窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「官僚たちの夏」第四話「黒船来襲」(TBS)

出演

  • 長塚京三(須藤恵作、大蔵省大臣)
  • 菅原大吉(榊正造、通産省公益事業局長)

感想

あまり「昭和」とか「戦後」の香りがしない。眼鏡をしているのが牧、丸尾、西丸くらいで、いかにも昔風の厚い眼鏡は牧のみ。昔はコンタクトレンズなんかないのだから、もっと大勢の人が眼鏡をしていたはず。しかも、現代から見ればダサダサのものを。髪型もいかにも現代風だ。特に庭野のあのくるくる頭はなんとかならなかったのか。

会議の進め方、という点でいうなら、風越たち国内産業派には賛成できない。そりゃあどこの国だって、輸出はがんがんする、輸入は制限をかける、それが通ればこんなにいい話はないけれど、それができっこないのも自明。敗戦国ゆえに保護貿易を認めてもらっていたが、いつまでも認められるわけもなく、アメリカが自由化を迫ってきた。さあ、ここでどう対応するのか? これが問題点のはず。

繊維を自由化していいかどうか、という観点で話をすれば、よくない、で先に進まない。でもそれではアメリカが納得しないだろう。どうやってアメリカを納得させるのか、という点で国内産業派にはなにも提案がない。ただ駄々をこねているだけだ。安保はやめるのか? 隣接するソ連、中国などにどう対抗するのか? いっそのことアメリカとドンパチやるか?

幕末、攘夷を唱える人たちが開国した徳川幕府に反抗し、徳川時代を終わらせてしまった。彼らが唱えた攘夷の理由は、それぞれにもっともであったが、「そんなことを欧米に言っても通用しない」という視点が欠落していた。そして薩長が政権をとったところ、再び鎖国するのかと思いきや、積極的な貿易政策を取った。開国するしか道がないことがわかったからだ。

もっとも、このあたりが伏線になって60年代初頭の安保反対運動につながっていくなら、それはそれでわかる話だ。