窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

記録映画「はやぶさ」

科学技術でメシを食っている者としては、見落とせない記録映画。

題名はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH
監督上坂浩光
企画・制作宇宙航空研究開発機構JAXA)、他
公式サイト全天周映像 HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-
制作2009年 日本(2011年5月14日全国公開)
劇場新百合ヶ丘:ワーナー・マイカル・シネマズ

数々の前人未到の成果を上げた探査機「はやぶさ」が7年の長い旅を終えて地球に帰還したのは昨年6月。本体は大気圏で燃え尽きるも、データを収めたカプセルは無事に届けたことがかなり美談風にニュースでも取り上げられたことはまだ記憶に新しい。

これはその記録映画であり、通常の映画とは趣を異にしている。時間は43分、費用は500円。

はやぶさが何者で、どういうルートを通って何をするものかを説明したものである。はやぶさが宇宙空間で撮影した写真や回収してきたイトカワの石などが見られるのかと思ったが、それはなかった。恐らくはほとんどがCG画像。

あとで上記Webを確認したら、この映画が製作されたのは2009年。まだはやぶさが任務遂行中で、データを回収していない時である。もともとはプラネタリウムなどで上映されていたらしい。それが今年3月に文部科学大臣賞を受賞し、5月から角川映画配給で全国公開されることになった次第。それなら、CG制作というのもうなずける。

はやぶさの仕事については、実は詳しく知らなかったので、そういう点では面白かった。速さが1秒30kmとか。時速に直すとどのくらいか、必死に暗算。えーと3600をかけるんだから……約10万キロ! 東京−大阪間をわずか15秒とか。それでも小惑星イトカワまでは2年半もかかる……。

ナレーションは、はやぶさに対してちょっと擬人化が過ぎて(「君」と呼びかけたり、故障を病気のように表現したり)辟易したが、元がプラネタリム上映ということであれば、それも致し方ないか。気になったのが「宇宙を目指す」という言い方。宇宙って目指せるものなのか。火星を目指すとか、イトカワを目指す、イスカンダルを目指すというのはある。宇宙って、「ここ」も含めてすべてではないか。目指しようがないと思うのだが。

ところで、はやぶさをめぐる物語が立て続けに映画化されるようだ。東映は監督・瀧本智行、主演・渡辺謙、「小惑星探査機はやぶさ 遥かなる帰還」として2012年に公開予定。松竹は監督・本木克英、「おかえり、はやぶさ」として2011年に公開(3D)。さらに20世紀フォックスは監督・堤幸彦、主演:竹内結子、「はやぶさ HAYABUSA」として10月公開予定とのこと。確かに波乱に満ちたドラマとその画期的な成果は特筆ものだが、3つも立て続けに映画化されるほどのものなのか。協力するJAXAも大変だろう。

小惑星探査機 はやぶさの大冒険

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小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡

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小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書)

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