自宅でDVDを見るのと劇場へ行くのはかくも違うのか「クヒオ大佐」

題名クヒオ大佐
劇場目黒シネマ

雑感

半沢直樹で大ブレイクした堺雅人特集。以前DVDを見た時、このような感想を書いた。

同時期の堺雅人主演映画では、「南極料理人」がべらぼうに面白く、それに比べればイマイチの感はぬぐえなかったが、これはこれで面白い。

このブログでは、よほどのことがない限りなるべくポジティブな書き方をしよう、と思っているのでこのような表現になったが、有体に言えば「面白いことは面白かったが、イマイチ」というのが正直な感想であった。

ところがどうだ、ものすごく引き込まれた。実に面白いのだ。

クヒオ vs 達也の掛け合いや、しのぶが「世界平和も大事だけど、お弁当も大事なのよー」と叫ぶところなど、笑える箇所も確かにある(こうした箇所で大声で笑っている人がいたため、余計におかしく感じられたという面もある。これも劇場空間の良いところだ)。しかし、基本的に哀しい物語だなと思う。

アメリカ人を装うため、わざとカタコト風の日本語を喋る。過去を創作し、本当の意味での思い出も語れない。パイロットであると信じさせるために、電話をする時にはわざとそれっぽい雑音を流す。それだけの努力をして、いったいどれほどの実入りになっているのか。転々と住まいを変え、友人の一人もいない。哀しい人生ではないか。

クヒオの嘘は、手が込んでいるように見えて、実はかなり稚拙である。だから達也や未知子には一発で見抜かれる。一歩引いて見ている観客にもそれはわかる。この程度の「芸」で世を渡って行こうとするなんて、世の中を嘗めるな、と言いたくなる。が、その稚拙な嘘に騙されてしまうしのぶや春のような女性もいるわけで、それもまた哀しい側面である。達也が「お前わざとやってるだろ」と怒鳴りつけた時、そんな芸で俺を騙せると思ったのか、ということだけでなく、こんな詰まらない嘘にうちの姉ちゃんは騙されたのか、という腹立ちもあったのではないか。

最後に米軍がヘリでやってきてクヒオを召喚し、そのまま彼をリーダーにして戦地に赴くことになった時はいったい何が起きたのかと思ったが、それが彼の妄想だとわかった時は哀しくなった。もしかしたら彼は、自分が嘘をついているという自覚すらなく、本当にクヒオなんだと思い込んでいたのかも知れない……。

しかし、嘘で固めた彼の行為にも真実はある。恐らく彼が虐待されて育ったのは事実。だから親が幼い子に暴力的な言葉を吐き、またそうした行為をするのを許せないと感じる、許せないといっても彼には何もできないわけだが、それでも怒りを感じる、その感情だけは嘘ではないのだろう。

配役

  • 堺雅人と一緒にベッドに寝ていた満島ひかりが身体を起こした時、上半身の前面は手で押さえていたため、もちろん何が見えたというわけではないのだが、一応オールヌードだったわけで、ドキっとした。*1満島ひかり、当時23歳。

今日の英語

  1. "Are there any cheaper room?"(「もっと安い部屋はありませんか」)

過去記事

クヒオ大佐 [DVD]

クヒオ大佐 [DVD]

リンク

*1:もちろん本当にオールヌードだったわけではなく、実際には下着かその代替物を身に着けていただろう。ただ、水着姿の写真はそれだけならただの水着姿だが、水着の部分を隠したり塗りつぶしたりすると全裸に見えて急にエロくなる、という法則がここでも当て嵌まる。