窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

播磨がひとつになった/「軍師官兵衛」第九話「官兵衛試される」

出演

粗筋

織田と同盟を結ぶ際に、播磨一国をまとめてみせると大見得を切った官兵衛だったが、竹中半兵衛から「具体的にどうするつもりか」と訊かれ、「小寺政職赤松広秀、別所長治の名門三家を信長さまに拝謁させる。さすれば他の地侍もみな織田につく」と約束してしまう。実はこの三家は播磨国の中で長い間勢力争いを繰り返してきた間柄で、和議を結び一緒に信長公の元に行かせるというのは至難の業だ。

政職は「他の二人がうんといえばわしも従う」と言い、赤松と別所を見事に説き伏せることに成功。が、政職は前言を翻し承諾しない。そこへ荒木村重が脅しに来る。政職は慌てて信長拝謁を約束する。実は半兵衛は播磨に密偵を放っており、話が進んでいないことを察知して手を打ったのだ。官兵衛には厳しいことを言ったが、ここまでできれば上出来だと評価。事情をあとで知った官兵衛は、ありがたかったが、主君の説得は自分がやりたかったと半兵衛に告げる。

そんな折、毛利の大群が播磨へ攻めてくる……

雑感

「軍師」官兵衛と謳っておきながら、別所、赤松を説得する様子はさらりと流す。別所を説得できたのは事前に手紙を送っておいたから。赤松に到っては話をするシーンすらなし。しかしまあ、まだまだ若い官兵衛が、官兵衛なりに頑張ったこと、老獪な半兵衛は遠隔地からも事情を把握し、さりげなくサポートしたこと、これが今回の主眼であろう。

小寺政職はのんびり屋を装ってはいるが、実は意外に老獪で、悪知恵が働く人……のように当初は描かれていたと思うのだが、前回あたりから、単なるバカ殿っぽくなった。特に今回は、信長拝謁を嫌がるのは、生まれてこの方播磨を出たことがないため、怖いのだとか、官兵衛が自分よりも信長を大切にしているように見えるから嫉妬したとか。歳をとってから子供が出来たため、冒険ができなくなったのかも知れないが、情けない。そしてドラマとしては底が浅い。

盛り上がりに欠け、粗筋を紹介しているだけのようにみえると、今年の大河を批判する声も多く、自分もその通りだという気持ちもないではないが、それについては別の機会に触れる。

今回一番がっかりしたのは……

播磨というのは毛利の治める地の隣国である。だから、織田にとって播磨を手に入れることは重要であった。官兵衛も、毛利攻めの際はわれらの力が必要になりましょうと説いた。逆に、毛利にとっては、播磨が織田と結ばれては困るのである。だからこそ安国寺恵瓊を使って籠絡しようとしたのだし、実際、上月城をはじめ、毛利と結んでいた家も多かったのである。

そこへ一斉に織田につくということになれば、毛利が真っ先に播磨を叩きにくることは必定である。だから、織田と結ぶということは、毛利にどう対抗していくか、具体策を練ることに他ならない。毛利が攻めてきたら織田はどのように援護してくれるのか、それとも攻められる前にこちらから攻めるのか。中国攻めの大将・羽柴秀吉とよろしくやれと信長が官兵衛にいったのは、そういうことを話し合えという意味であり、一緒に飲んだり、女郎屋へ行ったりせよという意味ではないだろう。

しかし、どうもそのあたりの緊迫感がないまま架空の同盟を結び、突然の毛利の来週を受けて大騒ぎをしているだけのように見えたのが、なんとも残念だ。小寺、赤松、別所が信長に会いに行けば、間髪をいれずに毛利が攻めてくることぐらい、僕でもわかる。官兵衛にはわからなかったのか。わかっていて、備えをしなかったのか。

ところで、別所長治って、秀吉に滅ぼされたのではなかったっけ? 最初は信長についたんだな……。