ジャッキー・ロビンソンがいなければ、野茂もイチローもいなかった。今年最高の一作かな、と思ったが、リストを見返すと、「アルゴ」あり「ラストスタンド」あり「終戦のエンペラー」あり……。とにかく、面白かったことは間違いない。
題名 | 42 −世界を変えた男−(原題:42) |
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監督・脚本 | ブライアン・ヘルゲランド |
出演 | チャドウィック・ボーズマン(ジャッキー・ロビンソン)、ハリソン・フォード(ブランチ・リッキー、ブルックリン・ドジャースの会長)、他 |
公式サイト | 映画『42 〜世界を変えた男〜』オフィシャルサイト |
制作 | USA(2013年11月1日日本公開) |
劇場 | TOHOシネマズ ららぽーと横浜 |
内容紹介
ジャッキー・ロビンソンに関しては改めて触れるまでもなく……というほど、詳しいわけではないが、近代メジャリーグ初の黒人選手であり、有色人種排除の方針がなかば確立されていた中、有色人種のメジャーリーグ登場の道を開いた。彼がいなければハンク・アーロンもバリー・ボンズも、野茂もイチローも松井もいなかったのだ。彼がドジャースに誘われてからチームに受け入れられるまでを描いた作品。
雑感
ドジャースは、ロサンジェルス・ドジャースではなくブルックリン・ドジャースなんだなーとか、バッターは打席でもヘルメットをかぶっていないんだなーとかいう部分は楽しく、ほのぼのと観ていられた。しかし、これは結局差別の物語である。ジャッキーに対して、現代の感覚では一見あり得ないと思えるような侮蔑的な言葉や態度を、平気で表に出す(しかもそれが恥ずかしいことだとは露ほども感じていない)人が多く、見ていて不愉快だった。
ジャッキーの祖父は、アフリカから奴隷として連れてこられた人だそうである。他民族の自由も尊厳も奪い取って無理やり連れてきておいて、奴隷解放後もその子孫に対して気持ちが悪いだの一緒にいたくないだのと、なんと勝手なことをと思う。いくら役の上とはいえ、あのような演技をするのは役者としてもつらいだろう。
その一方で、では今となっては縁のない話なのか? といえば、そうも言い切れないのが空しいところだ。アメリカの話ではない。今の日本でも、たとえば在日韓国人に対する態度はどうか。変わっていないのではないか。
それを考えると、こうした「民族の恥部」に堂々と向き合い、それを映画として作品化するアメリカという国の懐の深さには感心してしまう。
物語の最後に、「42」は今やメジャーリーグ全体の永久欠番になっている……という説明があった時は、思わずうるっときてしまった。
最後に、ジャッキー・ロビンソンが行ったとされる名言を紹介する。
「不可能」の反対は「可能」ではない。「挑戦」だ。
配役
- ハリソン・フォードがえらく老けていた。演技なのか、実際にトシなのか……(現在71歳。1945年時点でブランチ・リッキーは64歳、わざと老ける必要はないはず)。2年前の「カウボーイ&エイリアン」ではもっと若々しかったと思うが。
今日の英語
- I need you. Everybody needs you.(君が必要だ。みんなそう思ってる)
過去記事
- ハリソン・フォードとダニエル・クレイグの共演「カウボーイ&エイリアン」(2011/11/19)
リンク
- 42/世界を変えた男 黒人選手誕生、人間ドラマに(日本経済新聞、2013/11/01)
- 『42 〜世界を変えた男〜』で注目すべきは人種差別問題ではない(映画のブログ、2013/11/04)