NHK大河第28回「自慢の娘」

粗筋

八重と尚之助は山砲で反撃、命中はするが、新政府軍からの攻撃は激しさを増すばかり。

八重は砲撃に対し、布団を濡らして瞬間的に弾を包むことで爆発を抑えるという荒業を披露。それを見ていた容保が八重を呼び、砲弾の構造を説明させる。憧れの殿と再会。チビ八重が大殿にいたずらをかばってもらったのは初回のエピソードだったか、……ようやく伏線回収。

頼母は再び恭順を主張。が、梶原平馬佐川官兵衛らの激しい反対に遭う。容保は頼母に城外で戦う萱野への伝令を指示。これは城からの追放を意味していた。

しかしその官兵衛、決死隊を組織して夜明けに出陣する予定が、前夜容保と飲み交わしていて寝込んでしまい、そのまま寝過ごしてしまう。目覚めた時は夜が明けており、あわてて出陣するも大苦戦を強いられることに。

権八は男に交じって働き戦果を挙げている八重を見、佐久に語る。

権八「女子が鉄砲の腕など磨いても何一ついい事はねえ。いつか身を滅ぼす事になんべ。そう思ってた。だけんじょ、八重が鉄砲を学んだ事は間違いでなかったがもしんねえ。闇の中でも小さな穴が1つあれば、光が一筋差し込んでくる」
佐久「その穴を開けんのが、八重の鉄砲かもしんねえなあ」

大蔵の妻・登勢が、八重に倣って着弾を濡れた布で包むという荒業を試みるが、消えたと思った瞬間爆発。登勢は重傷を負う。

雑感

ここ2回、立て続けに大勢の人が死んでいたが、今回は死者なし。タイトルを見て権八死亡フラグかと思ったがそうではなかった。登勢は生きてはいないだろうが……

殿が八重を呼びつけて砲弾の仕組みを説明させたのは事実らしい。憧れの殿と会えた八重は感激してモチベーションが上がったろうが、思い出話は余計だった気がする。あの緊迫した場面で、悠長に語るのは違和感があったし、平馬が怒るのはもっともである。視聴者には八重の感激ぶりはわかるので。

官兵衛が出陣前夜、殿と酒を酌み交わすシーンも感慨深いといえば感慨深い。人を殺め、その場で切腹させられても文句のいえなかった自分をかばってくれたことに感激し、殿のため、会津のために死ぬ気で働くという決意を語る。しかし結果は飲み過ぎての遅刻。寝過ごしたのも史実のようだが、この時官兵衛は容保から刀を拝領している。会津松平家始まって以来、殿から直々に銘刀を賜るという栄誉に浴した家臣は官兵衛一人だという。

八重、官兵衛との会見で、それぞれ容保にどれほど感謝し、敬愛の念を抱いているかが語られるが、これは容保のために用意されたシーンだったのかも知れない。容保自身の無能無策によって会津がここまで追い込まれてしまい、多くの家臣を失う羽目になったと容保は責任を感じているが、部下は誰も、容保のせいだなどとは思っていないのだ。

それにしても大事な出陣を前に酒を飲んだのは現代の感覚では「?」だし(僕も酒は好きだが、大事な発表などを控えていてしかも翌朝が早ければ酒は飲まない。目覚めが悪くなるし万が一遅刻をしたら大変だから)、日が昇るまで誰も起こしに来ないというのも「?」である。翌朝の出陣内容は、少なくともグループ長クラスには詳細に伝えてあったはずで、であれば刻限になっても現れない官兵衛を探しにこなければおかしいと思うが、指揮系統がめちゃくちゃになっていたのか……単に「うっかり官兵衛」で済む話ではなく、このエピソードひとつとっても会津の末期的症状が見てとれる。

会津藩士として男勝りの活躍をみせる八重だが、親から見ればどこまでも子供。それを頼もしく見上げる権八のセリフが本日のハイライトということか。しかしこのセリフも納得いかない。砲台でも「八重は北出丸で鉄砲隊を指揮したそうだな。山本家の名に恥じぬ働きであったと聞く。よぐやった」と八重を褒めるシーンがあったが、山本家の名に恥じぬも何も、ここまでの働きをした者はかつていなかっただろう。権八に八重の代わりが務まるのか? ここは「山本家の名を高らかしめた」と言うべきだった。

上で引用したセリフもそうだ。八重さまさまだ、あいつがいなかったら今お城はどうなっていることか……ぐらいのことを言っても良かったのではないか。言いたくない部分、言えない部分もあったとは思うが。

容保が頼母を追放したのは、こんな人間がいると士気に影響すると思ったからか、このままでは平馬や官兵衛らに殺されると思ったからか。本編では明示されなかった。

あと、八重が「焼玉押さえ」(技の名前はこれでいいのか?)なんぞを言い出すから登勢が死ぬことになった、的な表現をあちこちでみたが、それは違うだろう。八重がそんなことを言い出さなかったら、弾が炸裂してもっと大勢の人が死んでいたのだ。少なくとも弾を不発にさせたことで何人か、何十人かの命は救えたのだ。その過程で犠牲になる者(登勢のように)も出る。致し方ないとは言わないが、八重のせいにするのは間違っている。

リンク