NHK大河第6話「西海の海賊王」

ウルトラセブンの第39・40話「セブン暗殺計画」を思い出した。ウルトラセブンガッツ星人との一回目の闘いは、セブンは手も足も出ず、あっさり囚われとなり、暗殺されかかるが、からくも脱出したあとの二度目の闘いでは、ガッツ星人はいいとこなしで全滅してしまう。なんでセブンは一度目にあんなに弱くて二度目にあんなに強かったか、説明はなく、いまだに謎なのだ。

出演

粗筋

西海の海賊追討の名を受けた平忠盛中井貴一)以下平氏の面々は、荷船を装って海賊をおびき出すという作戦(これを作戦と呼ぶなら)を立てる。この作戦は当たって、まんまと海賊が出てきたのだが、彼らの船は平氏が調達した船の何倍も大きく、とても敵いそうにない。それでも強がって「降参すれば命は助けてやる」などと間抜けなことを言っている間に襲われ、手痛い傷を負い、右往左往している間に海賊はさっさと姿を消す。この闘いでは、清盛の守役である平盛康佐戸井けん太)も(清盛をかばって)重傷を負ってしまう。

平盛康の傷に責任を感じた清盛は、深夜、単独で船を出し、海賊船を探そうとする。そこに高階通憲阿部サダヲ)がやってきて、同行することになる。通憲は、海賊船の正体は唐船であると見抜いていた。海賊には唐人もかなり混じっている様子だ。通憲は京一番の知識人を自負するが、身分が低いために、自分よりずっと頭の悪い者に見下され続けることに我慢がならず、唐ならば実力相応に遇してくれるはずだと、唐行きを夢見ていた。そのため海賊と行動を共にすべく、唐船を探そうというわけだ。

二人は首尾よく唐船を見つける。もちろん、当然といえば当然だが、あっさりつかまって捕虜になってしまう。一人が平氏の御曹司だと知った海賊の首領は、平忠盛に、清盛を助けたければ明日の朝一人で海に来られたし、と手紙を書く。

実は、海賊の首領、兎丸は、かつて京の町を騒がせた盗賊・朧月の息子だった。朧月は平忠盛に殺されたため、兎丸は忠盛を怨んでいた。また、父を殺された直後の兎丸は、清盛に向かって、周囲が秘密にしていた出自をバラしてしまい、以後清盛は苦しむことになる……というエピソードは、確か第一話にあった。因縁の再会となったわけだ。

海賊からの手紙を受け取った平氏の陣営はどうだったか。忠盛が指示通り一人で出向けば殺されるのは目に見えている。忠盛が殺されれば平氏は実質的に壊滅状態だ。そこで平忠正豊原功補)が、自分が行くと言う。敵は忠盛の顔を知っているわけではない。忠正でも代わりが務まる。「俺は清盛は平氏に不要な人間だと思っている。でも、兄者にとっては、そうではないのだろう?」だから清盛を助けるために、自分が兄の代わりに死ぬというのだ。

しかし、これでは忠正は無駄死にで清盛が助かる保証もない。結局、夜明けを待たずに今すぐ夜襲をかけようということになった。こんな真っ暗な海に? と、そこへ鱸丸ら、かつての清盛の子分たちがやってくる。自分たちは漁師だから夜目が効く。自分たちが先導すると……。

で、夜襲をかけて、今度は海賊の制圧に成功。縛られて吊るされていた清盛は鱸丸が救出。最後は清盛と兎丸のタイマン勝負となったが、ここで清盛は、かつて兎丸の口から、自分は忠盛の子ではないと聞かされてからいかに苦しんできたかを独白する。父を愛したいが愛せない。平氏の仲間になりたいが自分は平氏の血を引いていない……だから無頼に走るしかなかったのだと。それを聞いて周囲がようやく納得するのだった。

最後、海賊の処分は自分に任せてくれと忠盛に頼み込んだ清盛は、彼らを検非違使に差し出すことはせず、自分の配下に加えてしまう。恐らく、以後清盛は、鱸丸を右腕、兎丸を左腕としていくのだろう。そして、長らく続いたモラトリアムによる無頼の旅も終りを告げる……のだろう。

今日の源氏

源義朝玉木宏)は由良姫と出会う。最初の一言は「おい、そこの醜い女!」だ。時代考証を担当している本郷和人氏は「男性のみなさん。オイ、そこの醜い女!とかいうと、女性のハートをわしづかみにできるらしいですよ」とtwitterで呟いていた(笑)。それが通用するのはイケメン限定だと思う。(義朝が源氏であることを知った由良姫が「ナーンダ平氏じゃないのか」と言ったことに対して、性根が醜いと指摘した。父親に恥をかかすな、と。)

今日の朝廷

得子(なりこ:松雪泰子)が鳥羽院の子を懐妊。廊下で璋子(たまこ:檀れい)とすれ違った時に静かな火花を散らす。もっとも、散らしていたのは得子だけか。璋子は我関せずの態度だったが、これから宮中内の勢力地図も塗り替わるだろう。

今日の義清

佐藤義清(藤木直人)はちゃっかり堀河局(りょう)と深い関係になっていた。

感想

これまでずっと、今年の大河は一味違う、少なくともここ数年で最高の出来だと言い続けて来たが、今回はあまり評価できない。一度目に海賊と闘った時はいいとこなしでやられているのに、二度目になぜ制圧できたのか。そもそも奇襲をかけるというが、相手の場所もわからないのに、どうやって見つけたのか。鱸丸が沿岸の漁師に協力を頼み、探し続けて「見つけましたー」「よしいくぞー」とでもいうなら、まだわかるが。

清盛と兎丸の一騎討ちの場面も、真剣を持っての命のやりとりに口を開いている余裕はないはずだが、あんな長話をぐだぐだと……そうした隙だらけの清盛に、仮にも海賊王たる兎丸がまるでやり返せないのも不思議。ドラマツルギーとして、第4話における忠盛の「王家の犬で終わるつもりはない」「お前を抱いた時にそう決意した」に対応させるためには、清盛にあれだけ叫ばせる必要があったというのはわかるのだが。

「おれも海賊王になりたい」という清盛に「お前はちゃうやろ!」と突っ込むのも、寒いギャグだと思った。

いい場面もあった。今回は平忠正の存在感がひときわ大きかった。こういう部下がいる組織は強いし、こういう役どころがいるドラマは奥行きがあって面白い。

それから高階通憲が実にいい味を出していた。阿部サダヲはこれまでもドラマでたびたび見たけど、どうも好きになれなかった。が、今回はうまいと思う。おいしいセリフをかっさらっていくのは、いい脚本に恵まれたということかも知れないが、あのとぼけた雰囲気がなんとも言えずいい。通憲は、頭はいいのかも知れないが、妙に能天気で、やっぱりちょっと頭悪いよな。というあたりの加減が絶妙なのだ。

鱸丸の方がご落胤みたい、品がある、……と言った人がいたが、同意せざるを得ない。なんでただの漁師の子なのに、あそこまで気品があるの?(答:上川隆也だから)

時子が顔見せで登場したが、清盛と出会うのは来週か。

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