多分、生まれて初めて見た洋画。吹き替えではなく字幕だったことが、その後を決めた気がする。
題名 | 卒業(The Guraduate) |
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監督 | マイク・ニコルズ |
出演 | ダスティン・ホフマン(ベンジャミン)、アン・バンクロフト(ミセス・ロビンソン)、キャサリン・ロス(エレイン)、他 |
公式サイト | - |
主題歌 | サイモン&ガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」 |
制作 | USA(1968年6月8日日本公開) |
時間 | 105分 |
劇場 | テアトル鎌倉 |
概要
本作はアカデミー賞も受賞した著名な作品だが、次の三点が今に語り継がれているところだろう。
- 妖艶な人妻が若い男の子を誘惑するシーン。ミセス・ロビンソンがパーティー会場から自宅までベンに送らせ、ドレスの着替えを手伝えと言って「背中のファスナーをおろして」と頼むところはドキドキした。弓月光の「エリート狂走曲」にそのパロディシーンがある。
- エレインの結婚式にベンが乱入し、花嫁を強奪するシーン。以後、多くの映画・ドラマ・漫画作品などに類似のシーンがあふれることになる。
- サイモン&ガーファンクルの曲がふんだんに使われている。「サウンド・オブ・サイレンス」以外にも「スカボロ・フェア」「四月になれば彼女は」「プレジャー・マシーン」など。「ミセス・ロビンソン」は映画用の特別短縮バージョンだが、音楽を聴くためだけでも映画館に行く価値はある。
雑感
なぜ突然この映画を見ようと思ったのか、もう覚えていないが、いいものを見たと思う。
陽気なパーティーとは裏腹に、独り暗い顔をしているベンに、客が "Hey, what's the matter?" と声をかける。この時、あっ、今、ホワッツ・ザ・マターって言った! 聞き取れた! それに意味もわかる! と、ものすごく嬉しかったことを覚えている。Hello.とかBye.とかの一語はともかく、長い文章(といっても三語だが)をちゃんと聞き取れて、意味がわかったということに何とも興奮したのだ。
ミセス・ロビンソンがベンに手を出したのは、からかってやれと思ったのか、女を教えて自信をつけさせようと思ったのかはわからないが、罪なことをしたものだ。娘エレインの結婚相手からは損害賠償を請求されるだろうし、結婚式をぶち壊しにされた遠因が自分の浮気にあるとわかれば離婚は避けられないだろう。エレインも家には帰れないから一家離散。他のみのベンは無職。まあ悲惨な話だと思うが、話の肝はそこじゃない。
ベンは、大学時代にこれをやりたい、卒業したらこれをやりたい、というような目標などが何もなく、ただただ言われるままに怠惰に日々を過ごしてきた(勉強は真面目にやったのだろうが、主体的に取り組んでいなかった)。だから一流大学の卒業証書は手にしたものの、何の達成感もなく空しい日々を過ごすことになる。この空虚さ、焦燥感がよく描かれていた。そしてそこに「スカボロ・フェア」「四月になれば彼女は」などのS&Gの曲はよく合った。そこが共感を呼んだのではないだろうか。