窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「官僚たちの夏」第五話「電算機を救え」(TBS)

出演

  • 麻生祐未(ジェーン・ヤマグチ、IDN社通訳)

感想

本当にこんなことがあったの? もしそうなら、この業界の人間として、ちょっと恥ずかしいかも知れないんだけど、初めて聞いたし、なんだか信じられない話だ。

風越、庭野の交渉で、ロイヤリティを5%に抑え、IBM日本支社では(日本向けには)小型コンピュータしか販売しないということで合意に達した、と沸く場面で終わっていたが、こんな条件を呑まされるなんて全面敗北としか思えないのだが。コンピュータである以上それはIBMの特許が必要、というIBMの主張を鵜呑みにしていたが、それが本当なのか、技術者や知的財産に関する専門家を集めて徹底的に調査をすることが何より肝心だろう。これでは交渉にならない。サムライどころかただの世間知らずだ。幕末の日本の方がマシだったんじゃないか。「私はイギリスがジェントルマンの国だと聞き及んでいる!」と機先を制した江川太郎左衛門とかさ。

麻生祐未のあの生意気で可愛げのない態度は、以前にも見おぼえがあるのだが、何で見たんだろう。出演リストを見ても、思い当たるものがないのだが……

追記

「【テレビ】「日曜劇場 官僚たちの夏」第5話」(そっと××、2009/08/02)に有益なリンクがあった。ここで紹介されていた「コンピュータが計算機と呼ばれた時代」によれば、1957〜1960年に、IBMのジェームズ・バーケンシュトックと通産省重工業局の佐橋滋(風越のモデル)、平松守彦らの間で実際に特許をめぐる交渉が行なわれていた。ただし、その内容はドラマとはかなり異なる。

長期にわかたる、専門的で退屈な交渉の内容を短くまとめる都合上だろうと好意的に解釈しておくが、あまり事実とかけ離れた作りにはしてほしくない。日本のコンピュータ産業の黎明期に通産省の活躍があったことは僕は知らなかったから、その点は良かったのだが。

コンピュータが計算機と呼ばれた時代

コンピュータが計算機と呼ばれた時代