窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

アメリカ人はビジネスを、フランス人は……「タイピスト!」

題名タイピスト!(原題:Populaire)
監督レジス・ロワンサル
出演デボラ・フランソワ(ローズ・バンフィル、秘書)、ロマン・デュリス(ルイ・エシャール、ローズの雇い主)、ショーン・ベンソン(ボブ・テイラー、エシャールの友人)、ベレニス・ベジョ(マリー・テイラー、ボブの妻)、他
公式サイト映画『タイピスト!』公式サイト
制作フランス(2013年8月17日日本公開)
劇場109シネマズ川崎

内容紹介

時は1959年。都会暮らしに憧れて保険会社の秘書に応募したローズだが、面接に集まってきた人の多さと、そのほとんどが自分より優秀そうなところを見てビビるが、一計を案じ、面接の最中に頼まれもしないのにタイプしてみせた。ローズは人差し指しか使えないが、他人に比べて速いという自覚はあったのだ。

不器用だがタイプが速いのに惹かれてルイはローズを採用。一週間使ってみたが、ビジネスマナーは知らない、マイペース、ミスが多い……に呆れ、「君に秘書は向いていない」と通告を出す。しかしタイプの速さに未練を感じたルイは、タイプの大会に出場して勝ったら、ずっと雇っていてもいい、という条件を出す。

秘書の仕事はタイプだけではないが、ワープロもパソコンもない時代、タイプというのは重要な役職のひとつだった。逆に女性で会社員になるには秘書として採用されるしか道はなく、誰もがタイプに勤しんでいた時代でもあった。そんな背景で秘書のタイプの腕に惚れ込んだルイが鬼軍曹よろしく特訓を施し、ついに大会で優勝させてしまう。そのまま二人は結ばれるという鉄板のストーリー。

雑感

どうも雰囲気が何かに似ていると思ったが、ベレニス・ベジョの登場で「アーティストだ」と気づく。タイトルの名称も、デザインも似ている。だけど、あれってフランス語だったっけ? とふと悩んで失笑。「アーティスト」では誰もセリフをしゃべらん。

公式サイトをみると「タイプで世界を取る!? 「アーティスト」「オーケストラ!」の制作陣が送る、サクセス・エンターテイメント!」とある。制作陣というのが誰を指すのかわからない。監督も別人だし。しかし、こうなったら「オーケストラ!」も何とか観たいものだ。

マリー・テイラーがローズと二人で話をする機会があった時に「好きな男性のタイプは?」と(何気なく)聞いたところ、ずらずらとルイに対する愚痴が出てきたのは笑えた。ルイが、とは言わないが、マリーには(観客にも)誰のことかはすぐにわかるわけである。マリーがニヤリと笑って「具体的な相手がいるのね?」と言うと、あわてて「え! いえ! 違うんです!」とあわてるところがカワイイ。

タイプライターの改良案をメーカーに提案し、「それを俺の名前でやっちまっていいのか?」と聞かれたボブが、人目もはばからず抱き合っているルイとローズを指して「アメリカ人はビジネスをすればいい。フランス人は恋をする」と答えたのが実に気が利いていた。

しかし、なんで1959年なのだろうか。日本人が昭和にノスタルジーを感じるように、フランス人もこうした作品を好むのだろうか。

配役

デボラ・フランソワの容姿はちょっとオードリー・ヘプバーンを連想させる。
(2013/09/22 記)