1月26日、日本映画製作者連盟(国内映画大手4社による組織)が2011年の全国映画概況を発表した。それによるとスクリーン数は2010年の3,412から3,339へ、興行収入も2,208億円から1,812億へ減少したとのこと。原因として、被災地でのスクリーン減、また震災により「映画なんか見る気分になれない」との観客心理が働いたこと、「アバター」のようなメガヒットがなかったこと、3Dブームが一過性だった、ハリウッドスターの来日も少なくなった……などなどと述べているが、震災の影響は確かにあっただろうが、それ以外はピント外れのようにしか思えない。
興行収入によるランキングは下記の通り。カッコ内は興行収入で単位は億円。
邦画
洋画
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART II(97)
- パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(89)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART I(69)
- トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン(43)
- カーズ2(30)
- ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島(27)
- 塔の上のラプンツェル(26)
- 猿の惑星:創世記(24)
- ブラック・スワン(24)
- トロン:レガシー(21)
上記のうち僕が観たのは「ステキな金縛り」「SP 革命編」「ブラック・スワン」の3本のみだが、「ああ、そういえばこんな映画もやってたね。観たかったなあ」と思うものがあるかというと、全くないもの。やはりというかなんというか、邦画でいえば、ジブリを除くとポケモン、ヤマト、コナン、ドラえもん、GANTS、……洋画でも、ハリポタにパイレーツにトランスフォーマーにナルニア……これ、観たいと思うか? こういう作品がランキングをほぼ独占しているような状況はおかしくないか?
これらの作品が悪いというのではないが、新鮮さは何も感じられないし、新しいファンの獲得も難しいのではないか。シリーズものを知っていて、新作を作ったらまた見に来てくれるコアなファンだけを対象にしている感じ。しかし、普通の人は年に数回も映画館へ足を運べば多い方なのではないか。たまには映画でも観ようかと思った時に、「これがいいかな」と思える作品が驚くほど少ない。そこに最大の問題があると思うのだが……
他にも、過剰な番宣が却って興醒めさせるとか、上映期間が短すぎるとか、いろいろ問題はあるけど、制作側の意識とかなり乖離があることはわかった。3Dなんてどうでもいいんだよ。アバターが面白かったのは3Dだからじゃない。2Dで観たって面白いのだ。
リンク
- 日本映画産業統計[最新映連発表資料](日本映画製作者連盟)
- 2011年映画興収、2000億円割れの1811億円 震災によるスクリーン減少も影響(2012/01/27、ニュース-ORICON STYLE-)
- 映画不況? 昨年の興収 一転減(2012/01/27、東京新聞)