ゆる系とか言われているようだけど、結構殺伐とした話ではある。しかし盛り上がりもなければオチもない。とらえどころのない作品だ。
題名 | ジ・エクストリーム・スキヤキ |
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原作 | 前田司郎 |
監督・脚本 | 前田司郎 |
音楽 | 岡田徹(ムーンライダース) |
出演 | 井浦新(洞口)、窪塚洋介(大川)、市川実日子(京子)、倉科カナ(楓)、高良健吾(風呂場にやってきたかっこいい男)、沖田修一(普通の男)、他 |
公式サイト | 映画『ジ、エクストリーム、スキヤキ』公式サイト 11月23日(土)テアトル新宿、ほか全国ロードショー |
制作 | 日本(2013年11月23日公開) |
時間 | 111分 |
劇場 | 早稲田松竹 |
内容
楓と同棲中のウリーター・大川のところに、15年間絶縁状態だった学生時代の友人・洞口が突然訪ねてくる……
雑感
会社の終業時刻をフライングして駅まで走ったが、乗るつもりだった電車が目の前で行ってしまい、次に乗った電車が事故で遅れ、映画館に着いた時は開始10分後だった。予告編の最中だろうから、ぎりぎり間に合ったかな、と思ったら、予告編は相当短かったらしく、既に始まっていた。最初の導入部分を見逃してしまったのだ。おかげで設定はわからないし、15年前に何があったのか最後まで不明なままだった。残念なことをした……
それはともかく、何とも不思議な作品である。こういう作品をどう説明し、どう評価すればいいのか、表現力を持たない。恋愛物語ではない。ミステリーでもない。ロードムービーである、とは言えるかもしれない。40近くなる大人たちがこんな幼稚な会話しかできないなんて、彼らの将来を考えるとホラーだ、というのは皮相的な見方か。
ひとつ言えるとすると、もし僕が自分で映画を撮ったり、小説を書いたりするとするならば、こういう話を書きたい、こういう作品を作りたい、ということだ。映画を撮ったことはないし、撮ろうとしたこともないのだが。
彼らのやっていること(たとえば居酒屋でのバイトで生計を立てているとか)、彼ら同志の関係(たとえば男女で旅館に泊まって一つの部屋で雑魚寝するとか)、これが学生ならおかしくない。でも30代後半の人間としてはちょっとどうかな、と思う。彼らは15年前に「事件」があって、時計が止まってしまった。15年の月日は流れたけど、彼らは15年前のまま進んでいない。だからこういうアンバランスなことになってしまったのだ。
いや、進んでいないと彼ら自身は思い込んでいたけど、やはり15年なりの変化はあったのだ。まあ、そういう話。
大川「15年だぜ15年。15年って言ったらお前、ゼロ歳児が15歳になるまでの時間と同じだぜ」
京子「あの、それって全然喩えになっていないと思う」
大川「そうだよな。俺も今喋りながらそうだと思った」
山場もなくたんたんと続くのに、飽きもせず最後まで見られるのは役者の演技力の賜物と思う。特に窪塚洋介の口調がいい。窪塚洋介はここ最近、「愛の渦」「サンブンノイチ」と立て続けに観たが、同一人物とは思えない。