のだめ映画(後編)感想(その3)

のだめカンタービレ 最終楽章 後編」二度目の鑑賞。二度目の方が楽しく観れた。一度目はのだめの態度にイライラして、いつまでそんなことを言っているんだ、と思ったりしたのだが、二度目は「いつまでか」がわかっているため、安心して見ていられた、というのがある。その分、ギャグパートを楽しめた。少なくともあと一回は観るな。

題名のだめカンタービレ 最終楽章 後編(2回目)

雑感

「後編」なので「前編」から話が続いているのはもちろんなのだが、テレビドラマ本編やSP編からのリンクがふんだんにあり、過去の映像も効果的に使われて、長いシリーズものの大団円という雰囲気をよく醸し出していた。一方、あれこれ詰め込み過ぎた結果かと思うが、ストーリー的に破綻している部分や、説明不足の箇所が多い。今回はネガティブな話を列挙する。

千秋の謎の引っ越し

千秋との別居は、前編ラストで傷心ののだめに追い打ちをかける事件であり、後編も千秋の引っ越しから始まる。が、引くだけ引いておいて、一体何の意味があったのだろうか? 引っ越し直後にはのだめの部屋に泊まり込みでピアノの指導をするし、その後も頻繁にのだめの部屋を訪れている様子。Ruiとの共演後帰宅した千秋をのだめが迎えたということは、のだめも千秋の部屋の鍵を持っていて出入り自由だったのだろう。引っ越しの意味不明である。

「音楽に集中したい」というが、前編のエピで、突然マルレオケから指揮を依頼され、翌日のリハまでに3曲予習していかないといけない、という切羽詰まった状況で、孫Ruiからいきなり電話をもらってわざわざ迎えに行ったり、部屋まで連れてきたりしてしまう、そのおせっかい焼きでお人よしの性格に問題があるのでは、と思う。以前からの約束でもないし、Ruiだってプロのピアニストなんだから、「あさって公演なんだ」といえば、自分に付き合っている時間があるかどうかくらいわかるだろう。

Ruiママはどうした?

そのRuiとRuiママの争いはどうなったのか? 翔こうとするRuiと、強引に自分の手許に縛り付けておこうとする暴力的なRuiママ。この二人の葛藤が後編の行方に大きく関わっているのかと思ったが、ママはどうしたのか、一人で再びパリにやってきて説明なし。ママを説得したのか、ママと喧嘩別れしたのか? 千秋との共演はママが望んだことなのか? 勝手な思い込みで千秋を殴りつけたママに対しては腹が立ったので、謝罪させるか、ぎゃふんといわせる場面がないと、少々物足りない。

ヴィエラ先生はどうした?

物語の軸になるのはシュトレーゼマンだが、ヴィエラ先生はどうしたのだろう。もともと千秋はヴィエラ先生の弟子であり、本来は何年も前にウィーンにきて改めてヴィエラ先生に弟子入りしていたはずだったわけだ。SP編で登場したライバルのジャンもヴィエラ先生の教え子であり、そのジャンが、コンクールで負けた千秋が兄弟子だったことをヴィエラ先生から知らされて驚く場面がある。そのことをジャンから知らされた千秋は、ヴィエラ先生が今でも自分のことを覚えていてくれたことを知ってまた驚くのだが……

ヨーロッパで実績を積み重ねる千秋にとって、ヴィエラ先生との再会は一大イベントであるはずだが、前編・後編とも全く登場せず。これで「すべて終わり」と言われても納得いかない。ひとつ大きなことを忘れてやしませんか、と思うのだ。

シュトレーゼマンの耳は?

前編のレビューでも触れたが、シュトレーゼマンの聴力に異常が生じているらしい。これも、思わせぶりで引っ張っておいて、「こんなことなら公演直前まで死にそうでいてくれた方が良かった」とエリーゼに言われて「まだ当分死にそうにありまセン」と答えるだけで終わり。このエリーゼとの会話も、単に聴力の問題ではなく身体に深刻な異常があることをふまえてのもの、とも取れなくはないが、単なる冗談で言っていただけかも知れず、割り切れないものが残る。

まあ、いくらのだめのベトベンに感動したからといって、何の実績もない、いち学生ののだめを、ろくな準備期間もないのにいきなり舞台に上げてしまったのは、シュトレーゼマン自身が相当に焦っていたからだとも考えられる。やはり健康に問題があるのかと。が、明確な説明はなし。

オクレール先生の気持ちは?

のだめのことをこれほど考えてくれるオクレール先生の気持ちに気付かず、のだめはレッスンの無断欠席を続け、学校に黙ってシュトレーゼマンと共演まで果たしてしまう。これはオクレール先生の考える「のだめ育成計画」を大きく狂わせる出来事であり、オクレール先生もかなり怒っていたが、結局どうなったのだろう?

オクレール先生は、日本のコンクールの審査員をやって、優勝はできなかったものののだめの素質を見抜いてコンセルバトワールに誘い、以来厳しく、そして暖かく見守ってくれた先生。ドラマを見ている僕らも思い入れはある。それがこんな風に梯子を外され、プライドを傷つけられたまま、フォローなしはちょっとひどいんじゃないか。

エンドロールで、博多名物(?)のお菓子をもってオクレール先生に謝りにいくのだめがチラと映り、オクレール先生は笑顔でそれを受け入れたようだが、のだめの、課題曲の意味がわかっていない点やコンクール至上主義、ミルヒーとの共演の後遺症などが解決したわけではなく、残りのわずかな留学期間におけるオクレール先生の教育方針がどのように変わったのか(変わらなかったのか)もわからず、物足りなさは否めない。

それにしても、ミルヒーがのだめを誘ってから実際の公演までどのくらい期間があったのかはわからないが、その期間プラス前後の一週間をのだめは無断欠席したわけで、よく放校処分にならなかったものだ。それに、R☆Sオケの公演で弾くならともかく、これほど大きな舞台に上がる時に学校の許可は必要ないのだろうか? 結果的にはコンバトの名を挙げたことになるから不問になったのかも知れないが、本来、大問題になってもおかしくないことだったように思える。

その他
  • 千秋が引っ越す時に、自分の鍵の部屋をのだめに渡して、三善の了解はとったと伝えるくだりがある。が、ドラマ・映画で「三善」の名前が出てくるのはこれが初めてで、かつ、この時だけだったのではないか?
  • パリにきた峰と真澄に「白いアスパラ」というシーンがあったが、意味不明。
  • 他にも気になったことがあったと思うが覚えていない。映画だとメモが取れないからなー。

映画 「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」 ガイドブック (講談社 Mook)

映画 「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」 ガイドブック (講談社 Mook)