1953年公開の「東京家族」(小津安二郎監督)のリメイク。山田洋次監督50周年記念作品。
題名 | 東京家族 |
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監督 | 山田洋次 |
脚本 | 山田洋次、平松恵美子 |
出演 | 橋爪功(平山周吉)、吉行和子(平山とみこ、周吉の妻)、西村雅彦(平山幸一、周吉の長男・開業医)、夏川結衣(平山文子、幸一の妻)、中嶋朋子(金井滋子、周吉の長女・美容院経営)、林家正蔵(金井庫造、滋子の夫)、妻夫木聡(平山昌次、周吉の次男)、蒼井優(間宮紀子、昌次の婚約者)、小林稔侍(沼田三平、周吉の友人)、風吹ジュン(かよ、居酒屋の女将)、他 |
公式サイト | 映画『東京家族』公式サイト |
制作 | 日本(2013年1月19日公開) |
劇場 | 109シネマズ港北 |
粗筋
ずっと田舎に住む周吉・とみこ夫妻は、一度は子供たちの暮らしぶりを見てみたいのと、東京見物を兼ねて、上京する。年老いた二人にとって、一世一代の旅行である。そして子供たちの家を泊まり歩くが、仕事を持つ子供たちは、2日、3日と経つうちに親の相手をするのも辟易し始め……
雑感
後半はちょっと面白くなったけど最初の1時間くらいは退屈で退屈で何度も時計を見てしまった……は、失礼ですね。
なんだかリア王のような気がしてきて、後半で周吉らが住む島に兄弟夫妻が集まった時も、もしかして長男長女はさっさと帰り、昌次がずっと親の面倒を看るとかじゃないだろうなと思ったら、本当に昌次が紀子と残ったのは驚いた(数日後には帰ったけど)。
一応、長男の幸一は親の面倒を看ることを嫌がらない。でも実際に世話をするのは嫁。長女は実の娘だけに「突然来られても迷惑」などとはっきり言うし、その夫は「僕、あのお父さん苦手」などと平気で口にする。確かにまるっきりの善人には描いていないが、しかしこれは責められない。自営業である彼女は、家に従業員も客も出入りするし、店を休めない中、年寄二人を何日も滞在させるのは無理だろう。
周吉ととみこは、贅沢をさせてくれと言っているわけでなし、何年ぶりか(もしかしたら初めて)親が出てきたのだから、たかが数日かそこら、子は泊めて当然と思っている。確かに、僕が子供の頃は、今よりもっと狭い部屋に家族で暮らしていたが、よく親戚の人が泊まりにきたし、自分も遊びに行ってそのまま泊めてもらうことがあった。昔はそういうことをあまり気にせずやっていたのだ。
今は違う。生活様式も人の感覚も変わってしまった。たとえ家族や親しい親戚であっても、一晩泊めるというのは、泊める側にとっては大変なのである。三度の食事を出し、日がな相手をするというのは、難しいのだ。
この点についての感覚が親と子供たちとでずれていたのが問題。滋子の家が無理なら旧友の沼田の家に泊めてもらおうと連絡するが、嫁がいい顔をしないとあっさり断られる。当たり前だ。金がないわけじゃないんだから、旅館なりホテルなりに泊まればいいのだ。今はそういう時代なのだ。
だから、前もってスケジュールを子供たちと親との間できちんと話し合い、何日まで東京にいるのか、その間どの日は誰のところに泊まるのか、事前に決めるべきだった。その時、急に予定を変更されても対応できないことをちゃんと説明しておけばよかった。
結局、独身の昌次のところに皺寄せがくる。周吉は定職に就いていない昌次に落胆の色を隠そうとしない。そんなことで将来どうするつもりかと案じている。が、その周吉は食事の支度も、洗濯も、自力ではできない。そんなことで明日からどうするつもりなのか。僕から見れば、生活力がなく心配なのは周吉の方なのだが。
配役
蒼井優の演技が際立っていた。こんなにうまい役者だったかな。
リンク
- 山田洋次監督『東京家族』(公開中)(2013/01/27、beatleの「探検日記」)