カンヌ国際映画祭でパルム・ドール受賞「うなぎ」(DVD)

退屈はしなかったけど……

題名うなぎ
監督今村昌平
原作吉村昭「闇にひらめく」
出演役所広司(山下拓郎)、寺田千穂(山下恵美子、拓郎の妻)、佐藤允(高田重吉、隣家の船大工)、常田富士男(中島次郎、住職)、倍賞美津子(中島美佐子、次郎の妻)、清水美砂服部桂子、自殺未遂で山下に助けられる)、田口トモロヲ(堂島英次、桂子の愛人)、市原悦子(桂子の母)、哀川翔(野沢祐司、スポーツカーの男)、光石研(刑事?)、柄本明(高崎保、刑務所仲間)、他
制作日本(1997年5月24日公開)

粗筋

山下拓郎は、妻の不倫現場を目撃してしまい、その場で妻を殺害。8年刑務所で過ごし、仮出所して理髪店を開業(刑務所で理容師の資格を取っていた)。人間不信に陥り、あまり周囲の人と関わらないように過ごしているが、ある日自殺未遂の女性・服部桂子を発見してしまう。

桂子は一命を取り留めると、半ば強引に山下理容店で働きだす。客はきれいで愛想のいい桂子を歓迎し、彼女がいなかったら誰もこの店には通わないよ、などといって拓郎をからかうが、桂子は拓郎の食事の支度、夜釣りの弁当など身の回りの世話まで焼き始め、拓郎はうっとうしくて仕方がない。

桂子に気がかりなのは老いて痴呆の傾向が出てきた母だ。(元)愛人の堂島はうまくこの母親をまるめこんで3000万円を巻き上げることに成功。一方、堂島の経営する金融会社の専務でもある桂子は、社長の不在に会社を訪れ、母親名義の通帳と印鑑を奪回し、住職に預ける。

通帳を奪われたことに気付いた堂島は、部下を引き連れて拓郎の元にやってきて、桂子を出せ、3000万円返せと暴れる。警官も一人やってくるが押さえられない。そこへ桂子がやってくる。桂子と拓郎がデキていると思い込んでいる堂島は侮蔑的なことをしゃべりはじめ、怒った拓郎はナイフで堂島の顔を切りつける。

この騒ぎの渦中に桂子の妊娠が発覚。堂島は「俺の子か?」と訊くが桂子は否定。桂子をかばうため、拓郎が「俺の子だ」と叫ぶ。

結局、仮出所中に暴力行為をしたかどで拓郎は刑務所へ逆戻り。連れていかれる前に、堕胎を決めていた桂子に、産んでくれ、一緒に育てよう、と告げて去る。

感想

やたらにおっぱいが出てきた印象。そんなに出す必要があったのか? 妻を殺したのは、単に浮気の事実を知ったからというだけでなく、まさに行為の真っ最中を見てしまったから、ということなんだろうが、そこが本作のメインテーマではないのだから、ここまであからさまに見せる必要はなかったはず。桂子と堂島の行為についても同様。

堂島には家族がいるようなのだが、なぜ桂子に自分の会社の専務などをやらせていたのだろう? しかもどうも実際の業務をやらせるということではなく、名義上のものだったぽい。家族経営の会社で、たまにしか出社してこないけど奥さんが副社長だとか専務だとかを務めるのはよくある話である。そんな人が、いきなり通帳と印鑑を出せと言って、社長の許可なく渡してしまうものなのだろうか? 金庫の鍵を預かっている人は、これが会社にとって、社長に取ってどれだけ重要かはわかっているはずだが……

桂子を妊娠させたのは堂島だろう。ということは、山下理髪店で働き始めてからも関係を持っていたということ。桂子が望んだわけではなく、堂本に強引に迫られてということかも知れないけど、会社の専務職もそのままだし、要は縁が切れていなかったのだ。それでいて、知らん顔して拓郎にアプローチしていたわけで、結構腹黒い奴やなあと思う。

そもそも桂子が拓郎に近づかなければ、拓郎が刑務所に逆戻りすることはなかった。直接の原因は堂島だし、いくら店を荒らされたからといって刃物を持ち出したのは拓郎も悪いのだが、桂子が拓郎に、自分の身分や自殺未遂をはかった理由、抱えているトラブルなどを正直に打ち明けていたらこんな問題は回避できたはず。

柄本明は、厭な奴を演じさせると本当にうまい。昔、「疑惑」(原作・松本清張、主演・桃井かおり岩下志麻)という映画を見た時、新聞記者で出演していた柄本明が本当に厭な奴で、しばらく柄本明が大嫌いだったことがあるくらいだ(厭な奴を演じただけで、柄本自身が厭な人というわけではないことに気づき、嫌いではなくなったが)。

この柄本の演じる高崎が拓郎にネチネチと絡んで、悪口雑言を浴びせるのだが、保護司の人が調べたところ、高崎は仕事をやめて田舎に帰っているはずといい、酔った高崎を殴りつけて夜の川に突き落とすものの、高崎は平気でそのまま去っていくなど、その行動には「?」の部分がある。もしかして高崎は拓郎の妄想の産物か?

まあ、それなりに面白かったけど、どのあたりがカンヌ国際だったのかは不明。

配役

1997年といえば「踊る大捜査線」が放映された年。役所広司が若い。光石研がクレジットされていたけど、どこに登場したかわからなかった。

Award

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