玉木宏の主演と、東野圭吾の原作との理由で借りてみた。原作は何年か前に読んだことがあるがはっきりとは覚えていない。
題名 | 変身 |
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監督 | 佐野智樹 |
原作 | 東野圭吾 |
出演 | 玉木宏(成瀬純一)、蒼井優(葉村恵)、佐田真由美(橘直子)、松田悟志(京極瞬介)、釈由美子(京極亮子)、北村和夫(堂元英隆)、他 |
制作 | 日本(2005年11月19日公開) |
感想
玉木宏主演作品としては、この2ヵ月前に公開された「殴者」に続けてということになる。「のだめカンタービレ」でブレイクする一年前。
よくできていて、それなりに面白かったが、今ひとつ「深み」が足りない。「容疑者Xの献身」などと比較すると違うのはなぜだろう。
頭を撃たれ、瀕死の重傷を負った成瀬は、堂元医師らの尽力により、九死に一生を得て健康な生活を取り戻すが、自分の人格が徐々に変わっていくことを実感し恐怖する。あんなに仲の良かった恋人の葉村に対しても愛情を感じないし、描きかけの絵も完成させることができない。
映画は、だんだんと成瀬純一の人格がなくなっていくことに恐怖する成瀬と、恋人の気持ちが自分から離れていることに気付きながらも献身的な愛情を捧げる葉村を軸に展開し、成瀬がいったいどのような手術を受けたのかについてはこれといった説明がない。
原作はむしろ社会派小説というべきで、手術の医学的な意義や問題点、倫理上の問題点、さらに医師が自分の功名心を優先させていくさまなどを深く抉っている。が、その部分が抜けてしまい、単に堂元医師が偉そうでイヤなヤツ、という性格設定で終わっていた点が深みに欠けていたのか、と思う。
ポイントを絞るのは悪くないのだが、それならなぜ成瀬は、自分に移植された脳のドナーが自分を撃った京極瞬介だと気づいたのか、最後に堂元のところへ行った時に持っていた銃はどこで手に入れたのか、橘直子はなぜ身体を張ってまで成瀬を調べようとしたのか、説明がないのは不親切だ。
役者も、玉木も蒼井も熱演だったとは思うが、いわゆる演技派のベテランというと北村和夫くらいだったのも、しまりが悪かった原因のように思う。この点は「レイクサイド・マーダーゲーム」と比較すると明らかだ。
ちょっとネガティブな書き方をしてしまったけど、蒼井優の一途な愛情はけなげです。
過去記事
- 殴者(2008/05/06)
- 原作に劣らぬ傑作「容疑者Xの献身」(2008/10/26)
- それなりによくできていたが「レイクサイド」(2009/02/28)
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