窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

NHK大河第10回「池田屋事件」

力のこもった回だった。今年の大河は気楽に見ているつもりだったが、こんな内容が続くようだと、これからは正座して見なきゃなんねべか?

今日の見所

  1. 実際に命のやりとりをしている新選組の連中と、恐らく一度も人を斬ったことのない秋月・覚馬らの殺気の差
  2. 将軍後見からのいじめに遭い、帝への一途な恋心を吐露する容保
  • あの温厚な尚之助がマジ切れ! それを押さえ、気持ちを告白する八重

粗筋

池田屋事件だが、新選組会津藩の指示を無視して暴走した、という解釈。とりあえず倒幕の企みのある長州藩士を殺傷・捕縛したが、怒った長州藩武装兵を大挙率いて上京。恐れをなした一橋慶喜は、責任を容保に押し付けようとする。池田屋事件などを起こすから、長州が怒るのではないか、あれは会津の責任だと。

「われらは京をお守りする、そのためだけに動いてきた。上様はおわかりいただけるはず……」容保はひとりつぶやく。

会津パート。八重に縁談が持ち込まれ、両親は必死でまとめようとするが、ちょうどその時銃が暴発し真っ黒になった八重の姿を見られてしまう。縁談は帳消し。

尚之助はこれまでのゲベール銃の3倍速く撃てる銃の改造に成功。が、会津藩に奏上するも無視され、怒り心頭に。

「3倍の速さで撃つことができれば、兵が3倍いるのと同じだ。こんなたやすい算術がなぜわからんのだ!!」
会津は頑固で、たやすくは動かねえけんじょ、諦めてはなりませぬ。認めていただけるまで、何度でも何度でも作り直すべ。私がずっとお手伝いいだしやす」

尚之助が連射する銃は百発百中。これはこれですさまじい迫力。

感想

twitterでは、「会津の立場で見ると池田屋事件はこう見えるんですね」的な感想が目に付いた。が、これはこのドラマにおける解釈であり、史実からはかなり離れていると思う。そもそも今日の町に火をつけ、天子様をさらって長州に連れて行く、などという大それたことを企てたのは長州藩士。新選組はそれを阻止したわけで、幕府からも会津藩からも高額な報奨金が与えられている。京の人々も新選組を支持、一気に人気者になり、新選組会津の名を高らかしめたのが実際のはず。

だから今回の話がおかしい、というつもりはない。間もなく禁門の変が起きることを知っている我々としては、むしろ今回のような考え方の方が納得できる部分もあり、非常に興味深かった。もっとも、京の町に火をつけ……という具体的な襲撃計画があったことを伝える史料は乏しく、新選組のでっち上げだったとする説もあり、今回のドラマでも、池田屋では古高俊太郎をどう救出するかという話をしていただけで、それ以上の話はしていなかった。もし冤罪であるなら、確かに「新選組はいくらなんでもやり過ぎ」という意見が正当な評価になる。

新選組は近藤隊と土方隊に分かれ、当初池田屋を襲撃したのは近藤隊のわずか数名のみ。のちに土方隊が合流するが、そのあたりの経緯ははぶかれ、いきなり新選組本体が襲撃したことになっていた。これはドラマとして、芹沢鴨の存在を略したのと同じく、あまり話が横道に逸れないようにまとめた結果だろう。これはドキュメンタリではなくドラマなので、この程度の改変は十分に許容範囲と考える。

  • 前回から尚之助と八重はいいムードだが、尚之助だけでなく、八重の方も徐々に尚之助を意識するようになった……?
  • 冒頭で時尾と八重が薙刀の稽古をする場面があるが、時尾は八重にかなわない。おいおい、鬼小町どうした! と突っ込みを入れたくなった(時尾を演じる貫地しほりは「龍馬伝」でお佐那を演じた)。
  • 新島襄も登場。おいおいオマイは池田屋に行かなくていいのかと突っ込み(新島襄を演じるオダギリジョーは「新選組!」で斎藤一を演じた)。