当初、どこかのアイドルタレントのライブビューイングかと思ってリストから外していた。小説の実写化、しかも角川文庫創刊65周年企画と知って慌てて観に行った次第。なんせ角川映画で育ってきた人間なので、「往年の“角川映画”の魂にオマージュ捧げた映画、それが新生KADOKAWA映画『ライヴ』だ!」と言われたら行くしかないでしょう。
題名 | ライヴ |
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原作 | 山田悠介 |
監督・監督 | 井口昇 |
出演 | 山田裕貴(田村直人)、大野いと(宝田ルミ、福岡弁)、森永悠希(金澤伸介、お調子者)、入来茉里(水野アカリ、新体操が特技)、津田寛治(東野賢吾、アスリート)、森下能幸(緒形新一、窓際族サラリーマン)、生稲晃子(直人の母、直人が幼い頃に離婚)、諏訪太郎(ルミの父、ルミにDVを続けてきた)、志垣太郎(アカリの父、アカリを鍛えることに生きがいを感じている)、他 |
公式サイト | 映画『ライヴ』オフィシャルサイト |
制作 | 日本(2014年5月10日公開) |
時間 | 105分 |
劇場 | ヒューマントラストシネマ渋谷(劇場2/173席) |
雑感
なるほど「おとーさーん、おとーさーん」と叫ぶのは「野性の証明」のオマージュなのかも知れない。他にもそうしたネタが仕込まれていたのかも知れない。しかし、「人間の証明」の興奮も、「野性の証明」の展開も、「時をかける少女」の胸キュン感も、かけらもなかった。
山田悠介の小説を原作にしながら、小説版とはかなり違う作りになっていて、その工夫は評価してもいい。いつのころからかエンタメのいちジャンルを築いている「デス・ゲーム」は、ある日突然理不尽に始まり、その背景とか理由とかを問うてはいけないことになっている。これだけ多くの「参加者」の身内をつかまえ、監禁しておくには相当の人数の協力者が必要だが、「主催者」にそんなことができたとは思えない。が、そういうことに疑問を持ってはいけないのだろう。
それにしても現実性に乏しい。このような集め方でほぼ同時刻に「参加者」が集まってきたとは思えない。本がヒントになっているなら、僕だったらまず本を読む(それで半日は出遅れるだろう)。また、全員がインカムを着けているからといって、たったひとりの「主催者」がこれだけの人数の「参加者」の言動に個別に注意を払うのは至難のわざだろう。
電動ノコギリを腕に当てて押し付けても傷ひとつつかないとか、タンクトップにホットパンツ姿で頭から塩酸をかぶっても火傷ひとつしないとか、CG処理もお粗末なら、アクションシーンもお粗末。ボウガンで狙われたらバック転や側転をするより走って逃げた方がいいと思うのだが……
いろいろな事情があったとは思うが、これが角川映画の新しい1ページになったのかと思うと、寂しい思い出帰途についたのだった。
配役
- 大野いとは「愛と誠」の高原由紀、「偉大なるしゅららぼん」の速水沙月。おおー、そうか。
- 森下能幸は「チーム・バチスタの栄光」で愚痴外来の患者、「モンスター」で和子の父、「週刊真木よう子」のなまはげ、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の犯人。いろいろ見ているなあ。
- 志垣太郎で僕が知っているのは「エリア88」のサキ・ヴァシュタール(の声)。あれはよかった。
劇場
ハッピーフライデーで1000円で鑑賞。これでとりあえず初年度の年会費分は取り返したか?