窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

元祖イヤボーン「キャリー」

イヤボーン」というのは、相原コージ竹熊健太郎著の「サルでも描けるまんが教室」という漫画の中で喝破された法則である。その当該ページが「雪の峠・ピカピカぴかりんじゃんけんポン♪の舞」(半熟オムツライス、2012/02/20)の中ほどに公開されているのでぜひごらんいただきたいが、要するに美少女が襲われて「いやあぁぁっ」と叫んだ瞬間に超能力が覚醒し、相手をボーンとやっつけるという場面を指した(それがワンパターンであることを揶揄した)表現である。

岡崎つぐお著「ジャスティ」では主人公ジャスティの姉ジェルナがまさにそのような状況で本物の「力」に目覚めるシーンがあったし、永井豪「凄ノ王」でもやはり同様の経緯で覚醒していった。平凡な人間が超能力に目覚める王道だが、どうやら元を辿ると元祖は「キャリー」らしい。そう聞いたら観に行かないわけにはいかない。

題名キャリー(原題:Carrie)
監督キンバリー・ピアース
原作スティーヴン・キング/1976年のアメリカ映画「キャリー」のリメイク
出演クロエ・グレース・モレッツ(キャリー・ホワイト)、ジュリアン・ムーア(マーガレット・ホワイト、キャリーの母)、ジュディ・グリア(デジャルダン、体育教師)、ポーシャ・ダブルデイ(クリス・ハーゲンセン、いじめっ子)、ガブリエラ・ワイルド(スー・スネル、最初はキャリーを虐めてたがのちに改心)、アンセル・エルゴート(トミー・ロス、スーのボーイフレンド)、アレックス・ラッセル(ビリー・ノーラン、クリスの恋人)、他
公式サイトキャリー - オフィシャルサイト
制作USA(2013年11月8日日本公開)
劇場109シネマズ川崎

内容紹介

キャリーは学校では虐められっ子、家では父親はおらず、偏狭的な母親に理不尽に厳しい躾けを受けるなど、安らげるところがないまま育った。ある日学校でシャワーを浴びている途中に初潮を経験するが、月経について教わっていなかったためパニックに陥る。それを面白がったクリスらはタンポンを投げつけ、その様子を携帯でビデオ撮影するなどエスカレート。

虐めに気づいたデジャルダンによってクリスらは罰を受けるが、クリスは、キャリーが悪いのだと反省せず、デジャルダンに反抗。仲間たちにも教師の言うことを聞くなと呼びかけるが、スーらは素直に処罰を受け、孤立したクリスはプロムパーティへ参加を禁止されてしまう。

すべてはキャリーのせいだと逆恨みしたクリスは、ビリーに命じてキャリーへの復讐を計画するが……

雑感

なるほど、こういう話だったか。おしまい。……と言いたいけど、もうちょっと書くと……

キャリーの母が理解不能。何を考えて、娘に何を期待しているのかわからない。生理について教えず、血は下劣な男を呼び寄せるだけの薄汚いもの、みたいな言い方をして、「祈りなさい、祈って許しを乞いなさい」と強制する。なぜ、なんの許しを乞わなければいけないのか、キャリーが理解できないのは当然だ。僕だって理解できない。

そもそもキャリーが生まれた時、マーガレットは殺そうとした(が、殺せなかった)。キャリーが(なんらかの事情で)悪魔の血を引いていて、それを知って存在を消そうとしたり、覚醒しないように特別な躾をしているのかと当初は思ったが、どうやらそうではないらしい。キャリーの父に関し、「あの日私たちは一晩中ベッドを共にしていた。でも清い関係だった。ところが自制できなくなった彼が私に覆いかぶさってきた……。そうして生まれたのがキャリーだ」のように語るのを聞いて、ああ単に頭のオカシイ人かとわかったのだが。

アメリカでは、生理の話を学校で教えないのだろうか。母親がいない女の子はどうすればいいのだろう。

1976年版を観ていないからなんともいえないが、ストーリーはともかく、今リメイクするなら、CGなどを駆使して、超能力を発動する場面はもっとすごいことができたのではないかと思うのだが、いかにもチャチな、安っぽい映像だったのでがっかりした。それでは何のためのリメイクだったのか。今をときめく人気女優・クロエを主役にすることだけが目的だったか。

配役

  • クロエ・グレース・モレッツは「モールス」で観ているが、もっとなじみがあるような気がしていた。しばらく前に兄と仲が良すぎる! 兄も妹も負けず劣らず美形! と話題になっていたことを思い出した。こうなると「ヒューゴの不思議な旅」を観ておくのだった。

今日の英語

  1. Are you scared?(こわい?)
  2. Carrie White, will you have this dance with me?(キャリー、僕と踊ってください)