窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「麒麟がくる」第三十二回「反撃の二百挺」

出演

あらすじ

光秀は戦の報告に義昭を訪れる。心配で三日も眠れなかったという義昭と摂津に、光秀は首をかしげる。三日も前に知っていたとは、恐ろしい早耳だ、誰から訊いた、その者は浅井と通じているのではないか、と摂津を睨む(「信長協奏曲」では、浅井裏切りの知らせは信長が京に到着した前日に義昭に届いたことになっている)。

いたたまれずに摂津が座をはずした後、義昭が出兵していれば浅井が裏切ることもなかっただろうし兵も勢いを増す、次の戦にはぜひ一緒にきてほしいと嘆願する。

屋敷に戻ると、美濃から煕子、岸、たまらが到着していた。牧は美濃に残った。光秀は、改めて、家族を守るためにも平らかな世を作るぞと決意する。

次の戦に備えて鉄砲を仕入れるべく、光秀は藤吉郎とともに今井宗久の許に向かい、鉄砲300挺の調達を依頼する。が、ちょうど今朝さる大名から250挺を依頼されたばかりで、300挺の調達はできないと断わられてしまう。その大名の名を聞いても教えてくれないが、本日夕刻に茶会を開くのでよかったら参加しないかと誘われ、参加者の名を知らされる。その中に筒井順慶の名があった。

今井宗久が、鉄砲の依頼をしたのが筒井順慶であることをさりげなく教え、かつ、買い取り交渉ができるよう、顔合わせの段取りをつけてくれたのだと光秀は気づき、順慶に、義昭と信長を紹介することを条件に200挺を回してもらうよう交渉し受諾を得る。

大量の鉄砲を入手した織田軍は姉川の合戦で徳川とともに浅井・朝倉と対峙し圧倒する。が、息の根をとめることはできず、朝倉は比叡山に逃げ込み、数万の僧兵を擁するといわれる延暦寺を味方につけた……

雑感

  • 光秀は摂津を口頭では厳しく責めるが、追い込みが足りない。スマホに戦国ニュースが流れてくるわけではなし、大急ぎで逃げ帰ってきた者たちより三日も前に敗戦の報を知っていたのは明らかにおかしいのだから、そこはもっと追求すべきだったのではないか。光秀の屋敷のある土地も、摂津が手に入れて将軍に献上したことになっているが、盗まれたと訴えが起きている。この件もどうなったのか。
  • 光秀は義昭に、将軍の旗が立っていたら兵の士気が違ったと訴える。ドラマを見ていると光秀はまるで信長の家臣のようだが、あくまで幕臣であり、将軍義昭の名代として信長に協力している形である。だから、光秀が将軍家の旗を立てればいいんじゃないかと思うのだが違うのか。義昭自身が戦場にいれば変わる士気があるかも知れないが、万一のことがあれば取り返しがつかない。戦の経験のない素人将軍が現場にいても、周囲が気を遣うばかりで、あまり役に立つこともないのでは、と思うのだが……
  • 伝吾は第十七回「長良川の対決」でクランクアップかと思いきや、牧が美濃に戻った時に姿を現わし、おやと思ったが、今回、煕子らとともに京へやってきた。この後は再び光秀に仕えるというわけか。美濃に残してきた田畑はどうなったのだろう。
  • 筒井順慶と初めて会った時に、藤吉郎がいきなり「京へは鉄砲の買い付けに来たと伺った」と喋ってしまう。今井宗久はそんなことを一言も話していない。個人情報保護の姿勢は貫きつつ、明智らに便宜をはかってくれた気持ちが台無しである。ここは、「京へは何用で?」と誘導尋問にかけ、本人の口から「鉄砲の買い付けに参った」と言わせるように仕向けるべきだった。結果的に交渉はwin-winに終わったら筒井順慶も恨みには思っていないだろうが、あとで「なぜペラペラとわしの名を教えた」と今井宗久が罪を問われることになったらどう責任を取るつもりだったか(責任など取れるはずもないが)。
  • 信長は延暦寺の僧兵と会った時に、自分らは御仏を背負って戦うと言われたため、実際に自分も仏像を背中に背負って暴れまわってみた。そういう意味ではないのだが、可愛いと言えば可愛い、しかしやっぱりヘンだ。
  • なぜだ、なぜ延暦寺は朝倉の味方をする、と憤慨する信長に、光秀は、つまるところこれ(金)ではありませぬか、と答える。これは今年の大河に特徴的な運び方だ。序盤で、通行人から(勝手に)金を巻き上げる僧兵の描写があったし、光秀が京に行きたいと言えば道三が「金はやらんぞ、貸すだけだ」と答えたり、御所の修繕に信秀が大金を出したエピソードを披露したり、とにかく何をするにも金が必要であり、その金をどれだけ調達できるかが重要であることを繰り返し描いてきた。ドラマでは生臭いことは避ける傾向が強いが、生活するにも金が必要だし、戦争をするには巨額の戦費がかかる。そこをはっきりと書いているのはよいことだ。

配役


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(2020/11/29 記)

「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(6)

サブタイトル

  • 連続殺人犯への復讐依頼! 真犯人は

放送日

  • 2020年11月13日

登場人物

概要

公式サイトより引用:

白沢真実と黒岩賢介に依頼者がそれぞれ別に訪れる。真実の依頼者・赤川は、妻を殺されたが警察が十分に捜査をしてくれない、犯人を見つけ出してほしいと言う。一方、黒岩の依頼者・青井は母親を一年前に殺されていた。青井は黒岩に巨額の報酬を提示して、犯人を探し出してほしいと頼む。別々に動いていた真実と黒岩だが、お互いに報告をする中で事件の共通点が浮かび上がる。

雑感

面白かった。強欲でいい加減(に見える)黒岩が、今回は莫大な報酬を提示した青井の依頼を辞退しようとし、途中で警察に通報して事件から手を引く。ヤバイと思った時の逃げ足は意外に速いのだ。

ただし謎解きの方はちょっと物足りなかった。意外な展開ではあったが、もう一回どんでん返しがあると思ったので、これで終わり? と少々物足りなかった。赤川も青井も、興奮すると気を落ち着けるために角砂糖をかじる癖がある。非常に珍しい行為が、見知らぬ間柄であるはずの二人に共通する理由が何かあるはずだが、それは明らかにされていない。青井の子が角砂糖をかじる姿を見た白沢が、警察へ真相を話に行く、と言った時は、まだ視聴者も知らない(角砂糖の謎を説明する)「真実」に白沢が気づいたのかと思ったがそうではなかった。残念。

次回は最終回。ちょっと物足りない。10~12回くらいやってほしかった。新コロナの影響?



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(2020/11/23 記)

「麒麟がくる」第三十一回「逃げよ信長」

出演

あらすじ

勅命を得た信長は、徳川家康池田勝正松永久秀、さらに若狭の国衆などを従え、大軍勢で敦賀まで制圧、金ヶ崎城に入城。が、浅井長政が裏切り、軍勢を引き連れて小谷を出たとの報が。

光秀はすぐに信長に上奏、すぐに撤退するよう進言。信長は、帝の信を得てのこの戦、敵に背は見せられないといったんは撤退を拒否するも、光秀の「織田信長は死んではならんのです!」との叫びでやむなく撤退を決意。しんがりを光秀、藤吉郎にまかせ、京へ逃げ帰る。

摂津晴門は、「この敗戦がいい薬になる、信長がもう少しわれらの声に耳を傾けてくれるようになれば」「もう信長は頼りにならない、やはり朝倉義景に上洛してもらわないと」などと義昭に伝える。が、義昭がすぐに女(駒)のところに行ってしまうのを、それはそれで苦々しく思っている。

京に戻ってきた信長は、帝に報告もせねばならぬ、帰蝶に文も書かなければならぬ、なんと言えばいい、負けたというのか、と光秀に愚痴る。光秀は、自分は負けだとは思っておりませぬ、と答える。「信長は生きて帰った、次がある」と言えばいいというのだ。

登場人物の満年齢(1570年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智光秀 42 42
織田信長 36 28
柴田勝家 48 45
木下藤吉郎 33 52
徳川家康 27 37
松永久秀 62 61
浅井長政 25 28
23 17
足利義昭 33 43
朝倉義景 37 49

雑感

  • 浅井が軍勢を引き連れて小谷を出た、との報を聞いて、信長がまず言ったのは「わしは加勢など頼んでおらぬ」であり、裏切りだと言われても「なぜだ……」となかなか信じられない様子だった。しかし、これまで浅井長政が登場したのは、二条城ができた時に挨拶にきただけ。市も初登場。織田と浅井の絆が全く描かれていないため、信長が長政をやけに信じている様子や裏切られてショックを受けているのが理解できない。いろいろと不測の事態が続く中で割を食った箇所なのかも知れないが、もったいなかった。たとえ10~15程度でもいいから、以前に浅井と同盟を結ぶシーンを入れていれば(その時に朝倉を攻めないと約束していれば)もっと重厚なものになっただろうに。
  • 長政が裏切る理由が、朝倉との不戦の約束を信長が破ったからだ、というのはなかなかいい理由だった。
  • 市が小豆を送り付けるエピソードはなかった。どんな話にも出てくるエピで、てっきり史実だと思い込んでいたが、調べてみると後世の作り話っぽい。
  • 藤吉郎が自分にもしんがりをやらせてほしいと光秀に訴えるシーン、3分20秒の長台詞で、一刻を争う事態だというのになんでこんなに長々と自分語りをしているのだろうと、疑問に感じた人は多かっただろう。自分は、単に長いことより、妹の芋粥がなんの譬えなのかわからず、戸惑った。自分は羽があるのだから跳びたい(しんがりが務まる実力があるのだからそれを発揮したい)、たとえ死んでも名が残るなら本望、という話と、死にかけた妹に粥を食わさず自分が食べてしまったのは、何の関係があるのか。



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(2020/11/22 記)

「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(5)

サブタイトル

  • 余命半年復讐

放送日

  • 2020年11月6日

登場人物

概要

公式サイトより引用:

白沢真実と黒岩賢介の元を訪れた依頼者は、会社経営者の古沢順三郎。古沢は医者から余命半年の宣告を受けていた。古沢はかつて強欲な経営者だったが、妻・奈津子は心優しく、皆から慕われていた。だが25年前、奈津子は刺殺されてしまった。古沢は時効になってしまった犯人を探し出してほしいと言う。真実と黒岩は古沢の下で働く織江と、元同僚の美佐子に話を聞く。

雑感

今回は一際面白かった。早い段階で殺人事件の犯人にたどり着くが、実はそれを覆す真相があった。と思ったらさらにそれは覆され、と三転する。まったく意表を衝かれる展開だ。

その上、これが犯人? となったあとにエンドロールが流れて途中で止まるなど、メタ的なレベルでのいたずらもあった。一回目は早すぎるからフェイクだと気づいたが、二度目は信じかけた。

こうした展開が純粋に楽しめるのは、現実だったら仮にも人を殺した人が、その直後に刑事の取り調べを受けて(犯人扱いではなく、単なる事情聴取だとしても)平静でいられるわけがないからだ。刑事に「あ、こいつ何かを隠している」と気づかれることなく、しかもその後25年にもわたって誰にも真相を打ち明けることなく、普通の生活を送るなどということが生身の人間にできるわけがないので、それをできることにして話が成り立つのが「ミステリードラマ」なんだと思う。

気になったこと

白沢真実が黒岩賢介と話す時のエラソーな感じはいいのだが(TRICK的だが)、顧客と話す時にほとんどの場合にお説教が始まってしまうのが難だ。確かに相談者は違法行為をしている、または違法すれすれの行為をしているのかも知れないが、だからといって話を最後まで聞かないうちに断罪が始まるのは興を削ぐ。若くて経験が浅く、性格的に適応力が低いことの証左としてなんだろうけど……

古沢順三郎が何の病気で余命わずかなのかはわからないが、長くて半年と言われながら、その後もずっと普通に出社し、仕事を続けているのは信じられない。短い時間だけ出社して大事な決裁のみ関わり、あとは療養している、とかならわかるのだが。

配役

中山忍の演じる杉坂織江はキーになる役。ここはもう少し演技力のある役者を配してほしかった。突如、雰囲気をガラリと変えて笑い出すシーンの笑い声がいかにも作為的だった。ここが今日のドラマのターニングポイントなのに。無名でもそれができるレベルの人はいるだろうに、と思う。

赤間麻里子は、映画「わが母の記」(2012)で役所広司の妻役を演じたのが映画デビュー。「イン・ザ・ヒーロー」「駆込み女と駆出し男」「日本のいちばん長い日」「劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救助-」などにも出演しているようだが後半の三作はクレジットなし。


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(2020/11/21 記)

「麒麟がくる」第三十回「朝倉義景を討て」

出演

  • 柴崎楓雅(奇妙丸)

あらすじ

光秀は信長に呼ばれ、岐阜からやってきた左馬助(久しぶりに登場)と入れ替わりに岐阜へ行く。名目は妻子に会うためだが、実際には次の戦をどうするべきか信長と話し合うため。

木下藤吉郎は、幕府には朝倉と通じている者がたくさんいる。その者らを一掃しない限り幕府の立て直しはあり得ない。そのためには朝倉を叩くのが一番という。

帰蝶は、斎藤龍興が朝倉と通じ、美濃を取り返そうと虎視眈々と狙っている。いくら京を平定しても美濃を取られたら意味がない。だから朝倉を討つべしという。

信長は、自分一人では朝倉を討つのは無理だが、誰が味方になってくれるかを考えている。

光秀は、帝に拝謁することを助言。帝に戦が認められれば、大義名分が立ち、近隣諸国からの味方も得られるだろうと。会ってくれるか訝しむ信長に、御所の修繕に力を尽くした信長であるから、「道は開けるやも知れません」と励ます。

一方、帝(正親町天皇)は東庵と囲碁を打ちながら、信長が上洛の折に会いたいと言ってきたが、会うべきか? と相談し、東庵は、お会いなさいませ、と答える。

帝に会った信長は、帝が自分のことをよく知っていたこと、すぐれた武将だと褒めてくれたことをことのほか喜ぶ。そしてついに朝倉攻めが始まる。

光秀は煕子、岸、たまと再会。煕子は、自分たちを京へ呼んでほしいと訴える。美濃から京までの道のりは女・子供には決して楽ではなく、京も安寧の地とはいいがたい。しばし躊躇する光秀だが、煕子の強いまなざしを受けて、京へ呼ぶことを約束する。

京に戻った光秀は、足利将軍家も織田と共に北陸攻めに出るべきと説くが、義昭は「和議の仲立ちをするのが将軍の役目」と兵を出すのを嫌がり、三淵藤英は、一時とはいえ世話になった朝倉に弓を引くつもりはないという。反論しようとする光秀に、摂津晴門は、阿君丸(くまきりまる)を暗殺したのは三淵であるとバラし、大事なはかりごとはみなでやるもの、信長のスタンドプレイには誰もついていかないと言い捨てる……

駒は、将軍の、貧しい者を救うための悲田院作りという夢に共鳴し、丸薬の製造販売で得た利益から、既に二百貫(約3000万円)を献上。義昭は駒と話をしていると心が慰められるといい、一緒に城を抜け出して蛍を見に行き、戻ってきて、蚊帳の中でつかまえた蛍を放ち、そして……

今日の光秀&駒

将軍に招かれたという駒を見送りつつ
「公方様が……お待ちかね!?」

今日の帰蝶&光秀

帰蝶様は、朝倉との戦をどう思われますか」
「我が兄の子、斎藤龍興は、朝倉をそそのかし、この美濃を取り返そうとたくらんでおる。(中略)それゆえ私は申し上げました。朝倉をお討ちなされませ、と」

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公式サイトより

登場人物の満年齢(1570年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智光秀 42 42
織田信長 36 28
木下藤吉郎 33 52
足利義昭 33 43
松永久秀 62 61
朝倉義景 37 49
煕子 40 32
7 9
明智左馬助 34 27

雑感

  • 帰蝶の登場は久しぶり。なんと、第21回(6月7日)以来だそうなので、5ヶ月ぶりになる。そして、相変わらず僕らの帰蝶だった。
  • 信長が帝は会ってくれるか心配したり、光秀が「道は開けるかも」と曖昧なことを言ったり、帝自身が会うべきか人に相談したりしていたのは、当時の信長は昇殿を許される身分ではなかったからか。
  • 駒は信長の妻・帰蝶と親しく、秀吉・家康に好かれ、関白・近衛前久とも顔見知り、今井宗久とも親しく、ついに将軍・足利義昭の寵愛を受けると、その人脈のすごさは驚くばかりだが、東庵先生はその上をいっていた。なんと、帝と碁を打つ間柄だとは……
  • 摂津晴門が調子に乗って阿君丸殺害の真相をペラペラしゃべったが、何のためにしゃべったのかよくわからない。それを聞かされた三淵は眉ひとつ動かさないが、心中は、バカ何喋ってんだよ、と思っていたに違いない。


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(2020/11/16 記)

筒美京平からの贈りもの

タイトル

  • 筒美京平からの贈りもの 天才作曲家の素顔(NHKスぺシャル)

放送日

  • 2020年10月31日

概要・雑感

内容は下記の三本立て。

  1. 筒美京平が作曲した歌をいろいろな歌手が歌うパート
  2. 筒美京平の作曲法のについての解説
  3. 筒美京平と親しかった人による回想

50分とコンパクトにまとめたのはよいと思う(2時間なら見ていない)。

1は、たくさん紹介できないのは仕方ないが(岩崎宏美郷ひろみも出て来なかったのは驚いたが)、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」や太田裕美の「木綿のハンカチーフ」は何度も(同じシーンを)流したのは疑問。一回でよいのに。

2は、「木綿のハンカチーフ」のコードにセブンスが入っているとか、イントロが一番大切だとか、それは作曲ではなく編曲やろと思った。編曲も筒美京平がしているわけだから、いいけど……

3で、松本隆のインタビューが一番長かったが、一番見応えがあった。

1973年に初めて会った時に、筒美から「趣味で音楽ができていいわね」と言われたとのこと。ジーンズにTシャツ、長髪姿だった松本は、「趣味で音楽やっちゃいけないの?」と言い返したという。筒美33歳、松本24歳のことだ。

大ヒットとなった「木綿のハンカチーフ」は、松本の詞に当初は筒美が「これじゃ曲がつけられない」と断わるつもりだったが、松本がつかまらないため、仕方なくしばらく預かっているうちに曲想が湧いてきた、というのは有名なエピソードなので知っていたが、この話を聞いた時は「プロは曲先が多いと聞くが、この曲は詞先だったのね」ぐらいに思っていた。

今回の話によると、太田裕美のデビュー曲からずっと組んでいるが、歌謡界の慣例に従って曲先だったのだそうである。しかしなかなかヒットが生まれない。この状況を打破したいと考えたが松本が、(フォーク界の慣例に従って)詞先でやらせてほしいと頼み込み、渡したのが「木綿のハンカチーフ」だったのだそうだ。

松本隆の話が聞けたのはよかった。このような企画はどんどんやってもらいたい。


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(2020/11/15 記)

「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(4)

サブタイトル

  • パパ活相手へ復讐! 潜入捜査開始?

放送日

  • 2020年10月30日

登場人物

  • 穂志もえか(杉本涼子、パパ活をするOL)
  • 堀部圭亮(平山一良、涼子のパパ活の相手)
  • 小松利昌(本村、會桄出版社員)

概要

公式サイトより引用:

白沢真実と黒岩賢介の元を訪れた今回の依頼者は、OLの杉本涼子。奨学金600万円の借金を抱える涼子は生活のためパパ活をしていて、一番最初に会った男(平山一良)とデートを重ねるうちに恋愛感情を抱いた。だが男は二週間前のデート中に財布の入った涼子のカバンごと姿をくらませ、電話もメールもブロックされてしまった、気持ちを弄んで裏切った男に仕返しをしたいと言う。

雑感

奨学金パパ活など、話題の現象を取り入れて、つなぎ合わせてみました、ということか。話をひねり過ぎた印象。

平山一良の立場から見ると、こういう展開である。

  1. かつては小説家志望で定職に就かず、生まれたばかりの子供がうっとうしいと離婚
  2. 20数年後、本村がパパ活をしていてこれからOLに会うというので見てみると、相手は我が子(SNSで顔を知っていた)
  3. 本村に因果を含めて、その人の名を騙り娘に会う。以後二年間、単なるパパ活の振りをして娘と逢瀬を続けた
  4. 娘が小説家志望であると知って、いろいろとアドバイスする。自分と違って才能があると確信
  5. 大きな文学新人賞を取ることがわかったため、パパ活がマスコミに漏れたら一大事だから、電話とLINEをブロックして連絡を絶つ
  6. 復讐代行と名乗る男女がやってきたので、真実を説明
  7. 復讐代行の手引きで文学新人賞の受賞記者会見の場に潜り込み、インタビューで自分に感謝しているらしい発言を聞いて涙ぐむ。名乗り出るつもりはないと言って去る

4番目まではわかるとして、5はなぜ事前に受賞がわかったのか謎だし、7は晴れの場面を見たかったのだとしても、あんな目立つ場所に立っていたらバレバレで、自分の存在をアピールし脅迫しようとしているのかと思ったほど。

杉本涼子の立場からみるともっとわからない。

  1. お金に困ってパパ活を始めたら、やってきたのは父親だった。
  2. 相手は自分が気づいていないと信じているようだったので自分からは何も言わず、単なるパパ活のふりをしてお金をもらい続ける
  3. ある日突然連絡が取れなくなったため、恨みを晴らしたいと嘘をついて復讐屋に依頼
  4. 本名と現住所を教えてもらったところで調査を打ち切る
  5. 平山が実の父であると復讐屋が気づくように仕向ける。結果、記者会見の場に平山を連れて来ることまで織り込み済み
  6. 平山が妻子を捨ててまでなりたいと願い、ついになれなかった小説家に、自分はなった。それが自分の本当の復讐

3、何も嘘をついて復讐屋に依頼しなくても、連絡先だけを探してくれる探偵屋さんはそれこそいくらでもいると思うが。
5、白沢真実が指輪を売りたいと言い出す→傷があるからこのままでは売れないといい、知り合いの修理屋を紹介→白沢真実がその情報を真に受けて杉本の知り合いの修理屋を訪問→杉本の紹介だと言い、さらに、本村への復讐を依頼されたと喋る→店主から真実を聞き出す……という、これだけのステップを踏んでようやく目的が果たされるわけで、一言で言って「あり得ない」
6、たかが新人賞をもらっただけで、小説家になったつもりでいるのはいくらなんでも早計。デビューできただけで、プロになれるのかどうかはまだまだこれから。小説家とは呼べなくても、プロのライターとして20数年を業界で生きてきた平山を「抜いた」と断じるのもまだ早い

6に関しては涼子の若さゆえで、脚本が悪いわけではないが。

白沢真実の口が軽過ぎる。今回に関してはそうでないと話が転がらないのだが、それにしても依頼内容を他人に漏らすなど言語道断だろう。

というわけで今回に関しては脚本には感心しなかったが、浜辺美波のコミカルな演技と喋り方、突然白目を剥いたり、黒岩におちょくられて突如中国人みたいな喋り方をしたり、とにかく飽きない。このドラマはもうそれだけでいいのかと思う。


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(2020/11/14 記)

「光秀のスマホ」の面白さ

「光秀のスマホ」は近年まれにみる面白さで、もう既に5回か6回は見返している。成功要因としては次の三つがあるかな、と思う。

  1. 一話5分と短い。30分とか40分とかだったらダレる(もっとも、全6話を一気見しても、飽きないけど)
  2. キャラを三人に絞り、ライバルの秀吉は顔、怖い上司の信長は声のみ、主人公は最初から最後まで指先のみ。贅肉をそぎ落とし徹底的にシンプルにしたのがよかった。これできちんと演技をした役者もすごいと思うが。もう一人玉ちゃんがいて、普通にかわいかったけど、名前のクレジットがなかった。前半の玉と後半の玉は別人ではないだろうか?
  3. スマホの画面の中が徹底的に作り込まれている。だから何度も繰り返し見てしまうし、画面を止めたり拡大させて見たりしてしまう。このあたりはスエヒロさんの力かなと思うが、ぐるぐるスクロールさせてしまって一瞬しか映らないところにもちゃんとネタが仕込んであるのだ。LINE的なアプリの名称が「FUMI」だったり、通信状態を示すのがNOROSY(のろし)だったり、命名のセンスもいい。ただ、最も使われているtwitter的なアプリの名前がわからなかったのが残念。

それにしても、よくNHKがこんな番組を作ったものだ。ふざけた内容は真面目に作るから面白い。セットも衣装も、かなりしっかりとできていたが、大河ドラマのスタッフの全面協力があったとのこと。もちろん、大河ドラマの主役と同一人物で、連動企画だったことも功を奏しただろう。


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「光秀のスマホ」(6)「#敵は本能寺にあり?」

概要

秀吉の援軍を命じられた光秀だが、地図アプリで確認したルートは亀山城から本能寺への道筋だった。FUMIグループで明智重臣団へ、本能寺を討つ旨通知する。みなは半信半疑だが……

燃え盛る本能寺。信長から「是非に及ばず」とFUMIがくる。それを読んだ光秀は、静かに「信長」アカウントを削除する……

本能寺の変を知った秀吉から「慶賀の至り」とのFUMIがくる。チラと映った過去履歴では、「信長さまは明日本能寺に滞在される」「お付きも30人ほどで手薄」などと送られてきており、秀吉がけしかけているのが明らか。秀吉は、光秀の大英断だと褒めそやすが……
移動中に玉から電話がかかってくる。「お土産買ったからね」「早く帰ってきて」などとやり取りをした直後、目の前を歩む部下(らしき人)が襲われ、光秀のスマホの横にうしろから真っ赤な竹槍が飛び出してくる。光秀は倒れる。

倒れた光秀の手から誰かがスマホを取り上げ、戦国ニュースを見る。そこのニュースの見出しは「名君・織田信長氏が本能寺で散る 謀反人・明智光秀氏に批判の声」で、またインタビューを受けた秀吉は「必ずかたきを討つ」と涙ながらに語っていた。

雑感

山田孝之の手の演技が見事。不安、迷い、ためらい、諦念、愛情、などを指先で見事に表現している。

光秀が家臣団にFUMIで本能寺襲撃を指示した時、左馬助は「からの~?」と三回繰り返している。これは、冗談めかしつつ、なんとか指示を変えさせようと彼なりに必死だったのではないか。忠義ぶりが切ない。

玉ちゃんがかわいい。第5話でもそうだったけど、本当にいい娘に育った。

本作では山崎の合戦はなかったことになっているようだ。



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「光秀のスマホ」(5)「#もしかして、時は今だったりする?」

概要

信長から直電。明後日家康が安土に来るので、光秀に貸している茶器を見せたいから今すぐ安土に持ってこい、と。いつもながら無茶振りに腹を立てて裏垢で信長の悪口をつぶやいたつもりが、うっかり本垢でつぶやいてしまう。玉から「ぶちぎれてどうしたの?」とFUMIが来て気づき、慌てて削除したが……

その直後、信長からのFUMIで、さっきの茶器の件はなし、その代わり家康の宴会係をやれとのこと。先ほどの誤爆つぶやきを見られたのか? そうではないのか? 今度こそ裏垢であることを慎重に確認し、「面倒くせー」とつぶやく。

しかし家康に腐った魚を出してしまい、宴会係もクビになる。この事実は、視聴者は光秀が見ているスマホの画面で、「光秀氏が解任、宴会に“腐った魚”で信長氏が激怒」という見出しの戦国新聞の記事、および、信長とやりとりしたFUMI「もういい、宴会担当は交代(中略)処遇は追って決める」などによって知ることになる。

結局、丹波を没収されてしまう。秀吉からは、自分も上様から木刀で殴られたりロウソクの火で火傷させられたりしている、光秀の気持ちがわかるのは自分だけだ、と言われ、「ところで……」と、知り合いの記者から、上様を裏切ろうとしている大物家臣がいるという話を聞いたのだが何か知っているか、と尋ねられる。知らない、と答える光秀に、「上様を裏切って討とうものなら、歴史に名が残る」「そうなった方が私たちも助かる」などと言い始める。「その話は聞かなかったことにする」とかわす光秀だが、何が思うところがあったのか、「ときは今あめが下しる五月かな」という句をアップする……

雑感

信長の言っているのは、大事な客がくるから貸している茶器を返せというだけで、いささか急過ぎるきらいはあるが、非難されるほどの話とは思えない。少々腹が立ったからと言って、いちいち裏垢で上司の悪口をつぶやく光秀の方が問題ありだ。

しかし、秀吉は煽るなあ。本ドラマにおける光秀は、根が単純で調子乗りである。前回、上様は確か馬が欲しいと言っていました、という秀吉の言葉を真に受けて信長に馬を贈って送り返されてしまう光秀なのである。最後に光秀がアップした句は、信長を討つ決意をしたとされるもの。この句が出てきたら、いよいよだ。



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「光秀のスマホ」(4)「#信長様にフルボッコされるまで」

概要

丹波攻めで苦労している。信長から進捗を訊かれ「あと一息です」と答えるも「お前はいつもあと一息だな」と返される一コマも。

信長からの直電で「お前は本気を出せば猿など比ではない」と励まされたと思ったら「間もなく佐久間信盛、林秀定を追放する。意味は分かるな?」と脅される。「丹波・オア・ダイ!」

発奮した光秀は丹波・丹後を平定。褒美としてしじら織百反と丹波の国を賜る。

その頃、元稲葉一鉄の家臣であった斎藤利三が新たに光秀の家臣に加わる。が、信長から、「稲葉一鉄に返してやれ」との指示が。断わると、光秀のところへやってきた信長に「ちょっと手柄を立てたぐらいでいい気になってわしに逆らうのか」と足蹴にされる……

雑感

第三話の松永久秀の件は不問にされた模様。しかし信長の冷血ぶりに改めてゾッとする。

しかし、信長の機嫌を取ろうとして好みを秀吉に聞いたり、ご機嫌取りを見抜かれて誤魔化したり、秀吉情報を真に受けて信長から送り返されたり、光秀は性格がセコイ上に頭の回転もイマイチ。いくらなれなれしく寄ってくるからといって、キミが秀吉のことを死ね死ねと思っているのと同じように、相手も光秀のことを思っているのだろうから、ちょっとは考えろよなあ……

ようやく丹波を平定させ、面目を施した光秀だが、信長に面と向かって逆らったのは、やはりいい気になっていたのか? 最終的には断わるにしても、もう少し言い方がありそうだとは思った。もっとも、信長がなぜ稲葉に戻せと言ったのかは謎。

史実では斎藤利三は光秀の家臣を続け、本能寺の変・山崎の合戦で光秀と行動をともにし、ともに死んでいる。春日局の父である。



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「麒麟がくる」第二十九回「摂津晴門の計略」

出演

あらすじ

二条城が完成した。しかし、資材をかき集めたことで多くの反発も招いた。そうした不満の声が摂津晴門の元に届き、摂津は義昭の耳に入れる。義昭は、信長が自分のためにしてくれたことだから反対はできない。が、いつまでも信長が京にいるわけではない。岐阜に戻ったら、少しずつ返そう、と約束する。この「口利き料」で摂津は寺から小金をせしめる。

光秀が妻子をいずれ京に呼び寄せるつもりだと知った義昭は、住むところが必要だと土地を与える。が、その土地は騙されて盗られたものだとの訴えが上がってきた。それをしった細川藤孝はすぐに光秀に知らせ、光秀は摂津を問い詰める。公方様より賜ったものだが、土地を確保したのは政所、それが騙して巻き上げた土地だとはどういうつもりか、と。摂津は、こんなこといちいち気にすることはないと誤魔化そうとするが、光秀は、目をつぶるわけにはいかない、直ちに吟味するよう伝え、摂津は、ながーいながーい時間をかけてじっくり調べましょう、と答える。

二条晴良によって失脚させられ、京を追われた近衛前久は、ひそかに京に戻り、伊呂波太夫を通じて光秀に会う。前久は、今の幕府は、己の私利私欲を満たすことしか頭にない連中ばかり、これでは世は平らかにはならないと指摘する。

太夫は、御所の壁があちこち崩れているが帝には直す金がない、手を貸すべき幕府も知らん顔だと窮状を訴える。

光秀は信長に、幕府は腐っている、人を全部入れ替えるべきだと訴えるが、信長は、幕府のやることに口は出さない、それは光秀の仕事だと言い返し、朝倉義景へ備えるために岐阜へ戻っていった。

今日の光秀&木下藤吉郎

「今日はいかなる御用で」
「信長様に申し上げたき儀があり――」
「あ、昨日お会いになった近衛前久様の件でございますか」

登場人物の満年齢(1569年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智光秀 41 42
織田信長 35 28
木下藤吉郎 32 52
足利義昭 32 43
細川藤孝 35 43
近衛前久 33 29
浅井長政 24 28
朝倉義景 36 49

雑感

絵に描いたような悪役(摂津晴門)の登場だが、それはそれとして、室町時代後期の幕府の統治機構はどのようなものであったか、とても興味がある。が、不勉強なせいか、これまで見たり読んだりしたドラマや小説・漫画はもちろんのこと、まじめな歴史書・解説書の類でも、ここを解説したものを見た記憶がない。形骸化したとはいえ、室町前期のものを引き継いでいたのだと漠然と思っていたが(思っているが)、問題は、どの程度の力があり、どの程度形骸化していたのかだ。

これはドラマで必ずしも史実通りではないだろうが、摂津晴門の名が知れただけでも良かった。

しかし、摂津に訴え出た寺社、信長に襖を全部取られて寺の形を成さないなどというが、摂津に袖の下を渡す金があるなら、その金で新しい襖を作ればよかろうにと思うのだが、別の目的があったのだろうか。

木下藤吉郎は光秀がひそかに会った相手が近衛前久であることをちゃんと知っており、それを光秀に明かすことで釘を刺す、実に油断のならない人物だ。信長にとっては役に立つ人材だろうが、下手をしたら寝首をかかれかねない。その点光秀はまっすぐで裏がないだけに扱いやすそうだなあ。

その光秀、口喧嘩でも摂津に後れを取っていなかった。成長の跡がうかがえる。

浅井長政初登場だが、ちょっと初登場が遅かったのではないか。来週は朝倉攻めが始まるようだから、ということは……。早い回に市を登場させ、浅井と講和を結び市が嫁に行くエピソードをやっておくべきだったのではないか。今の浅井が朝倉についても、あ、そう、というだけで、裏切られた感がないもの。


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「タリオ 復讐代行の2人」(NHK)(3)

サブタイトル

  • 父の敵を討ちたい! 9歳少女の復讐

放送日

  • 2020年10月23日

登場人物

概要

公式サイトより引用:

正義感の強い元弁護士と怪しげな詐欺師が組んで、事情を抱えた被害者からの依頼を受けて悪人に復讐する。第3話はパワハラで父を失った娘の復讐話。真実と黒岩のもとに、小学生の女の子から依頼がくる。父親が転職した会社でパワハラにあい、命を落とした、お金はわずかしかないが復讐してほしい、という。父への想いから他人事とは思えず、真実は先方の会社に乗り込む。

雑感

面白かったー。こういう話を見たい。前回のような話はいらない。

ストーリーの展開はだいたい想像通りに進んでいき、特に謎はない。とにかく、白沢真実の頭はいいんだけどすごく頭の悪いところや、ずっと年上の黒岩を常に上から見るところ、コミカルな演技、そして黒岩との掛け合い。このキャラクター性がすべてなのだが、今回はITベンチャーパワハラという今風な話題をとり混ぜ、正面切ってもらちが明かないが派遣社員を抱き込んで事情を聞き込み、わざと挑発して怒鳴りつけた相手の声を録音して証拠としたり、一応しかるべき手を打っていて矛盾はなかった。

晴香役、古川凛の演技が見事。最後、お父さんに謝りたかったと泣くところではぐっときた。

配役


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(2020/11/4 記)

「麒麟がくる」は全44回放映

新コロナの影響で長期間撮影が中断され、放送予定も大幅に狂ってしまい、この後どうなるのか気を揉んでいたが、当初の予定通り44回を放映すると公式アナウンスがあった。

現在放送中の大河ドラマ麒麟がくる」最終回の放送予定日が決まりましたので、以下のとおり、お知らせします。

大河ドラマ麒麟がくる
<最終(第44)回>

2021年 2月 7日(日)夜 8時00分~ 9時00分(総合・BS4K)
※15分拡大版 「麒麟がくる」紀行含む
<前 9時~(BS4K)/ 後 6時~(BSプレミアム)>

※全放送回数、44回については、当初予定通りで変更ありません。

もともとオリンピックのための休止期間があることを見込んでの44回なので、今さら「予定通り」44回に固執しなくても、例年通り50回やったっていいんじゃないかと思う。そうすれば、次の大河はちょうど4月からになり、それはそれできりがいい。今度から4月スタートで一年間、ということにしたらいいんじゃないか。

ドラマの方も、28回が終わったところだが、全44回なら既に2/3が過ぎたことになる。しかしようやく足利義昭が将軍になったばかりで、光秀が信長の家臣になってもいない。「光秀のスマホ」でも全6話のうち第1話で光秀は信長に義昭を紹介し、家臣になっている。これからどう話を進めていくつもりなのかわからないが、もう少し尺がほしいところだ。


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「麒麟がくる」第二十八回「新しき幕府」

出演

あらすじ

1568年、足利義昭織田信長を従えて上洛を果たした。織田軍は京の三好勢を一掃し、(三好の拠点であった)芥川山城へ入城。光秀は将軍の奉公(ほうこう)衆に取り立てられることになった。

松永久秀の処分をめぐり、三淵藤英らは義輝暗殺に関与していた疑いがあるとして処罰を主張したが、柴田勝家ら織田方は、将軍暗殺に関与していた証拠はなく、こたびの戦で功があったのだから当然、相応に遇するべきだと主張して譲らない。義昭は、上洛は信長の力があってこそ、松永の件は信長殿の意見に従おうと言って三淵を説得する。一方、信長には、幕府の政務は前将軍に仕えていた摂津晴門に引き続き任せたいとして承認を得る。光秀や藤孝は、摂津は幕府の今日を衰退を招いた張本人ともいえる人物であり、登用に疑問を感じるが、今は任せておくほかない。

足利義栄は摂津で病死。足利義昭は正式に室町幕府15代将軍となる。

年が明けて、三好の軍勢が将軍御座所である本国寺を襲撃した。幕府軍が必死で防戦し、細川藤孝池田勝正が救援に駆け付け、三好軍は退却した。*1

藤孝は、京には関所もあるのに、なぜ軍勢が近づくまで誰にも気づかれなかったのかと不思議がる。光秀は、幕臣の中には三好と組んで私腹を肥やしていた者が少なからずいて、彼らは三好が復興した方が都合がよいから、内応したのではないかという。

その後駆け付けた信長は、なぜ自分に一番に知らせないのか激怒して摂津晴門を責め立てる。そして、将軍御座所として新たに二条城を作ることを決める。

短期間で二条城を築城するため、近隣諸国から必要な資材や人を集めることにしたが、寺社からは石仏まで徴収した。何に使うのかと聞くと、石垣にでも使えばいいという。仏罰など信じていない信長に、光秀は複雑な表情を向ける……

今日の公方様

「(今日に妻子を呼ぶという光秀に)それはよい。住むところは摂津晴門に命じてよき所を与えるゆえ、案ずることはないぞ」

今日の光秀&駒

「案ずるな、わしは負けん」
(いや、あんた指揮を執ったわけではなく、最前線で無双していたわけでもなく、将軍様のそばで話し相手しとっただけやん……)

雑感

あらすじが長くなった。

会社などでも、組織を立て直そうという時は、現在の担当者に態度を改めてもらうより、人を入れ替える方が簡単だが、職務の専門家・経験者でないとわからないことは多々あり、単純に入れ替えると業務が止まってしまう、というのはよくあることだ。摂津を追放するのは簡単だが、代わりが務まる者がいないのだろう。

今回特筆すべきは、石仏の使い方をめぐって信長と光秀の明確な意識の差があったこと、あと、これもあらすじでは述べていないが、駒が義昭と偶然再会し、義昭が駒を覚えており、落ち着いたら城に遊びに来るようにと言ったこと。既に信長の妻と親しく、秀吉・家康から好かれ、前関白とも顔見知りという駒だが、その上将軍様ともお親しいんですかあ?


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*1:なおドラマでは描かれなかったが、攻撃した側の先鋒を務めたのは斎藤龍興であった。また、幕府軍の救援として浅井長政も駆け付けたようである。