だ。信長にとっては役に立つ人材だろうが、下手をしたら寝首をかかれかねない。その点光秀はまっすぐで裏がないだけに扱いやすそうだなあ。

その光秀、口喧嘩でも摂津に後れを取っていなかった。成長の跡がうかがえる。

浅井長政初登場だが、ちょっと初登場が遅かったのではないか。来週は朝倉攻めが始まるようだから、ということは……。早い回に市を登場させ、浅井と講和を結び市が嫁に行くエピソードをやっておくべきだったのではないか。今の浅井が朝倉についても、あ、そう、というだけで、裏切られた感がないもの。


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「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(3)

サブタイトル

  • 父の敵を討ちたい! 9歳少女の復讐

放送日

  • 2020年10月23日

登場人物

概要

公式サイトより引用:

正義感の強い元弁護士と怪しげな詐欺師が組んで、事情を抱えた被害者からの依頼を受けて悪人に復讐する。第3話はパワハラで父を失った娘の復讐話。真実と黒岩のもとに、小学生の女の子から依頼がくる。父親が転職した会社でパワハラにあい、命を落とした、お金はわずかしかないが復讐してほしい、という。父への想いから他人事とは思えず、真実は先方の会社に乗り込む。

雑感

面白かったー。こういう話を見たい。前回のような話はいらない。

ストーリーの展開はだいたい想像通りに進んでいき、特に謎はない。とにかく、白沢真実の頭はいいんだけどすごく頭の悪いところや、ずっと年上の黒岩を常に上から見るところ、コミカルな演技、そして黒岩との掛け合い。このキャラクター性がすべてなのだが、今回はITベンチャーパワハラという今風な話題をとり混ぜ、正面切ってもらちが明かないが派遣社員を抱き込んで事情を聞き込み、わざと挑発して怒鳴りつけた相手の声を録音して証拠としたり、一応しかるべき手を打っていて矛盾はなかった。

晴香役、古川凛の演技が見事。最後、お父さんに謝りたかったと泣くところではぐっときた。

配役


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(2020/11/4 記)

「麒麟がくる」は全44回放映

新コロナの影響で長期間撮影が中断され、放送予定も大幅に狂ってしまい、この後どうなるのか気を揉んでいたが、当初の予定通り44回を放映すると公式アナウンスがあった。

現在放送中の大河ドラマ麒麟がくる」最終回の放送予定日が決まりましたので、以下のとおり、お知らせします。

大河ドラマ麒麟がくる
<最終(第44)回>

2021年 2月 7日(日)夜 8時00分~ 9時00分(総合・BS4K)
※15分拡大版 「麒麟がくる」紀行含む
<前 9時~(BS4K)/ 後 6時~(BSプレミアム)>

※全放送回数、44回については、当初予定通りで変更ありません。

もともとオリンピックのための休止期間があることを見込んでの44回なので、今さら「予定通り」44回に固執しなくても、例年通り50回やったっていいんじゃないかと思う。そうすれば、次の大河はちょうど4月からになり、それはそれできりがいい。今度から4月スタートで一年間、ということにしたらいいんじゃないか。

ドラマの方も、28回が終わったところだが、全44回なら既に2/3が過ぎたことになる。しかしようやく足利義昭が将軍になったばかりで、光秀が信長の家臣になってもいない。「光秀のスマホ」でも全6話のうち第1話で光秀は信長に義昭を紹介し、家臣になっている。これからどう話を進めていくつもりなのかわからないが、もう少し尺がほしいところだ。


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「麒麟がくる」第二十八回「新しき幕府」

出演

あらすじ

1568年、足利義昭織田信長を従えて上洛を果たした。織田軍は京の三好勢を一掃し、(三好の拠点であった)芥川山城へ入城。光秀は将軍の奉公(ほうこう)衆に取り立てられることになった。

松永久秀の処分をめぐり、三淵藤英らは義輝暗殺に関与していた疑いがあるとして処罰を主張したが、柴田勝家ら織田方は、将軍暗殺に関与していた証拠はなく、こたびの戦で功があったのだから当然、相応に遇するべきだと主張して譲らない。義昭は、上洛は信長の力があってこそ、松永の件は信長殿の意見に従おうと言って三淵を説得する。一方、信長には、幕府の政務は前将軍に仕えていた摂津晴門に引き続き任せたいとして承認を得る。光秀や藤孝は、摂津は幕府の今日を衰退を招いた張本人ともいえる人物であり、登用に疑問を感じるが、今は任せておくほかない。

足利義栄は摂津で病死。足利義昭は正式に室町幕府15代将軍となる。

年が明けて、三好の軍勢が将軍御座所である本国寺を襲撃した。幕府軍が必死で防戦し、細川藤孝池田勝正が救援に駆け付け、三好軍は退却した。*1

藤孝は、京には関所もあるのに、なぜ軍勢が近づくまで誰にも気づかれなかったのかと不思議がる。光秀は、幕臣の中には三好と組んで私腹を肥やしていた者が少なからずいて、彼らは三好が復興した方が都合がよいから、内応したのではないかという。

その後駆け付けた信長は、なぜ自分に一番に知らせないのか激怒して摂津晴門を責め立てる。そして、将軍御座所として新たに二条城を作ることを決める。

短期間で二条城を築城するため、近隣諸国から必要な資材や人を集めることにしたが、寺社からは石仏まで徴収した。何に使うのかと聞くと、石垣にでも使えばいいという。仏罰など信じていない信長に、光秀は複雑な表情を向ける……

今日の公方様

「(今日に妻子を呼ぶという光秀に)それはよい。住むところは摂津晴門に命じてよき所を与えるゆえ、案ずることはないぞ」

今日の光秀&駒

「案ずるな、わしは負けん」
(いや、あんた指揮を執ったわけではなく、最前線で無双していたわけでもなく、将軍様のそばで話し相手しとっただけやん……)

雑感

あらすじが長くなった。

会社などでも、組織を立て直そうという時は、現在の担当者に態度を改めてもらうより、人を入れ替える方が簡単だが、職務の専門家・経験者でないとわからないことは多々あり、単純に入れ替えると業務が止まってしまう、というのはよくあることだ。摂津を追放するのは簡単だが、代わりが務まる者がいないのだろう。

今回特筆すべきは、石仏の使い方をめぐって信長と光秀の明確な意識の差があったこと、あと、これもあらすじでは述べていないが、駒が義昭と偶然再会し、義昭が駒を覚えており、落ち着いたら城に遊びに来るようにと言ったこと。既に信長の妻と親しく、秀吉・家康から好かれ、前関白とも顔見知りという駒だが、その上将軍様ともお親しいんですかあ?


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*1:なおドラマでは描かれなかったが、攻撃した側の先鋒を務めたのは斎藤龍興であった。また、幕府軍の救援として浅井長政も駆け付けたようである。

「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(2)

サブタイトル

  • 炎を操る女教祖にマミクロ絶体絶命

放送日

  • 2020年10月16日

登場人物

概要

公式サイトより引用:

妻を呪い殺された和紙職人(竹原ピストル)の復讐話。男が住む村は昔から信仰心にあつかったが、ある日女教祖(伊藤歩)が現れ、不思議な力で村人たちを帰依させた。だが意に従わなかった男の妻を呪い殺した、復讐してほしい、と頼むこむ。真実と黒岩は二人で村に乗り込むが……。

雑感

予告編を見た時にうすうす感じていたのだが、まんま「TRICK」だった。まあ仲間由紀恵阿部寛ならぬ浜辺美波岡田将生ペアのTRICKというのも、これはこれでアリか……。

あとで知ったが、演出(木村ひさし)・脚本(蒔田光治)ともにTRICKの人であった。


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(2020/10/28 記)

「極主夫道」(日本テレビ)

おおのこうすけ作の人気コミックス(既刊5巻)の実写ドラマ。

放送日

  • 2020年10月11日

登場人物

概要

黒田龍は不死身の龍と恐れられた極道だったが、美久との結婚を機に足を洗い、専業主夫になった。

雑感

玉木宏は好きな俳優だし、「麒麟がくる」ではここのところ帰蝶の出番がなく寂しい思いをしていたから川口春奈も見てみたかったし、というわけで視聴。

しかし、個人的にはイマイチかな。玉木宏が、主婦業がいかに大変かを熱弁するのはなかなかいいと思ったが、かつての舎弟・雅との会話だけでなく、近所の主婦との会話も含めてすべて極道言葉で話すのは違和感がありまくりだし、正直なところ耳障りでもあった。川口春奈の出番が少なく、それほどかわいくなかったのもマイナスポイント。まあ、今回は初回で、龍の紹介回だから、美久についてはこれからなのかも知れないけど。


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「光秀のスマホ」(3)「#織田家はブラックでした」

概要

光秀は松永久秀とLINE、じゃなくてFUMIのやり取りをしている。どうやら光秀は体調不良で休んでいるらしい。松永は信長のブラックぶりに辟易している様子。そんな松永に同調したり励ましたりする光秀だが、そこへ信長から電話がかかってきた。ビビって電話に出られない。留守電を確認すると、「猿に頼むわ」のひとこと。

その直後、秀吉からOmoteTimeがかかってくる。「上様から中国攻めを命じられましたが、毛利相手に私一人で大丈夫でしょうか……」。光秀が電話に出なかったため、秀吉に指示がいったのだ。

後日、光秀は信長に電話し、体調も治ったのでまた誠心誠意上様のために尽くすと伝えると、「松永が裏切ったから殺してきて。あと、平蜘蛛は無傷で持ち帰れ」と。いきなり突拍子もない指示にのけぞる光秀。

光秀は信貴山城を取り囲みながら松永にメッセージを送る。このままじゃ俺に殺されちゃうぞ、平蜘蛛をくれたらこっそり逃がしてやるけど……。松永から「お前最低だな」の返事がきたと思ったら、爆発音が。松永が自爆したのだ。

「平蜘蛛は無傷で戻せと言っただろう」と信長に叱られる光秀。これはなんだ、と言って信長に見せられたのは、「平蜘蛛をくれたらこっそり逃がしてやる」という光秀のメッセージ(のコピー)。松永が死ぬ前に信長に送っていたようだ。「お前最低だな」と信長から言われた直後、秀吉から「播磨平定しました~」との報が入る。「このまま但馬も攻略していいっすか?」

あわててフォロワー数を確認すると、光秀は18345、秀吉は急激に増えて光秀を追い抜いた。光秀は静かに秀吉のフォローを外す……

配役(三回目終了後に初めて明かされた)

雑感

細かい説明がなく、視聴者にある程度の知識があることを前提に話が進んでいく。知らなくても楽しめるが、松永がたびたび信長を裏切ったこと、松永の持つ平蜘蛛に信長は執心し、譲るように何度も頼んだがそのたびに松永は断わってきたこと、最期は釜に爆薬を仕込んで爆死したこと、などを知っているといっそう面白い。これはスエヒロさんのパロディ作品にも通じるが、知っていれば知っているほど楽しめるのだ。恐らく、僕が気づいていない「仕込み」がまだまだあるだろう。

光秀が松永にあれこれメッセージを送るも読んでいる様子がなく、それどころじゃないのかな、と思いつつ、つい「平蜘蛛をくれたら……」と送ってしまい、それを自分で読み返して、いやいやこれはまずい、と思って削除しようとした瞬間、すべてのメッセージに既読がついてしまうところなど、実にお見事である。

それにしても、「お前最低だな」と信長に言われてしまった光秀、これからどのような運命が待ち構えているのだろうか!?



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「光秀のスマホ」(2)「#“秀☆吉”って誰だよ」

概要

「秀☆吉さんからフォローされました」と通知が来たので見に行くと、秀吉はフォロワー312人。フォローしてやろうかと思うが、やめておく。

光秀は首尾よく織田家の家臣になれたようである。そして京都奉行に就任。奥さんのひろこや娘の玉と愛のこもったメッセージのやりとりを続ける。

浅井長政が裏切ったとの報が届く。光秀は急ぎLINEグル……ではなくFUMIグループに投稿しようとするが、「浅井長政」と打っている間に「長政裏切り」と書いた秀吉に先を越されてしまう。信長からは「だれかしんがりを頼む」とのメッセージ。一瞬躊躇したものの、光秀は「やります」と投稿。その一瞬あとに秀吉からも同様の投稿があるが、光秀は「遅い遅い」と心の中でバカにする。

金ヶ崎の退却でしんがりを務めたことなどが評価され、光秀は織田家臣団で初めて城を持つことが許され、そのことがニュースになる。秀吉はOmoteTimeで光秀に思い切り媚を売る。光秀のフォロワーは一気に1万人を超えたが、この時点で秀吉のフォロワーは412人。光秀は、フォローしてやっか! と余裕で「フォローする」をポチる。

雑感

前回、名前がチラと出た秀吉が本格的に登場する。最初に、フォロワー数があまり変わらなかったため、フォローをやめておいたが、圧倒的に引き離した後でフォローしてあげるところがとにかくおかしい。

実物の秀吉も登場。この時点では光秀を演じているのが誰かは明かされていない。秀吉は調子が良く、おしゃべりで、人にへつらうのが得意。いかにも秀吉っぽいが、しかし実のところ何を考えているのかわからない点は、「麒麟がくる」の秀吉と共通するかも知れない。

しかし、二回目にして既に「麒麟がくる」を追い越してしまった。「麒麟がくる」は既に27回を終わったが、坂本城や、金ヶ崎の退却どころか、まだ京都奉行にすら就任していない。本当に本能寺まで行くのかな?



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「光秀のスマホ」(1)「#これからは信長の時代でしょ」

武将たちが群雄割拠し、天下統一に向けて覇権を争っていた戦国時代。もしも彼ら武将たちがスマートフォンを持っていたら……という設定のドラマである。時代物のパロディを扱わせたら今の日本で右に出る人はいないと思われるスエヒロさん(@numrock)が画面の作りこみを手伝ったと聞いて、このような番組があることを知り、放映を楽しみにしていた。

概要

光秀は、フォロワー数がなかなか伸びず、エゴサすると自分の悪口が見つかったりするので落ち込んでいる。そんな矢先、ネットニュースで今川義元桶狭間織田信長に討ちとられたことを知る。士官するにはどうすればいいかヤマカン(戦国版Siriか?)に聞くと、仲介者を探せという。そんな矢先、細川藤孝から足利義昭が上洛するためにボディガードを探していることを知り、そこで織田信長足利義昭の両者を引き合わせようともくろむ。

信長・義昭の密会が戦文オンラインに抜かれた。そのニュースがバズっていることを喜ぶ光秀だが、誰もセッティングしたのが光秀だと気づいてくれない。業を煮やして、裏垢で「仕掛けたのは光秀らしいよ」とつぶやく。

信長からは感謝され、「光秀さん、これからも頼むわ」とメッセージが飛んでくると、「是非に及ばず」のスタンプで返す。

雑感

戦国時代にスマホがあるという設定がSFもいいところなのだが、ストーリーは意外に真面目である。光秀は朝倉のところにいて、信長から誘われるが断わる。その後、信長と義昭を引き合わせるなど、「麒麟がくる」と呼応している。「是非に及ばず」は本能寺の時に信長が呟いたとされるセリフで、知っているとおかしさ倍増である。

性格はもちろんかなり違うが。

アプリ

メインで使っている短文投稿アプリはなんという名前なのだろう。アイコンは常に見えるが名称がわからない。もうひとつ、個別メッセージ交換アプリはFUMIである。電話は現代と同じように使えるようである。その他、トップ画面にあるアプリは、「暦」「天気」「銭」「連絡先」「石垣積む積む」「連歌メモ」「UnuTube」「OmoteTime」「馳走ログ」「家臣マッチング」「武士ナビ」「知恵袋」「Ichizon」「暗箱」「写真」「ニュース」「モノカリ」「地ノ図」「物見」「BushiBook」。さらに最下段に「電話」「FUMI」「短文投稿アプリ」「矢文」が見える。

それにしてもよく使いこなしているものである。ちょっと依存症気味のような気もするが。



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「麒麟がくる」第二十七回「宗久の約束」

光秀のいいところは正直なことだが、光秀の最大の欠点は正直過ぎることだ。

出演

あらすじ

1568年、足利義昭は美濃へ行き、信長の歓待を受ける。信長は忠義の証として一千貫の金品を送る。軍資金として提供しているわけだが、義昭は一千貫あれば一万人の貧しき人をひと月養える、などと頓珍漢なことを言い、信長を萎えさせる。

光秀は信長に命じられて、三好軍の勢力の確認と、義昭の上洛を朝廷に対する朝廷の思惑を探るために京都へ行く。駒と再会し、伊呂波大夫を紹介してもらって京の情報を入手。三好のかつぐ足利義栄は病のために京都へ行かれず、義昭が京へ来たら喜んで迎えるだろう。ただし、三好は強い、と太夫は言う。鉄砲をたくさん持っているし、人もいくらでも集めてくる、うしろに堺の会合衆がついていて、金はいくらでも使えるからだ。

その会合衆の中心人物の一人、今井宗久を駒が知っているというので、一緒に会いに行く。宗久は茶をたてながら光秀に語る。自分らは堺の商人であり、商売を保護してくれるなら三好でも織田でもよい。こたびの戦は織田が有利だと思っている。三好から手を引いてもよい。ただし、そのためには、上洛の際に鎧兜を着けぬこと……。宗久の差し出した茶を光秀はぐっと飲み込む。

美濃へ戻った光秀は、宗久の提案を伝える。柴田勝家佐久間信盛稲葉良通らは、武装解除しては三好に有利になるだけだとこぞって反対。光秀は、京の人心を安定させるためには戦はしないとアピールすることが肝要と説く。信長は、織田だけでは決められないと義昭の意向をうかがうと、義昭は武装なしの上洛に一も二もなく賛成。信長は光秀に、自分も本当は柴田らの意見に賛成で、武装解除などあり得ないが、今回は光秀の意を入れる。そのことを腹に収めておけ、と告げる。さらに、今後、光秀は義昭につくのか信長の家来になるのか決めよ、と言うと、光秀は、将軍家にお仕えします、と即答する。

雑感

宗久が長台詞のあとで茶を光秀に出した時は緊張した。宗久に光秀を殺す動機はないが、この物語において出されたお茶を飲むとろくなことはないのを私たちはよ~く知っているからだ。宗久が出した茶を飲んだ光秀は、条件を飲んだ、ということと引っ掛けたわけだろう。ハセヒロの所作の見事さとも相俟って、非常に印象的なシーンとなった。

信長が光秀の意見を尊重し、ここまで気遣ってくれたのに、家臣との誘いをまたも断わってしまった。不憫な信長である。そういうとこだぞ、と光秀には言いたい。この時の染谷翔太の眼の演技は見事だった。しかし、信長が義昭をかついでいる間は、光秀が義昭の元にいた方が都合がいいのでは、とも思う。

あらすじでは取り上げなかったが、光秀が京に行った時に会う藤吉郎が、なかなか面白い、というか恐ろしい。幼い頃(貧しかったので)親から針を売ってこい、たくさん売ったら腹いっぱい食わせてやると言われ、頑張ってたくさん売ったが結局腹いっぱい食べさせてもらうことはできなかった。信長さまは約束は必ず守ってくださる、という。信長とは違った形ではあるが、ゆがんだ幼少期を過ごしてきたことが今につながっている。

今週も帰蝶の登場はなし。しかし宗久の話だと、堺衆の間では、織田の戦を仕切っているのは帰蝶だともっぱらの噂だとか。黒幕帰蝶、姿は見えねど、恐るべし。

一千貫は今のお金にして約1億5000万円(公式サイト第7回のトリセツにそう書いてあった)。

駒は宗久とも知り合いだった。どれだけの人脈を持っているのだろう。

稲葉良通が、織田家の古参のような顔をして、斎藤竜興が美濃を取り返そうと狙っている……と話していたが、アンタのついこの間までの主人やで。

登場人物の満年齢(1568年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智光秀 40 42
織田信長 34 28
木下藤吉郎 31 52
柴田勝家 46 45
佐久間信盛 40 39
足利義昭 31 43
細川藤孝 34 43
近衛前久 32 29
今井宗久 48 62

配役

  • 安藤政信柴田勝家は、おそらく大河史上(大河以外の戦国ドラマ・映画をひっくるめても)最もイケメンの勝家なのではないか。
  • 金子ノブアキ佐久間信盛だったが、金子がやると、えっこの人悪い人だったっけ? と反射的に思ってしまう。
  • 少女役の咲希は、一瞬顔が映っただけでセリフもなく、そして恐らく今後再登場することもない一回限りの役かと思うが、印象に強く残ったので記しておく。10年後には何かのドラマで主演を務めているのではないか。



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「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(1)

サブタイトル

  • 元弁護士と詐欺師バディの復讐劇

放送日

  • 2020年10月9日

登場人物

  • 浜辺美波(白沢真実、元弁護士)
  • 岡田将生(黒岩賢介、詐欺師)
  • 三浦涼介(財津宏樹)
  • 三浦浩一(財津源一郎、宏樹の父)
  • 白石糸(綿貫依里子、宏樹から性被害を受けた女性)
  • 本田大輔(高石徹也、タカ石徹也工務店社長)
  • 今藤洋子(小暮、アームストロング法律事務所の弁護士)
  • 奥田達士(大槻、アームストロング法律事務所の弁護士)
  • 永井博(絵画業者)

概要

白沢真実は、司法試験予備試験制度によって20歳で弁護士となり、アームストロング弁護士事務所に勤め始める。

その事務所では、財津宏樹に暴行を受けたという綿貫依里子の弁護を引き受けたものの、宏樹の無実を示す証拠が次々と出てきたため、裁判で負けてしまう。負けたことを恥じ、あんな女の言うことを信じて失敗したと言い出す始末。

裁判記録を調べ始めた白沢の扱いに手を焼き、綿貫の担当を押しつける。綿貫は裁判で負けたため、復讐代行請負業に宏樹の復讐を依頼して10万円払うが、依頼は実行されず、そのことを白沢に相談すると、白沢は、それは詐欺だから、自分が10万円を取り返してくると言い、その請負業者の元へ向かう。

白沢は事件の再調査を行なうが、罠に引っかかって未成年に酒を飲ませたことにされてしまい、その証拠写真が事務所に届いてしまう。結果、弁護士資格の剥奪、アームストロング法律事務所の解雇という目に遭った白沢は、黒岩と組んで復讐を計画する……

雑感

非常にテンポのよいコメディだ。白沢真実と黒岩賢介の掛け合い漫才は見事。白沢は確かに頭の回転が速いのは間違いないが、いかにも経験に乏しい。黒岩の詐欺行為を即座に見抜いたのは見事だが、海千の黒岩には簡単に言い負かされてしまう。

しかし、裁判記録を調べても宏樹に有利な状況ばかりで、宏樹の言い分を信用せざるを得ないと伝えた時の「そんなに次から次へと財津浩紀に有利な証拠が出てくること自体がおかしいと思わないのか?」には、こちらもハッとさせられた。

証拠映像が問題なら、それを握っている管理人はコピーを取らないわけがないので、取り返したからといって安心のはずがなく、ストーリーの組み立てには杜撰さを感じたが、まあ、そこは肝じゃないからいいのだ。

浜辺美波は映画「屍人荘の殺人」、ドラマ「アリバイ崩し承ります」ときてコミカルな演技に磨きがかかっている。若いが、もはや当代一流のコメディエンヌといっても差し支えないように思う。今後も岡田との掛け合いに期待だ。
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「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS)第四話(最終話)

サブタイトル

「過去への旅」

放送日

  • 2020年10月6日

登場人物

概要

玲子と慶太はともに眠れない夜を過ごす。異性関係にウブな玲子は、ゆうべのキスに戸惑い、なぜあんなことをしたのか気になって。慶太は、勢いでキスしてしまったが、やり過ぎた、と思って。朝起きたら、慶太は既にどこかへ出かけていていなかった。

玲子の両親は離婚しており、玲子は母に育てられた。第二話で逮捕のシーンがチラと映ったが、実は玲子は幼少の頃通っていたテニススクールで才能ありと言われ、父はその才能を開花させるため高額なレッスンに通わせ、さらにアメリカ留学の費用を捻出すべく、横領をしてしまったのだ。逮捕後、サチと離婚すると、行方知れずになっていた。

と玲子は思っていたのだが、キッチンの棚の奥に、知らない男の人から毎月送られてきた現金書留が、封を切らずにしまってあるのを見つけ、これは養育費で、差出人が父だと察する。しばし逡巡したものの、父に会うべきだと判断し、伊豆に向かう。

テニスの才能を伸ばしてやれない甲斐性なしの父で済まない、と謝る父に、自分は現在経理の仕事をしていること、毎日楽しく過ごしていることを話し、これからは自分のための人生を生きてほしいと伝えて去る。

雑感

完全に三浦春馬の追悼回だった。

三浦春馬パートは第四話まで撮影が済んでいるので、一部ストーリーを変えて第四話で完結にする、という説明だったが、三浦春馬は冒頭の寝姿(眠れずにいる様子)だけ。あとは回想シーンは何度も出て来たが、ドラマには一切登場しないのだった。そして周囲の人が慶太の思い出を語り出す。経理部の同僚が、板垣が、慶太の両親が。そして最後は玲子が。これは慶太のことではない。出演者が三浦春馬のことを語っているのだ。

翌朝、誰かがみずよう館にやって来、出迎えた玲子がゆっくり微笑んだところで終わる。朝帰りした母、あるいは一般客であればこんな顔はしないだろうから、この笑顔は慶太に向けられたものと考えるのが妥当だろうが、表情の変化がゆっくりだったことや、言葉を発しなかったことから、気配だけが帰って来て、これは慶太さんなんだわ、と感じたのかも知れない。こんな風にひょっこりと返ってきてほしい、と多くの人が三浦春馬に対して抱いているであろうことを表現したものとなった。

今回のほとんどの部分は三浦春馬がこの世からいなくなったあとで撮影されたものだろう。慶太を偲ぶシーンは、演技ではなく、それぞれの役者が、三浦春馬に対する気持ちを乗せて発したのだろうと思う。