荒唐無稽だが意外にリアリティがある「スノーピアサー」

題名スノーピアサー(Snowpiercer)
原作ジャック・ロブ、バンジャマン・ルグラン、ジャン=マルク・ロシェット(フランスコミック)
監督ポン・ジュノ
出演■後方車両/クリス・エヴァンス(カーティス)、ソン・ガンホ(ナムグン・ミンス、セキュリティの専門家)、コ・アソン(ヨナ、ナムグンの娘)、オクタヴィア・スペンサー(ターニャ、息子を取られた母親)、ジョン・ハート(ギリアム、精神的リーダー)、ジェイミー・ベルエドガー、カーティスの右腕)、ユエン・ブレムナー(アンドリュー、息子と右腕を奪われた父親)、他
■前方車両/エド・ハリス(ウィルフォード、創造主)、ティルダ・スウィントン(メイソン、総理大臣)、ヴラド・イワノフ(フランコ、スナイパー)、アリソン・ピル(小学校の教師)、他
公式サイト映画『スノーピアサー』公式サイト
制作韓国、USA、フランス(2014年2月7日日本公開)
時間125分
劇場TOHOシネマズ 川崎

内容紹介

2014年、温暖化を阻止しようと冷却材を空中に散布したら氷河期がきてしまったという間抜けな人類の話。地球は雪と氷に覆われ、あらゆる生物は死に絶えた。ただひとつ、列車「スノーピアサー」に乗っている人たちを除いて。

「スノーピアサー」は元々ウィルフォードによって建設された列車で、北極からアフリカの南端まで地球上の主要な大陸に線路を敷き、一年かけて一周する豪華客車だった。従って列車内には長期間快適に暮らすためのさまざまな設備が用意され、自給自足ができるようになっていた。

ただしまっとうな生活を甘受できるのは「前方車両」の人だけであり、「後方車両」の人は毎日プロテインのようなものを食べさせられるだけ、ろくに風呂にも入れず、プライベートな空間はなく、劣悪な環境で奴隷のように働かされるだけ。そうして17年が経った。列車の中で生まれ育った子も増えてきた。

2031年、ついに耐えかねた後方車両の人たちは、カーティスをリーダーとして反乱を起こす。目指すは先頭車両だ……

雑感

話がシンプルな分、「エージェント・ライアン」より面白かった。

スノーピアサーの中にも小さな社会があって、現実と同じく、階級差があり貧富の差がある。ただし列車内の生活は一次元的な世界だから、基本的には前後の動きしかない。一両でも前へ進むことが、それだけ革命が成功したことになる。シンプルでわかりやすい。

後方車両の人間も、一応生存は保証されているが、人間の尊厳は踏みにじられる。また、突然子供を連れ去られたりする。その子が前方でいい生活をしているならいいが、音信不通・消息不明になってしまうと、親としては許せることではないだろう。彼らだって「生きたい」には違いないが、仲間のために、子どものために、命を賭ける理由はある。

しかし前方車両の人にとっては、優雅でぜいたくな暮らしが前提であり、後方車両の連中と争いになって、けがをしたり、死にでもしたら全く割に合わないだろう。だったら、ここまであからさまに差別して反感を買うようなことをせず、もう少しおだてるなりの懐柔策に努めた方が得ではないかと思ったのだが、実はこれには理由があるのだった。終盤でこの理由が明かされるのは興味深い「どんでん返し」のひとつ。

列車の中で17年も生活するというのは、一見荒唐無稽だが、もともと一年以上かけて地球を回る豪華・長距離客車を目指していたのであれば、完結した設備が整っているのもなんとなく納得できる(地球の人類がすべて死に絶えたほどの寒さの中、なぜスノーピアサーだけが人間が快適に過ごせる社内温度を保てるのかについては何の説明もなかったけど)。

この列車、車両数は多いようだが、幅は普通の旅客列車と変わらないようだ。だとすれば、とても人間が長時間快適に過ごせるスペースは確保できないと思うが、まあその点は目をつぶろう。

線路のメンテナンスを全くせず、外界から何のエネルギー供給も受けられない中、17年にもわたって生活し、子どもを生み育てるというのは、いくらなんでも無理だろう。給油は絶対に必要だ(煙草が最後になったとか、エンジンの交換部品が尽きたとかいう描写はあったけど)。

でもまあ、ふと気づくと、そもそもなんでこの列車は走り回っているのかね。大事なエネルギー源は、灯りや暖房にのみ使用し、列車はどこか安全な場所に停止しておけばいいのではないか。実際、最後は走り回っていたがために雪崩の被害に遭ったが、どこか平地に停車しておけばあんな事故に遭うこともなかったはず。これは納得の行く説明がほしかったところだ。

配役

タイトル

  • piercerは「刺し通す人、穴あけ器、放卵管」

今日の英語

  1. After you.(お先にどうぞ)