窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「スカイハイ」第八死、第九死、最終死「フェイス」(前編・中編・後編)

出演(ゲスト)

感想

これまでは一話完結だったのに、三話連続はちょっとキツイ。本当は分けて見るつもりだったけど、止められなくて一気に見てしまった。おかげで夜更かしもいいところ。休み中だからいいけどさ。

怨みの門では三つの道から選択することができる、三つのどれかを選ばなければいけない……というが、本当はこの選択肢はちょっとおかしい。プログラミング的にいうと、if文にはelseが必要だし、swtch-case文には必ずdefaultという分岐が必要である。要するに、三つの中から選択しろと迫って、最終的に、選ばなかったらどうなるかが示されていないのだ。

これまでやって来た人は、いつまでもこうしてはいられないのよ、そろそろ決めて、というと素直に従ったが、今回はじめて言うことを聞かない人が現われた。どうやらある期間内に選択しなければ、怨みの門に来た人のみならず、イズコの魂もが消滅してしまうらしい。そういう選択肢もある、といわれると消滅を選ぶ人もでてきそうだが、それをされるとイズコ的には困るわけで、そのためちゃんと選択してもらえるよう彼女が導いているのだった。

それなら、三つの選択肢のうちひとつを選ばせるのではなく、二つのうちどれかを選べ、どちらも選ばなければこうなる、というように説明すると選びやすくなる。これは、相手に決断を迫る時に有効なやり方だ。もっとも、門の主的には、自らの意思で積極的に選ぶことに意味があるので、どちらも厭だから自動的にこれ、みたいなことは受け入れていないみたいだけど。

イズコのごてごてした着物のような衣装に裸足というスタイルはヘン。最後まで見たけど慣れなかった。特に本作ではイズコ自身が現世に降りてきたが、異様だった。もう少しすっきりしたスタイルの方がいい。

四方山小吉が大活躍。魂の姿が見え、声が聞けるのは彼しかいないので、イズコの質問に答えたり、意思を他の人に伝えたり。しかし、結局このリサイクルショップがどういう意味を持つのかは明らかにされなかった。いや、その存在意義はわかりますよ。でもなんで現世に降りた魂が必ず小吉の前に姿を現わすのか。生前のイズコとなんらかの関係があったのか。なぜ小吉には魂が見えるのか。そのあたりは謎のまま。

イズコ自身が知らなかった生前の姿が明らかにされる。しかし、魂というのは死んだ直後の姿(着ている服も含め)を模しているのではなかったのか? なぜイズコは似ても似つかぬ容姿をしているのか?

「事件」の謎もよくできていた。僕は東賢の担当編集者が怪しいとずっと思っていたのだが、意外だった。

独身時代に付き合っていた女性が、知らないうちに自分の子を産んでいた、ということをあとになって知った場合、しかも自分には既に妻も子もいる場合、どういう態度を取るかは微妙である。一番気にすべきはやはり家族であろう。まずは事情を打ち明け、十分な理解を得るべきだと思う。マスコミ発表や第三者の口から聞かされれば、妻としてショックなのはよくわかる。

が、担当編集者がそれを厭がる理由がわからない。本当にそれまで知らなかったとしたら、モラル的にも法律上も悪いことをしているわけではないし、むしろ堂々と名乗りをあげる潔さが評価される可能性が高いのではないか。現実にはその子は惨殺され、子の母は殺人の嫌疑がかかっているとなれば、スキャンダルは避けられないが、清純派を売りにしているアイドル歌手じゃあるまいし、むしろ作家としてはいろいろある方が箔がつくくらいのものなのではないかと思うが……

担当編集者が片桐京子を遠ざけなければ、こうした事態は起きていなかったかも知れない。いや、彼女が東賢を訪ね、編集者に止められた時は、既に事件は起きていたのか……。しかし、そこで関係者をまじえて善後策を話し合っていたら、最後の悲劇は避けられたのではないか。

シリーズ全編を通して、やはりオープニングとエンディングが秀逸だ。

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