窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

海外でも取り違え事件が「もうひとりの息子」

題名もうひとりの息子(原題:Le fils de l'Autre)
監督ロレーヌ・レビ
出演ジュール・シトリュク(ヨセフ)、エマニュエル・ドゥボス(オリット、ヨセフの母)、パスカル・エルベ(アロン、イスラエル国防軍大佐/ヨセフの父)、マハディ・ザハビ(ヤシン)、アリーン・ウマリ(ライラ、ヤシンの母)、ハリファ・ナトゥール(サイード、自動車修理工/ヤシンの父)、他
公式サイト映画『もうひとりの息子』公式サイト
制作フランス(2013年10月19日日本公開)
劇場銀座シネスイッチ

内容紹介

テルアビブに住むフランス系ユダヤ人家族に育ったヨセフは、兵役検査の結果、両親の実の子ではないことが判明。湾岸戦争の混乱時に病院が赤ん坊を取り違えたのだ。取り違えた相手は、占領下にあるヨルダン河西岸地区に住むアラブ人家族に育った。

親子間の愛情と葛藤はむろんだが、ここには人種問題が横たわる。ヨセフは、ラビ(ユダヤ教の指導者)からユダヤ人でないからと改宗を強いられ、アイデンティティの喪失に呆然とする。ヤシンは兄から「お前は敵だ」と罵られ、激しく批判される。

イスラエル側とパレスチナ側の経済格差も残酷な現実である。お互いに自分の枠の中だけで生きていれば、それはそれでいいのかも知れないが、ヤシンがヨセフに会いに行き、ついでにアイスクリームの販売のアルバイトをして得た報酬は、父親の給料にほぼ等しかった……。

雑感

率直に言って、ずっと退屈だった。パレスチナ問題についてある程度の知識があれば、それなりに興味深く見られたのだろうと思うが、背景を何も知らずに観たため、チンプンカンプンだった。退屈に感じられたのは、第一にはそれが理由だが、話の展開にも面白味に欠ける部分があったように思う。たとえば「そして父になる」では、深刻な話題の合間に、リリー・フランキーによる本気で笑えるギャグが散りばめられていた。そういう工夫は本作にはなかった。

それにしても、ユダヤ人とアラブ人というのは、言語、文化、宗教などによる違いであり、人種の違いではないということを今回初めて知った。