窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

NHK大河第18話「誕生、後白河帝」

これまでのところ、今回が一番面白かった。

出演

粗筋

美福門院得子(松雪泰子)の祈りも虚しく、近衛天皇北村匠海)が崩御される。問題は跡継ぎだ。崇徳帝(井浦新)は自分の子・重仁(雄大)だろうと思っている。鳥羽院三上博史)は、今まで崇徳帝を叔父子だのなんだとのいって政治から遠ざけたことを急に反省し、重仁あるいは崇徳帝を即位させてもいいと考えるが、信西阿部サダヲ)は、そうなったら鳥羽院方の勢力は一掃されるから鳥羽院の息のかかった者を帝にした方がいいと進言する。結果、まさかの雅仁(松田翔太)が即位し、後白河天皇が誕生した。崇徳帝は茫然自失だが、このまま引き下がるのか……

その頃、九州・鎮西では鳥羽院の所領を源為朝が襲っていた……。

今日の盛国

崇徳帝から力を貸すように言われた平清盛は、一門会議を開き、これまで通り鳥羽法皇につくか今後は崇徳帝に味方するのかを相談する。さっそく盛国が、万が一近衛天皇崩御され重仁が即位した場合、平氏の立場は極めて微妙になると発言。平家貞中村梅雀)はそんな立派な発言ができるようになったと涙ぐむ。

なお、この会議では時忠が「どちらにもいい顔をしていればいいのでは?」、経盛(駿河太郎)が「崇徳上皇の世になれば、歌会に呼んでもらえる」とギャグを連発したが、清盛の結論は、どちらの味方もせず、双方が仲直りできるように力を尽くす、だった。そうでなければ世は乱れるだけだ、と。

今日の藤原家成

宗子のいとこで、これまでなにかと平氏一門を気遣ってくれた藤原家成佐藤二朗)が亡くなった。いい人だったが……。この人、藤原氏とはいっても摂関家とは血筋が別なのか?

今日の源氏

源義朝玉木宏)は得子に護摩壇を寄進。抜け目がない。

今日の藤原摂関家

藤原頼長山本耕史)のやり方は厳し過ぎるとして、忠実(國村隼)が諌めようとするが、口出しをするなら父であっても容赦しないと撥ねつけられる。保元の乱の萌芽がここに。

その頼長、近衛天皇崩御の数日前に妻を亡くし、服喪の最中。穢れがあるとして、後継者を決める会議に参加できず。これが今後どう影響するか?

今日の雅仁親王

跡継ぎ問題で揉める中、自分には関係ないと今日を離れるが、旅先で乙前に出会う。白河法皇の愛妾で、早々にドラマから消えたと思っていたら、こんなところにいた。「あそびをせんとや……」と歌う姿に心ひかれ、自分の師としたいと申し出るが、もう年だからといって断わられてしまう。

感想

この時代に関しては無知ゆえに、さながらミステリーを楽しむがごとく、展開を楽しんでいたが、今ひとつ流れがわかっていなかった。ちょっと調べてみると、まず後白河天皇は1155年に即位、在位は3年だが、その後上皇として34年にもわたって院政を敷く。朝廷内の次の権力者である。つまり、平氏の興隆から衰退、そして鎌倉幕府の成立に到るまでの長期政権である。今様を愛好し、「梁塵秘抄」を撰した。「梁塵秘抄」は平安末期に編まれた今様の歌謡集で、代表的な歌は下記であるとのこと。

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ。舞え舞え蝸牛、舞はぬものならば、馬の子や牛の子に蹴させてん、踏破せてん、真に美しく舞うたらば、華の園まで遊ばせん

「あああーっ、そうだったのか! つながった!!」

と思わず叫んでしまったのであった。

「遊びをせんとや……」の歌は、主題歌にもかぶり、これまでにもたびたび(いろいろな人によって)歌われてきた。本ドラマの主題ともいえるものなのだろうが、この歌はいったい何なのか、知らなかったし、調べもしなかった。テレビを見ながら、また出てきたよ……と思いつつ、手にしたiPhoneで「遊びをせんとや」で検索してみたらあっさり「梁塵秘抄」が出てきてびっくりである。

なるほどここで後白河が登場するのか。彼がこの歌を聞いて、のちに「梁塵秘抄」を編むわけか、と。

また、今回は直接保元の乱につながる伏線があちこちに見られた。これまで、王家、藤原摂関家平氏、源氏と登場人物が多く、人間関係がいまいち把握できていなかったが、これらの人物が、これから保元の乱へどのようにつながっていくのかかなり整理され、ようやく輪がつながってきたなと実感できたのである。

いやあ、面白かったなあ。今までが前振りで、今回から話がダイナミックに動き出した感じ。これからますます楽しみである。

リンク