窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「義経のスマホ」(6)「肝心なことを見落とす男」

放送日

  • 2022年6月1日

粗筋(公式サイトより)

最終決戦壇ノ浦!先陣をめぐり梶原景時とメッセージバトル。「頼朝兄貴からの“いいね”が欲しい!」功を焦る義経が、あのスマホ“あるある”をやらかし大ピンチ!

雑感

頼朝がわざわざ「トッププライオリティは安徳天皇の保護と三種の神器の確保」だとリマンダーまで送って来たのに、それを無視した義経は電話で直接叱られ、縁を切られてしまう。おまけに武家ハラがあったと武運春オンラインですっぱ抜かれ……

大河での頼朝と義経のすれ違いは、直接話し合うことができず意思疎通が十分はかれなかったから、のようにも感じられたが、スマホがありネットがあって直接話すことができても、結局この二人は拗れるのだな、と思ったら切ない。道具はあくまで道具に過ぎないから。



映画ランキング

「義経のスマホ」(5)「わかりやすく調子づく男」

放送日

  • 2022年5月31日

登場人物

粗筋(公式サイトより)

源平クソリプ合戦! MAPアプリを頼りに屋島平氏を急襲。SNSで拡散すべく、那須与一の扇チャレンジをビデオ撮影。スマホが捉えた絶体絶命の大ピンチ!?

雑感

  • 静御前がYouTuberねえ……
  • 義経陰キャっぷりにますます磨きがかかっている。
  • 義経は最後まで顔が見られないのかな。



映画ランキング

「鎌倉殿の13人」(21)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第21話「仏の眼差し」

放送日

  • 2022年5月29日

登場人物

今日の退場者

概要

源義経を失った奥州に攻め込み、藤原泰衡を討ち取る源頼朝。義時・畠山重忠らが義経を思い出す中、頼朝は毅然と上洛に向けて動きだす。一方、京の後白河法皇丹後局と今後の動静を憂慮し、来るべき日に備えていた。そんな中、鎌倉では八重が子どもたちの世話に奔走。八重の明るい表情に、政子も目を細めるが……。(NHKオンデマンドの解説より)

大軍を指揮して頼朝は奥州へ攻める。戦闘シーンはなし。泰衡の家人であった河田次郎が首級を持ってくると、頼朝は、主君を裏切るとは許せぬと言い、首を刎ねるよう命じる。

畠山重忠は義時の妹ちえと夫婦になっていた。ちえは初登場。別の妹あきも初登場。稲毛重成に嫁いでいる。北条時連も初登場。北条一族もだいぶ大所帯になった。りくも男児を出産。が、比企氏の方が活躍していると苛立ちを隠さない。もっと手柄を立てろと発破をかける。

大姫は明るく気が触れてしまったようだ。オカルチックなおかしな行動を繰り返す。

八田知家が連れてきた鶴丸が新たに八重の世話する子らに加わる。15人を超えた。金剛は、自分一人の母でいてほしいと言うが、八重は、困っている人を助けたいのだと説明する。

外で遊んでいる時に鶴丸が川に嵌まってしまう。八重は川に飛び込んで鶴丸を助け、事態に気づいた三浦義村が八重から鶴丸を受け取って安全なところへ寝かせ、八重を振り返るといない。川に流されてしまったようだ……

雑感

頼朝が河田次郎咎めるシーンは震えた。これからの世に必要なのは忠だというが、泰衡の家臣全員が忠義を尽くし鎌倉方に抵抗していたら、頼朝らはもっと苦労したはず。こんなことを言われたら、家臣はたまったものじゃないよな。自分に対してのみ忠を尽くせ、を徹底すればよいのではと思うが。

大姫がおかしな行動を取り続けても、誰も咎めない。家臣たちはともかく、政子や時政、りくなどは叱ればよいと思うが、なぜ知らん顔をしているのか。なお、大姫は本当におかしくなったわけではないのでは、という推測がtwitterに流れていた。正気であればどこかに嫁がされるから、わざと狂っているふりをしているのでは、と。なるほど、確かに、先週は頼朝が天皇家に嫁がせるなどと言っていたし。

15人を超える子がいたら、八重のほかに乳母役が10人くらいいなければ面倒を見るのは無理だと思うが、そういう人がいる様子がない。河原でのことも、大人の目が行き届かなかったのが最大の原因だと思う。それはそれとして、ここで八重さんが退場か……


映画ランキング

「義経のスマホ」(4)「ようやく居場所を見つけた男」

放送日

  • 2022年5月27日

粗筋(公式サイトより)

「お前だけが頼りだ!」頼朝のスタンプに舞い上がる義経。一ノ谷に陣を張る平氏軍を急襲すべく、MAP見ながら挑むのは、あの伝説の逆落としチャレンジ!

雑感

  • 義経役の人が明かされた(先にニュースを見てしまったので知ってた)。
  • の語知ら分か法皇西田敏行に寄せている? それにしても「遊びをせんとや」の歌が聞けるとは……
  • 義経鵯越平氏に勝利し、SNSで讃えるコメントの中に「強過ぎるだろ、ばか」があった。既に義経役の人をわかっていたため、笑えた。

(2022-05-29 記)


映画ランキング

「義経のスマホ」(3)「いきなり総大将になった男」

放送日

  • 2022年5月26日

登場人物

粗筋(公式サイトより)

頼朝がテレビ電話で告げた重要タスク「木曽義仲を倒せ!」。意識高い系・鎌倉御家人コミュニティで孤立していた、陰キャ系武士・義経の快進撃がついに始まる!

雑感

  • 頼朝は塚本高史だった。「平清盛」で藤九郎を務めた人。
  • 義仲を倒して調子に乗る義経。しかし、テレビ電話越しとはいえ、頼朝に直接「よくやった」と言ってもらえてよかったなあ、この義経は……

(2022-05-29 記)


映画ランキング

「義経のスマホ」(2)「兄との出会いにドギマギする男」

放送日

  • 2022年5月25日

登場人物

粗筋(公式サイトより)

スマホ中毒の義経は、武士向けソシャゲに廃課金&インフルエンサーをマネして論破ごっこの日々。ネットニュースで知った兄・頼朝の挙兵。奥州を抜け出し「いざ鎌倉!」

雑感

  • なんだか大河ドラマのこれまでの義経と頼朝を思い出してしまうね。
  • インフルエンサーのひろもとって誰かと思ったが(いや、ひろゆきなのはわかるのだが)大江広元ね。なるほど。嫌味なところは似ているかも。
  • 上総介が頼朝を武衛と呼んでいるのに涙。
  • 義経は食事中もスマホを離さず、目の前の人にも話しかけずにFUMIを送るスマホ廃人になりつつある。
  • 頼朝が登場したがクレジットなし。

(2022-05-29 記)


映画ランキング

「義経のスマホ」(1)「スマホに憧れる男」

放送日

  • 2022年5月24日

登場人物

概要

「光秀のスマホ」「土方のスマホ」の続編的作品。大河の義経が死んだ翌日から始まるのがシュール。
第三弾となって、撮影方法など、だいぶ手馴れてきただろうが、マンネリ化しないよう新しいアイデアを出すのは大変だろう。

粗筋(公式サイトより)

「俺の居場所はスマホにある」史上もっとも陰キャ源義経参上! 兄・頼朝の夢「源氏の世」を作るべく、平安SNSを八艘飛び。全編スマホ画面だけで描く痛快SF時代劇!

雑感

(2022-05-28 記)


映画ランキング

「鎌倉殿の13人」(20)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第20話「帰ってきた義経

放送日

  • 2022年5月22日

登場人物

今日の退場者

概要

京を離れ、奥州へ逃れた源義経。しかし、温かく迎え入れてくれた奥州の覇者・藤原秀衡が程なく死去。これを知った義時は、状況を探るため平泉行きを志願するが、義経の才を怖れる源頼朝は、藤原国衡・泰衡兄弟の仲の悪さにつけ込み義経を討つよう冷たく命じる。八重に見送られ、平泉へと発つ義時。一方、捕らわれた静は鎌倉で……。(NHKオンデマンドの解説より)

義経を生かすなと指示された義時は、その任務を忠実に果たそうとする。義経は、義時の企みに気づくが、自分の首で藤原氏が守れるなら安いものだと覚悟を決め、自分の考えた鎌倉攻めの手を義時に託す。梶原景時ならわかると言って。その作戦を聞いた景時は、もし本当にその方法で攻められたら鎌倉は間違いなく滅んでいたと青ざめる。

静御前は捕らえられる。義経から、もし捕まっても生きていたければ自分のことは知らないふりをしろと言われていたが、舞を舞えと言われて見事に舞ってしまう。白拍子であることが自分自身なのだからと。

里は、京都で刺客に襲われたのは自分の手引きだと義経に告白。怒った義経は里を刺殺(という解釈でよいのだろうか)。

義時にそそのかされた藤原泰衡義経を襲い、その首を鎌倉に届ける。頼朝は首を抱き、涙を流す……

雑感

神回が続いているというか、とにかくずっと面白い。

奥州へ戻った義経は、秀衡から、素晴らしい、見事だと最大級の賛辞を受ける。義経は、頼朝にただこう言ってほしかっただけなんだろうなあ……。

サイコパスだと思っていた義経が、今ではなんとも愛おしい存在に思えている。なぜこの人間が死ななければならなかったのか。覚悟を決めてさっぱり明るく振舞っている義経武蔵坊弁慶がまた……

出陣の前にファッションショーのように装束を何度も義経に確認にくる武蔵坊が可愛い。これが最後だから、もう一回だけ主に会って話しかけちゃおう、ということか。その弁慶の立ち往生どころか、最後の大立ち回りを全く見せない演出も見事。却って想像をかきたてられる。

里の最期についてはよくわからない。誰ともわからぬ兵の手にかかって殺されるよりは、今ここで義経の前で死ぬ方がいいという判断があったのはわかる。ニュース記事やtwitterなどでも「義経が殺した」としているが、義経は「お前がやったのか、お前が!」とつかみかかりはするが、「刺す」動作はしていないと思う。死ぬほどの傷であるならば、殺される方も相応の衝撃を受けるだろうし声も出るだろう。それもなかった。だから、里は既に陰腹(?)を切っていたのではないか、とも思うのだが、それはそれで不自然である。ここのところは、他の人はあまり問題にしていないようだが、自分には謎である。

タイトルを見た時は、義経は奥州に帰って来たという意味だと思った。が、鎌倉に帰って来たこととダブルミーニングだった。それは最後の数分でわかる。こういう演出も好きである。

頼朝は「聞かせてくれ、いかに平家を滅ぼしたのかを」とつぶやくが、それを生きた義経に言ってやれなかったのか……。
(2022-05-27 記)

「大河への道」

題名大河への道
原作立川志の輔
脚本森下佳子
監督中西健二
主題歌「星路」(玉置浩二
出演■現代編:中井貴一(池本保治、千葉県香取市役所総務課主任)、松山ケンイチ(木下浩章、総務課員)、平田満(和田善久、総務課員)、田中美央(吉山明、総務課員)、和田正人(各務修、総務課員)、溝口琢矢(山本友輔、総務課員)、岸井ゆきの(安野富海、総務課員)、北川景子(小林永美、観光課課長)、立川志の輔(梅さん、ラジオ相談室)、西村まさ彦(山神三太郎)、草刈正雄(千葉県知事)、橋爪功(加藤浩造、脚本家)
■過去編:中井貴一高橋景保)、松山ケンイチ(又吉、高橋景保の助手)、平田満(綿貫善右衛門、測量隊員)、田中美央(吉之助、測量隊員)、和田正人(修武格之進、測量隊員)、溝口琢矢(友蔵、測量隊員)、岸井ゆきの(トヨ、下女)、北川景子(エイ、伊能忠敬の三番目の妻)、立川志の輔(梅安、医師)、西村まさ彦(神田三郎、幕府の隠密)、草刈正雄徳川家斉)、橋爪功源空寺和尚)
制作日本(2022年5月20日公開)
時間112分
劇場イオンシネマ港北NT(スクリーン5)

粗筋

千葉県香取市。市役所の総務課に勤める池本保治は、市の観光振興策を検討する会議で意見を求められ、苦し紛れに大河ドラマ制作を提案。思いがけずそれが通り、郷土の偉人、伊能忠敬を主人公とする大河ドラマの企画が立ち上がってしまう。ところが企画を進めるうちに、日本地図を完成させたのは伊能忠敬ではなかった!? 彼は地図完成の3年前に亡くなっていた! という驚きの事実が明らかに……。江戸と令和、2つの時代を舞台に明かされていく日本初の全国地図誕生秘話。そこには地図を完成させるため、伊能忠敬の弟子たちが命を懸けて取り組んだとんでもない隠密作戦があった――。(公式サイトより)

感想

いいものを見た、と思った。邦画の面白さを堪能した。

二つの物語が流れていく。ひとつは、市の観光事業振興のため、大河ドラマを作ってもらったらどうかと奮闘する人たちの物語。もうひとつは、その題材となる、初の日本地図を完成させようと奮闘する人たちの物語。こんな話なら書けると、脚本家の加藤浩造の提示したあらすじを演じて見せるという入れ子構造になっている。また、主要な登場人物はすべて、現代編と過去編を一人二役で演じている。その二役は、立場は似ているが、性格設定は、草刈正雄松山ケンイチのように一致する人もいれば、中井貴一北川景子のように正反対の人もいる。このやり方は見事だと唸らされた。

過去編はユーモラスな描写もあるが、基本的にシリアスな展開で、安っぽい言葉を使えば号泣必至。一方、現代編は基本はコメディであり、事実、何度も笑わせられた。ただし、普通に考えたら、まず無理だろうと思われることを、必死でやり遂げようとするという点で同じ物語になっている。この共鳴のさせ方もうまい。さすがは森下佳子だ。

強いて言えば、中井貴一はプロデューサーに徹し、主演は遠慮した方が良かったのではないかな。「後進を育てる」という目的にもかなう。60歳の中井は、過去編において「若様」と呼ばれるのはいささか滑稽だし、現代編においては、市役所は定年を過ぎた年齢である。37歳の松山ケンイチも、粗忽者を演じるには老け過ぎてはいないか。松山に主役をやらせ、松山の演じた木下および又吉は、もっと若い役者にやらせた方がよかったのではないだろうか。もっとも池本は、55歳から測量を開始した伊能忠敬を模しているから、あまり若い人でもいけないのか。

余談

本当に大河で伊能忠敬を取り上げてはどうか。加藤浩造は「伊能忠敬を主役の大河はできない」と言っていたが、伊能忠敬の波乱万丈の人生は普通のドラマでは描き切れまい。ぜひ50回かけてじっくり描いてほしいもの。35回くらいで死んでしまい、あとを弟子が受け継ぐ……でよいのではないか。

(2022-05-26 記)


映画ランキング

「シン・ウルトラマン」

題名シン・ウルトラマン
脚本庵野秀明
監督樋口真嗣
主題歌「M八七」(米津玄師)
出演■禍威獣(カイジュウ)特設対策室、通称「禍特対(カトクタイ)」:斎藤工(神永新二、作戦立案担当官・警察庁公安部より出向)、長澤まさみ(浅見弘子、分析官・公安調査庁より出向)、有岡大貴(滝明久、非粒子物理学者・城北大学理学研究科)、早見あかり(船縁由美、汎用生物学者文部科学省より出向)、西島秀俊(田村君男、専従班班長防衛省防衛政策局より出向)、田中哲司(宗像龍彦、室長)
■政府:嶋田久作(大隈 泰司、内閣総理大臣)、岩松了(小室 肇、防災大臣)、益岡徹(狩場 邦彦、防衛大臣)、山崎一(中西 誠一、外務大臣)、堀内正美内閣官房長官)、利重剛首相補佐官)、竹野内豊(政府の男)、他
■外星人:山本耕史(メフィラス)
■その他:長塚圭史(早坂、陸自戦闘団長)、和田聰宏(加賀美、警察庁警備局公安課)、他
声の出演高橋一生ウルトラマン/リピア)、山寺宏一(ゾーフィ)、津田健次郎(ザラブ)
制作日本(2022年5月13日公開)
時間113分
劇場イオンシネマ港北NT(スクリーン1)

映画館

二年二ヵ月ぶりの映画鑑賞。感無量。しかし心配するほどのことはなく、混雑した電車に乗ったり飲食店での飲み食い、床屋などの方がよほどリスクが高いように思う。新型コロナ対策ならば映画の自粛はあまり意味がないと感じた。

粗筋

次々と巨大不明生物【禍威獣】があらわれ、その存在が日常となった日本。通所兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【禍威獣特設対策室】通称【禍特対】を設立。班長・田村君男、作戦立案担当・神永新二、非粒子物理学者・滝明久、汎用生物学者・船縁由美が選ばれ、任務に当たっていた。

禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から突如あらわれた銀色の巨人。禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子が新たに配属され、神永とバディを組むことに。浅見による報告書に書かれていたのは……【ウルトラマン(仮称)、正体不明】。(公式サイトより)

感想

面白いところもたくさんあったが、そうでないところもあった。多くの人が「シン・ゴジラ」と比較するが、何度でも見る気にさせるのは「シン・ゴジラ」の方だと思う。

今の日本で、ゴジラや禍威獣のようなものが登場したら、首相以下、政府が動かないわけにはいかないだろうし、無論、自衛隊は出動するだろう。だが、それは「シン・ゴジラ」で見た風景と同じ(変化をつけているのはわかるが)。二番煎じの印象あり。

そもそも科特隊もウルトラ警備隊も独立した組織であり、自ら強大な軍事力を持っている。上部組織はパリ本部であって、防衛省や総理大臣ではない。政治家が全く登場しないのが「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」のいいところだった、と思う。禍特対は作戦立案を行ない、実際の戦闘は自衛隊が行なうというのは合理的だが、自分の中ではソウジャナイ感が強かった。ジェットビートルもオレンジのユニフォームも出て来ない。

他にもソウジャナイと感じた点は多々あるが、そうしたことを吹き飛ばすくらい圧倒的に魅力的だったのは、長澤まさみ山本耕史だ。この二人は本当に嵌まり役であり、他の人が務めたら本作は成立しなかっただろう。斎藤工西島秀俊もよかったが、わからないのが有岡大貴と早見あかりだ。適任者はほかにいくらでもいただろうに、というのが正直な印象だ。

米津玄師の主題歌もよかった。見直したと言っては失礼だが、米津玄師の才能を改めて感じた。

「鎌倉殿の13人」(19)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第19話「果たせぬ凱旋」

放送日

  • 2022年5月15日

登場人物

概要

鎌倉入りを許されず京で悲嘆にくれる義経。義時は大江広元の知恵を借り、源頼朝義経との関係修復を模索するが、後白河法皇はそれを許さない。愚痴をこぼす頼朝に対し苦言を呈す八重。この状況を政子が憂う中、京では義経をめぐって里と静が対立。さらに源行家義経に近づいて頼朝への疑心をあおり……。(NHKオンデマンドの解説より)

検非違使の任にある間は義経は京都を離れられない。頼朝は義経を伊予守に推挙。官位の兼任は認められないため、これは検非違使から外すための策であったが、後白河法皇は伊予守と検非違使を兼務するよう指示。九条兼実は「前例がない」と驚くが法王は断行。頼朝は、義経検非違使を辞退しなかったのは自分に従う気がないからと疑う。

里は、自分が正妻なのに静と懇ろな義経が許せず、土佐坊に女を殺して義経を痛めつけるように依頼。義経はかろうじて土佐坊の襲撃を撃退するが、行家は頼朝の指示で襲ってきたと主張し、ついに頼朝と敵対することを決意。法皇から頼朝追討の宣旨をもらう。

義経の挙兵を聞き、頼朝は義経追討の軍を京へ向かわせる命をくだす。三浦義澄、土肥実平比企能員らは、義経と戦って勝てるわけがないからと拒否の姿勢。が、「ここで臆すは坂東武者の名折れ」と三浦義村が言い、畠山重忠が賛同の意を示すと、和田義盛が呼応。ついに全軍が京へ向かうことになる。なお三浦義村は、戦にならないと予想。案の定、義経は兵が500しか集まらず、京を捨てて北九州へ落ち延びていく。

北条時政、義時が京へ行き、法王と面会。義経を追い詰め、法王を守る代わりに西日本への地頭権を保証させる……。

雑感

今回死んだのは源行家だが、これはほとんどの視聴者が同情しなかっただろう。これまでも、他人を無責任に焚きつけておいて、立場が危うくなると、責任を回避していち早く自分は逃げる、という態度を取ってきた人物だから。兄の義円がそれで死んでいるのに、なぜ義経はこういう人物の言うことを信じてしまったのだろうか。他に信じられる人が周囲にいなかったこともあるのだろうが……

政治に弱い義経はともかく、頼朝も後白河法皇に翻弄されている。鎌倉を中心に坂東に一大勢力を築いたといっても、京都に翻弄されるのだなあと思う。鎌倉幕府の仕組みは基本的に律令制の上に乗っているので、朝廷の後ろ盾がないと、やっていることが正当化できないのだ。

北条時政のいざという時の胆力はすさまじい。法皇に対して要求を飲ませてしまった。そして、密かに会った義経に対して愛情のこもった態度にも打たれた。まだまだ若い義経は、こうした失敗を糧として、成長していけばいいと思っているのだ。生きながらえることができれば、だが……
(2022-05-18 記)



映画ランキング

「カムカムエヴリバディ」総集編

放送日

  • 2022年5月4日

雑感

録画していたのをようやく見た。堪能した。

自分が特に印象的だったシーンがあったりなかったり。それは仕方のないことだが、すごくうまくまとめてあるとはいえ、総集編は総集編。自分のように、本編をずっと見てきた人間にとっては、放映されなくても、合間合間にこういうシーンがあったよね、と思い出したり、チラと映った一瞬のシーンからその時の回を思い出したりして、感動に浸れるが、初見で総集編を見ても、粗筋は追えるが作品を味わうことはできないと思う。

twitterなどを見ると、「途中から見始めたので、安子のことを知らなかった。こんな話だったんですね、感動しました」といったコメントをいくつも見たが、総集編を見てカムカムエヴリバディを見た気になってしまったとしたら、残念だと思う。

ところで、改めて見て、安子の行動に疑問を感じたこと。

  1. なぜ夜逃げするように、突然るいを連れ、雉真の家を出たのか
  2. 「たちばな」の再建がなったら、るいを置いて算太と一緒に暮らすつもりでいたのはなぜか
  3. るいに拒絶されたからといって、なぜそれを真に受けて、本当に家を出てしまったのか

稔が死んだあと、雉真の家に安子の居場所がなくなっていったことは何度も描かれており、それで安子としては、とにかく自分は雉真の家を出るしかないと追い詰められていたということなんだろうけど。すべての事情を知ったロバートに、安子、一度るいときちんと話し合うべきだ、と言って、日本に連れてきてほしかったね。



映画ランキング

「元彼の遺言状」第5話

タイトル

「元彼の遺言状」第5話「篠田の謎が動き出す! 栄治との出会い……!? 元彼の真意とは」

放送日

  • 2022年5月9日

登場人物

  • 藤本隆宏(真梨邑礼二、投資会社「M&Sキャピタル」の代表取締役
  • 髙橋洋(庄司健介、「M&Sキャピタル」の共同代表)
  • 近藤春菜(「M&Sキャピタル」の秘書)
  • 遊井亮子(浜野美咲、アクアショップ「ハマノ」経営)

概要

麗子と大手出版社の顧問契約の話を篠田が勝手に断ってしまったことが原因で、ふたりはいまだに口もきかない冷戦状態にあった。そこにやってきた紗英は、麗子と篠田の間に挟まれてイラつきつつも、篠田を借りるといって一緒に出かけていく。

すると今度は、津々井が『暮らしの法律事務所』を訪ねてくる。近年、業績を伸ばしている投資会社M&Sキャピタルの創立25周年パーティーに、麗子を連れて行きたいのだという。

パーティー会場は、M&S社が経営しているレストランだった。同社は上場を控えているらしく、会場には大企業の幹部や大物投資家たちが顔をそろえていた。津々井が麗子を誘ったのは、経済に強い彼女を『山田川村・津々井法律事務所』に復帰させ、上場を機に新たな弁護士を探しているM&S社との契約を獲得しようという魂胆だった。ふと、隣のテーブルにつこうとしていた男に目をやる麗子。するとそこには篠田と紗英の姿があった。M&S社は森川家の投資顧問なのだという。

そんな中、会場が暗転し、スポットライトとともにステージに現れたM&A代表取締役の真梨邑礼二が挨拶を始める。まず、一緒に会社を立ち上げた共同代表の庄司健介への感謝の言葉を口にする真梨邑。次の瞬間、会場の後方で突然大きな音が響いた。明かりをつけると、そこには投資家の久野という男が倒れて死んでいて……。(公式サイトより)

雑感

ストーリー云々以前に、カメラワークに悪酔いした。向き合っている(はず)の二人の顔を正面から撮る(役者はカメラに向かっている)のは、たまにやるならいいかも知れないけど、人は誰かの顔を正面からしげしげ見るのは、自分がその人と向き合っている時だけなので、頻繁にやられるのは違和感がある。また、当事者の周りをカメラがぐるぐる回転するのも、ここぞという時にやると効果があるのかも知れないが、頻繁にやると目が回る。落ち着かないし、対象物を凝視できず何が何だかわからなくなる。

なんで? これまでの4回と比べても今回は気持ち悪さが突出していた。

ストーリーはイマイチよくわからなかった。殺人事件の動機も、殺害方法もよくわからないけど、なぜ麗子や篠田が素人探偵の真似をして謎を解こうとしたのかがわからない。篠田はともかく麗子はお金にならないことはしない主義ではなかったのか? せっかくM&Sキャピタルから好待遇で顧問弁護士にしたいと言われたのに、肝心のM&Sキャピタルが潰れてしまえば話はパーだけど、余計な探偵ごとに首を突っ込まなければ会社が潰れることもなく、定収入が得られたのに。麗子が正義感、道徳心、倫理観などから行動したとも思えないが。

篠田が食事を用意してくれないため、麗子は何も食べられない。どこかへ食べに行くなり、デリバリーを頼むなりすればいいのに。冷戦状態なのに二人の言うことが同じなのもオカシイ。共鳴しているね。ようやく仲直りして篠田が食事の支度をしてくれて、ようやく食事にありつけ爆食いする麗子がかわいい。

かわいいと言えば、二人にいいように利用されているのに、お世辞を言われて舞い上がる紗英もかわいい。それに、探偵の資質はあると思う。探偵事務所を開設したら、麗子の弁護士事務所よりもうかるかも!?
(2022-05-12 記)



映画ランキング

「鎌倉殿の13人」(18)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第18話「壇ノ浦で舞った男」

放送日

  • 2022年5月8日

概要

苛烈さを増す源平合戦。必死の抵抗をみせる平宗盛率いる平家軍に対し、源頼朝義経に四国、範頼に九州を攻めさせ、逃げ道をふさぎにかかる。しかし範頼軍は周防で足止めをくらい、義時・三浦義村らが状況の打開に奔走。一方の義経軍も、後白河法皇の命により摂津から動けずにいた。そんな中、梶原景時の献策を一蹴した義経が……。(NHKオンデマンドの解説より)

義経の連戦連勝に沸く鎌倉だったが、「強過ぎる」義経を危惧した頼朝は、総大将を梶原景時に変更し、義経には戦に出ないよう指示を出す。が、現地では、義経を引っ込めるわけにいかず、参戦。壇ノ浦では船から船へ飛び移る奮迅ぶりで平氏を圧倒。ついに勝利するが、安徳天皇も神器も失ってしまう。

頼朝は義経を鎌倉に呼び戻す。義経を手放したくない後白河法皇は、検非違使の身分のまま、罪人である平宗盛を連れていくという名目で鎌倉に派遣する。が、腰越で足止めを食い、ついに追い返される……。

雑感

回を追うごとに面白さが増してくる。いろいろ複雑に絡み合っているので、簡単にまとめるのは難しいけれど。

壇ノ浦は、前半のクライマックスになる(ぐらい派手に描かれる)かと思ったが、あっさり終わった。今回は源氏の側から描いているため、平氏側の内情は描かれない。見ている立場からしたらこんなものだったかも知れない。勝っても全然嬉しさが涌いてこない。こんなに盛り上がらない壇ノ浦もなかったのではないか。もちろんこれは視点と力点の問題で、今回はこれでいいのである。

毎回「いい人」から順番に殺されていく。今回は壇ノ浦だから大勢死ぬのだが、白眉は平宗盛だ。この人はとかく暗愚に描かれることが多く、このドラマでも初登場で清盛に怒鳴られていて、ちょっと抜けている感があったが、実はすごくいい人だった。

壇ノ浦を生き延びて義経軍に捕らえられると、堂々と「死は恐れない」と言いつつ「首は何処かに晒されようが、せめて胴体は息子・清宗と一緒に葬ってもらえないか」と訴える(義経は鎌倉についたら頼朝に掛け合ってやると答える)。その後、義経は宗盛に、兄と関係がうまくいっていないと「悩み相談」。宗盛は、自分は兄とは信頼し合っていたと言い(維盛とはいろいろあったと思うが、平氏一門は結束が固かったのは確かだ)、文を書いてはどうかと提案する。義経が文は苦手だと言うと、代筆を持ちかける。

この手紙に、頼朝の官位を誤解した部分があって、それが頼朝をいっそう怒らせるのだが、宗盛はそれを狙ってわざとしたのではなく、結果的にミスはしたが、最後に少しでも義経の役に立とうとしたのだろう。小泉孝太郎の顔はそう語っていた。引き渡しの前日、義経は清宗を連れてきて、親子で対面させる。今宵は語りあかすがよかろう、と。

まだ宗盛は処刑されていないが、処刑は決まっており、これが最後の出演で、以後の登場シーンはないはずである。宗盛を「いい人」に描くドラマも異色だが、いい人に描いておいて(生が)終わりとはなんと残酷な脚本であろうか(褒めている)。

非戦闘員である船の漕ぎ手を狙って矢を射るなど、戦に勝つには手段を選ばず、非情な人間に見えた義経も、兄との関係に悩み、宗盛に人情味あふれるところを見せ、以前腰越に来た時(第8話)に芋煮を振舞ってくれた藤平太らにお礼の芋をプレゼントする……。

芋煮を食べさせてもらったエピソードはすっかり忘れていた。

戦のあと、海辺に大勢死体が転がっているのを見た時、ああ、五十嵐がこんなにおおぜい頑張っている……海辺で死ぬのは大変だろう、今は寒いし、と思った。死体に感情移入したのは初めて。
(2022-05-09 記)



映画ランキング

進路を決めるということ

親戚の叔父さんに会う機会があり、面白い話を聞いた。

叔父さんの年齢は暢子の15歳ほど上なので、やや上の世代であるが、地方育ちで、四人兄弟という点は似ている(比嘉家とは違い、女一人・男三人で、叔父さんは次男)。入社試験を受けるのに夜行列車に乗ったというあたりで、地方度が想像できる。

両親とも健在であり、周囲に比べて叔父さんの家だけ特に貧困ということはなかったはずだが、時代が時代であるから、贅沢はできないし、欲しいものもなかなか買ってもらえなかった。家に枇杷売りがやってきて、親父に挨拶する。枇杷を買ってくれるのかな、と思って期待するが、挨拶だけして買わない。桃売りのおばちゃんがくる。旦那、安くするから買ってよーと言われうんうんと頷いている。これは買ってくれるかと思うが、結局買わない。だから、早く働いて独り立ちしたかった。働いて、給料をもらって、枇杷でも桃でも好きなだけ買ってやる、とずっと思っていた、という。

高校を卒業して建築会社に入った。ここはどういう理由で決めたのか、自分に向いていると思ったのか、と尋ねてみると、親父がこういうところがいいんじゃないかといい、学校から紹介された会社を受けたら受かったからそこに入ったという。入ったはいいけれど、この仕事は自分には向いていないかも知れない、みたいなことを考えたことはなかったか、と重ねて訊くと、仕事のことが少しずつわかってくると、だんだん面白くなっていった。だから、会社は途中で何度か変わったけど、この仕事を辞めようとは思わなかった、とのこと。

このような話を聞いて、とても深く頷いたのだ。恐らく、当時のごく一般的なやり方だと思うが、非情に真っ当な進路決めである。つまり、どういう仕事が向いているか、ということより前に、「早くお金を稼ぎたい」なのだ。そこをすっとばして、向いているかどうかで悩まないと思う。

見るのをやめた今となってはどうでもいいけど、比嘉家の子の考え方は、理に適っていなかった。



映画ランキング