窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

NHK大河第36回「同志の誓い」

今日の見所

同志社英学校の開校とジョー八重の結婚式。タイトルの「同志」は同志社の仲間とジョー八重の夫婦のダブル・ミーニング。

粗筋

長らく禁令だったキリスト教をベースにした洋学校に対する反発は予想以上のものだった。ようやく学校の土地・建物を確保したものの、付近の住民に破壊されてしまう。荒れ果てた建物を見て、ジョーの同僚となる宣教師はため息をつくが、ジョーは興奮する。

「十分です。八重さん、ここにいくつの机が置けるでしょうか? 何人の生徒たちが学べるでしょう? 幾人の生徒たちがここから巣立っていくのでしょうか? 大事なのは、どこで学ぶかではない、何を学ぶかです」

その様子を見た大垣屋が反対派をとりなし、ようやく学校が建設されることになる。覚馬は「同志社」という名前を提案する。新しい日本を作る、同じ志を持った仲間が集まるところだと。

ジョーと婚約した八重にも迫害の手が。槇村は、結婚しても自分は耶蘇にならないと誓え、心の中はどうでもいい、建前だけでいいから生徒にそう宣言しろと迫る。さもなければ女紅場を辞めてもらうしかないと。そういわれた八重は生徒を前にして述べる。

「私は宣教師の男性と夫婦になる契を結びました。後ろめたいところも後悔もありません。私は妻として宣教師である夫の考えを認め、支え続けようと思います。私は自分の思いに嘘をつくことが出来ませんでした。皆さんにも嘘をつけと教えることはできねえ」
「愚かな! この会津者め!」 
会津の者は大人しく恭順しねえのです。お忘れですか?」

八重が、転ぶか、クビになるかと迫られていることを知ったジョーはあわてて女紅場に駆け付けるが、ちょうど退職して外に出てきたところだった。

「新島様、グットニュースです。たった今、女紅場を辞めてまいりました。これからはあなたの行く道は、私の行く道です。あなたと同じ志を持って生きて行きたいんです。そう決めたんです」

同志社が授業のカリキュラムの内容を提出すると、ここでも槇村が「聖書を教えるならば学校設立の許可は出せない」と言い出す。ジョーは「今になってそれは、話が違う」と戸惑うが、槇村は折れない。覚馬は一計を案じ、カリキュラムから聖書を一掃。これで許可を取り付け、いよいよ同志社が開校される。が、英語の授業のテキストは聖書であった。

佐久は娘の(二度目の)結婚式のために女紅場のウェットン先生からドレスを借り、それを仕立て直した。八重は洗礼を受け、そしてジョーと華燭の宴をあげる。これが日本最初のプロテスタントの結婚式だった。

雑感

女紅場を辞めたいきさつについては、史実とはかなり異なるようだ。いくらキリスト教への反発が強いからといえ、ドラマでは槇村(やそれに同調する人たち)の態度は少々乱暴だが、実際には八重の方が無茶をしていたようだ。

しかしドラマでは、実際に「八重先生とは口をきくな」と親に言われた生徒が出てきたわけで、そうした状況は槇村の耳にも当然入っていただろうし、苦渋の決断だったのかも知れない。あの言い方は反発を買うけど、同志社の「聖書をテキストとして英語の授業を行なう」方策でやり返したことになるのか。ただし、「耶蘇になった八重先生とは口をきいてはいけない」と思っていた生徒に対しては何の救いにもなっていないし、耶蘇に反対する人たちの心情を斟酌しようとした槇村の気持ちは無視してごまかしただけ、ともいえる。

「本音」と「建前」を使い分けることはある。ただ、建前は建前だとわかった瞬間に建前ではなくなり、不信感に直結する。だからいったん建前を標榜した以上、最後まで建前に殉じなければいけないと自分は考えている。英語の授業で聖書を使っていることがわかった時、「それは建前です」と(しかも八重が)言ったのは興醒めだった。ジョーが(あの飄々とした顔で)「とんでもない、ただの教材に過ぎません。ただ一口に英語の教材といっても難しいのですよ。通俗小説を読ませるわけにはいきませんし、易しく、かつ美しい英語で書かれ、多くの人に親しまれている英文というと、他に適当なものが見つからなかったのです」ぐらいすっとぼけるべきだったと思うのだが。

女紅場で八重が耶蘇を否定しないことがわかった瞬間に、まだ喋っている八重を役人が取り押さえて外に出そうとするシーンがあった。が、八重なら大の男の一人や二人、投げ飛ばせる腕力があるはず。ふんっ! と彼らを振り払っておいて、「話が終われば出て行きます。話の邪魔をすんでねえ」ぐらいのことを言っても良かったのではないか。京都にきてからは修行をしていないから弱くなったのか? でも先日、槇村に直談判するために府庁に乗り込んできた時は、取り押さえようとした警護の人を突き飛ばしていたが。

佐久が八重のドレスの調達に、退職した(させられた)職場を訪ねるというのはずいぶん度胸がある。訪ねられた方はビビっただろう。そのドレスを八重のために仕立て直したということだが、どの部分を直したのか? それはもちろん胸を……というのはさておき、佐久は和裁は達人かも知れないが洋裁は素人のはず。そんなに簡単にドレスが縫えるものなのか。そんな細かいところに突っ込んではいかんか。

今日の英語

  • Of course she is not handsome at all but what I know of her is that she is a person who does hansome. (by Joe)

ドラマでは日本語の紹介のみだったが原文を挙げておく。前半の "Of course she is not handsome at all" の部分は省かれていた。そらそうだ。綾瀬はるかに向かって「美しくない」と言ったらいくらなんでもオカシイもんね。
(2013/09/16 記)

リンク