窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

公式サイトは誰のため?

やたらに動画やらなんやらと派手な作りになっていて、手間暇かけて作っていることはわかるけれど、肝心な情報が書いていない。どの映画の公式サイトを見てもそう感じる。

充実しているのは予告編である。サイトにアクセスするとたいていの場合自動で立ち上がるし、映画館で流れる予告編にテレビスポット全種類が置いてあるのは普通である。また、イントロダクションと称して派手な煽り文句や、評論家にこんなに高く評価されている、洋画の場合はアメリカで興行収入××を記録した……とかの惹き文句が並ぶ。

その一方で、キャスト紹介は情けないくらいに貧弱である。たいていの場合、主要な登場人物が数人記載されるだけ。10人以上記載されるのは稀である。ポスターなどではスペースの問題もあるから、限られた人しか名前が挙がらないのはわかる。しかしサイトの場合は、エンドロールで流れる人すべてを書けとは言わないまでも、もっと大勢の紹介があってもいいのではないか(僕は本来、エンドロールと同じ情報がサイトにあってしかるべきだと考えている。それができない理由がわからないのだが、何か制約があるのだろうか)。

紹介の仕方も、役者名と役名と併記されて、役者に関しての紹介はあっても役名の説明がないことが多い。こちらからすれば、役者の方は誰だかわかれば経歴を調べる方法はいろいろあるが、役柄の方こそ、正確な名前や、どういう役だったか、他の登場人物との関係などを説明してほしい。ここで説明してくれないと、他では調べようがないのだから。

「役者A:役名X」のように書いてあって、え、Aさん出演してたの? 気づかなかった。どの役? X……って、誰だっけ。どこで出ていた人? とあとで思うことはよくある。ここで、「役名X(主人公の姉。陰ながら主人公を見守る存在)」みたいに書いてあれば、あ、あのお姉さんがAさんだったのかあ……とわかる。写真が添えられていれば、なおよい。もしAという役者を知らなければ、それで覚えることができる。その方が役者にとっても、それは映画製作者としても、幸せなことだと思うのだが。

中には役者名しか載せていないサイトもある。最近では「ロボコップ」がそうだった。これはひどくないか。

粗筋もそうだ。「こんな事件が起きた。さて」というところで終わっていて、肝心なことは書いていない。ネタバレを恐れているのかも知れないが、それなら、ここから先はネタバレであると明記した上で別のページに情報を置くとか、方法はあるように思う。ストーリーの結末に直接関係がなくても、背景事情や設定などが作品を一度見ただけではわかりにくいことがある。そうした点について解説があるといいと思うのだが、これもめったにない。たとえば「TRICK ラストステージ」では、彼らが向かった国の名前がどこにも明かされていない。これは寂し過ぎるのではないか。

総じて、これから映画を観ようかどうしようかという層に対する宣伝がメインになっていて、映画を観た人が理解をさらに深め、余韻を反芻することを助けるものにはなっていない、ということなのだろう。宣伝は大いに結構だが、劇場で実際にその作品を観た人をもっと大事にしてほしいと思う。