窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

ガリレオ 第4話「壊死る(くさる)」

出演

解説

僕は「容疑者Xの献身」でガリレオ先生に初のライバル登場、と思ったのだけど(原作の小説ではそうなのだけど)、ドラマでは、この回で早くもライバルが登場する。湯川学はライバルとは思っておらず、湯川をライバル視する人が出てくるってことだが。

これまでは、かなり脚色されているとはいっても、基本的にストーリーは原作を踏まえていた。が、この回は、原作の流用といえば殺人の手口くらいで、あとは独創的なストーリーになっている。

また、この回から内海薫の甘ったれぶり、増長ぶりが目立つ。用もないのに研究室で暇つぶしをし、さらに四谷工科大学の田上昇一の研究室でも同じことをする。「休みも取らずに……」などといっても、実態はこのように非効率的な仕事ぶりなわけで、彼女が新人だということも合わせると、許しがたい気分になるが、ファンタジーだから、そこを見てはいけないのだろう。

久々に草薙俊平が登場する。捜査を協力するわけではなく、旧友の湯川と一杯やるだけだが。その時、草薙は、「本庁勤めはクラブに飲みにいってももて方が違う。お前のおかげでいい思いをさせてもらっている」と感謝する。湯川の協力のおかげで手柄が立てられ、それで出世できたからだ。一方、湯川は「捜査協力のおかげで自分の研究が進まない」と文句を言うのだが、草薙は取り合わない。内海ともうまくやっているんだろう? などと話をはぐらかす。

湯川が公式な捜査顧問で、ちゃんと顧問料なりを支払っているのならこうした受け答えでいいだろうが、恐らく湯川はなにも対価は得ていないだろう。草薙は自分だけいい思いをさせてもらって、どんな見返りを考えているのか? よくこんな傲慢で自分勝手な人間(草薙のこと)と友人付き合いが続いているものだ。内海も相当に傲慢で自分勝手だが、草薙の後輩とあってみれば、それも当然か。

弓削志郎は「これは事件性はない、単なる事故!」とあっさり決めつけ、内海が「いやもうちょっと調べないと……」と蒸し返す。ここだけを見れば、刑事としては内海の方がまとも。今回はきれいな死体で、吐く場面はなし。

林宏美は今回は少々お気の毒だった。「栗林さんも、今は助手だが、准教授……そして教授にと考えているだろう。僕もそれを応援している。しかし、この論文を読む限りでは、とても無理だ。それが僕のストレスかも知れない」と湯川がつぶやくのを聞いてしまっては、元気もなくなるだろう。

おまけに、湯川に指示された実験用具の準備を必死でしていると、「なにやってるんですか?」なんて当の湯川から言われては(どうも湯川が勘違いして指示したらしい)、立つ瀬がない。

今回は田上昇一との対決がすべてだったんだろうが、なぜ事故ではなく事件だとわかったのか、なぜ犯人が田上だと見抜いたのか、根拠が示されていない。田上が「軍事産業に就職したい」と言っただけで今回の出来事に結びつけるのは、飛躍の上に飛躍があり過ぎる。

根拠はともかく、田上が危ないヤツだと思うのなら、そう内海に教えてやればいいのに。そうすれば田上のアリバイを調べるなど、別な方向からアプローチができたし、不用意に事件の内容を喋ってしまうこともなく、内海自身が殺されかけることもなかったはずだ。

あの内海の入浴シーンは、サービスカットのつもり? それにしては露出度はいかにも足りなかったのでは?(笑)

今回のハイライトは、本当は、田上が5年かけて作った不完全な装置を、湯川がわずかな時間で改良し、田上の高い鼻をへし折る場面なんだろうけど、湯川の理論がいくら正しそうに見えても、実際に検証実験を行って見ないことにはわからない。僕の仕事との関連性もあって、検証実験の大切さは身にしみているから、湯川の「案」は、それ自体田上には思いつかないものだったとしても、「案」だけで田上の鼻は折れないと思う。僕にはあまり説得力のない場面だった。

それより、内海の「湯川先生が他殺だといったら絶対に他殺です」というセリフが印象的だった。なんだかんだいって深い信頼を寄せていることが明らかになったわけで、非常に満足したのである。そう思っているなら、他がどうでも許しましょうと。

ラスト、事件の報告ではなく、湯川に対する感謝でも厭味でもなく、ひたすら、仕事したくなーい、会社に戻りたくなーいと駄々をこね続ける。「いい加減、帰ってくれないか」と本当に迷惑そうに湯川が言っても効果なし。ため息をついて終わり。まあ、ファンタジーだからね。

4回目でだいぶ方向性が変わった。パターンの踏襲で笑えるところは増えたが、ミステリーとしての面白さはゼロになった。話の肝であるはずの、トリックの解明についても、わかりにくかったし、実験も行われなかった。香取君の存在感あっての回だ。

湯川のインスピレーション

研究室内で栗林から超音波発振器の新調を言われて。前回のように黒板に書けばいいようなものだが、今回は机の上の書籍やら書類やらをいきなり床にぶちまけ、机にチョークで直に数式を書き出す。毎回微妙に違うこのやり方も、少しずつ常軌を逸したものになってきた。

今日の桜子

城ノ内桜子は、噂のガリレオ先生と初の対面を果たす。かなり気に入った様子で、内海をそっちのけで二人で会話が盛り上がっていた。医学・理学の専門用語が通じるのでお互いに話しやすかったのだろう。

ゲスト

香取君は明るくて快活なんだけど、なぜか当初から品性下劣な影がずっとあった。意図的なものなら、相当な役者だ。

リンク

もう一回見たので追記(2009/03/17)

  1. 死因がわかったと湯川が内海に電話したとき、うしろで聞こえたカウベルの音を聞いて、田上と一緒にいることに気づいたわけか。この観察力・記憶力はとても科学者のものとは思えない。探偵力も、並の刑事を凌駕する専門的な能力を備えていると思う。
  2. 田上の改良案をいつ考え、いつ紙にまとめたのだろう。内海が危ない、と察してしかるべき部署へ連絡を取り、自分もホテルへ駆けつけて……移動中に考えたとしても、机に向かっている時間すらなかったと思うのだが。田上を待っている間にホテルのロビーで書いたのだろうか。
  3. ラスト、管を巻く内海にうんざりしながらも、彼女が田上からプレゼントされたブローチを湯川がそっと捨てるところが、ちょっぴりハートフルだ。