途中までは最高に面白かったのに「探偵はBARにいる2」

尾野真千子がかわいい。こういう美人だがガラの悪い(口が悪い)人ってツボかも。でもここまで性格が悪いと付き合いきれないなあ。っていうかうまい。

題名探偵はBARにいる2
原作東直己
監督橋本一
脚本古沢良太須藤泰司
出演大泉洋(探偵)、松田龍平(高田、探偵の助手)、尾野真千子(河島弓子、バイオリニスト)、ゴリ(マサコ/常田鉄之輔、トムボーイズ・パーティ勤務、オカマジシャン)、篠井英介(フローラ、トムボーイズ・パーティのママ)、トオル冨田佳輔)、片桐竜次(桐原組組長)、松重豊(相田、桐原組若頭)、田口トモロヲ(松尾、北海道日報の記者)、波岡一喜(佐山、則天道場元副長)、近藤公園(ガクセイ、客引き)、渡部篤郎(橡脇孝一郎、カリスマ議員)、筒井真理子(新堂艶子、橡脇孝一郎の父の愛人・女帝)、矢島健一(野球男、マスク軍団のリーダー)、麻美ゆま(探偵と一時期深い関係にあった女)、安藤玉恵(峰子、ウェイトレス)、東直己(入院患者)、佐藤かよ(ヒロミ)、他
公式サイト映画「探偵はBARにいる2」【出演】大泉洋 松田 龍平
制作日本(2013年5月11日公開)
劇場新百合ヶ丘:ワーナー・マイカル・シネマズ
ネタバレあり。

内容紹介

探偵の行きつけのオカマバー「トムボーイズ・パーティ」のマサコは、趣味の手品が昂じてだんだん高度な芸になり、店のひとつの売り物に。せっかくだからとマジックコンテストに出場してみたところ、北海道予選を突破して全国大会に出場、見事に優勝を果たす。凱旋パーティーでは幸せの絶頂だったマサコだが、数日後、何者かに殺され、ゴミ捨て場に打ち捨てられていたのだった。

犯人はすぐに見つかるかと思われたが、3ヶ月経っても手掛かりなし。業を煮やした探偵が、自分が犯人を見つけようと捜査を開始するも、周囲は非協力的。どうやらヤバい筋に関わりがある様子。それでも強引に捜査を進めると、脅迫・暴行を受けるハメになる。

どうやらマサコは、現在地元で強い支持を集める二世議員・橡脇(とちわき)孝一郎と昔付き合っていたことがあるらしい。政治家になるため身を引いたが、マジコンで優勝したがために過去の行跡が注目されかけ、スキャンダルを恐れた橡脇陣営に消されたらしいのだ。橡脇自身はともかく、先代からつながりのあった連中の中にはそのくらいのことを平気でやる人間もいるらしい。

同じくマサコ殺害犯人を追いかけている素人にぶつかり、問い詰めると、今をときめくバイオリニストの河島弓子だった。美人(*)で腕は確かで人気があるが、奇矯な振る舞いに及ぶこともあり、情緒不安定または変人としても有名だった。今はバイオリンをやめると言って以後の公演をキャンセルし、雲隠れ中だったが……マサコ殺害の犯人を追っていたのだ。マサコは弓子のデビュー直後からの熱烈なファンで、たびたび公演にきてくれ、熱心なファンレターを何度ももらい、それに励まされた、今の自分があるのはマサコのおかげなのだという。
(*)化粧して2割増、ステージに立って3割増、バイオリンを抱えて5割増。素顔はこんなもん、らしい。ナポリタンをがっついて食べ、顔中ケチャップだらけにしている弓子を見て。

探偵は、素人には無理だし危険だ、依頼人として俺に依頼しろ、そうしたら必ず真相を明らかにする、その代わりお前はもう動くな……と厳命する。厳命されても結局弓子は探偵のそばを離れず、時に勝手な行動をして悩ませるのだが。

探偵やその助手も、捜査に協力してくれた人も、たびたび襲われるなど妨害を受けるが、どうやら橡脇が関わっているのはほぼ間違いことがわかると、探偵は橡脇に会いに行く。橡脇は、自分は手を下していないし、そう誰かに指示したこともない。ただ優勝の知らせを聞いて嬉しくなり、ひとことお祝いを言おうと会いに行っただけだ。しかし、それを見ていた取り巻きの誰かが気を利かせたつもりでこうした行為に及んでしまった可能性はある。自分にはどうしようもない……と言う。探偵が、そんなことで責任逃れをするつもりかと責めるが、橡脇は、自分には政治家としての使命があると引き下がらない。

裁判を起こして追い詰めようという探偵に弓子は静かにほほ笑む。数日後、街頭演説をする橡脇に包丁を持った弓子が駆け寄る……

雑感

前作は面白かったが、この手の作品はパート2で妙に気負って大失敗、ということが多い。だからできるだけ期待しないようにしながら観ていたのだが、いやもう、面白いのなんの。

冒頭で、いきなり高いところに吊るされて真っ青になっているシーンから始まるのは、雪に埋められてのをからくも脱出するシーンから始まる前作の踏襲。お色気シーンはパワーアップ。PG12なのであからさまな行為は映らないが、少なくともおっぱいとお尻はバッチリなシーンが一箇所ある。

アクションシーンもパワーアップ。特に高田の見せ場が増えた。拳銃を持った相手に立ち向かい、あっさり制圧してしまうのは見事。しかも本物だと思っていなくて、銃を奪って引き金を引いたら弾が出たので驚いて銃を放り投げ「本物じゃねえか、危ねえな!」と叫ぶなど、松田龍平お得意のおトボケシーンは相変わらず。

尾野真千子がどのようなキャラ設定なのか興味があったが、ああいう女とはね。意外だったが、実に印象的。キャラが立っていた。街頭演説の直前の思いつめた表情、すべてが終わったあと、マサコを思って泣き崩れるシーンは見ごたえがあり、尾野真千子の真骨頂だったといえよう。

しかし、残念ながら後味は決していいものではなかった。その理由は――

マサコ殺害は、橡脇の側近の誰か(または側近に命じられた誰か)だろうと、探偵も、橡脇自身も考えていた。ここで、橡脇はとぼけていただけで、本当は橡脇が指示を出したのか、それとも本当に橡脇が何も知らないところで起きたのかで事態は全く変わってくる。探偵と橡脇が直談判をした時の様子から判断するに、橡脇が何も知らないのは事実であるように思われた。少なくとも橡脇の指示によるものだとする証拠は何もない。そして、二世議員が先代からの側近に何も言えず、何が起きているのかすら把握できないというのはありがちなことのように思える。

もしそうであれば、橡脇を責めるのは筋違いではないか。もちろん、自分の身内が関係しているのかも知れないのに何もしないのは無責任のそしりを免れないかも知れないが、罪をかぶせるのはやり過ぎだ。

そして真相が解明してみれば、橡脇は何の関係もなかった。探偵は、橡脇や新堂艶子を取り返しがつかないほど侮辱してしまったことになる。が、そのことに関して何の謝罪も反省もなかった。

真犯人があれであるなら、警察が3ヶ月以上もかけて何の進展もなかったというのも不可解である。指紋や、足跡や、その他の状況証拠で、3日もあれば犯人が挙げられていておかしくないのではないか。早い段階で橡脇ではないか思われたため、政治的判断がくだり、捜査をしているふりをして捜査をやめてしまったから?

けれども、仮に橡脇ではない人が犯人であれば、堂々と逮捕できるわけだから、それこそその線を必死に追ったはずである。どうにも解せない幕切れである。

罪のない人を侮辱したこと。侮辱したことを謝らなかったこと。この点は大変不愉快であったし、ミステリーとしては肝心の真相があんまりであったこと。

大泉洋松田龍平が、そしてゲストの尾野真千子らが、また松重豊安藤玉恵らのレギュラーが、キャラクターとして十全な魅力を発揮しているという意味では素晴らしく面白い作品である。ただしストーリーはお世辞にも褒められない。

配役