窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

理解が難しい。「サード・パーソン」

題名サード・パーソン(Third Person)
監督・脚本ポール・ハギス
出演■パリ/リーアム・ニーソン(マイケル、小説家)、オリヴィア・ワイルド(アンナ、ファッション誌のゴシップ記者/作家志望)、キム・ベイシンガー(エレイン、マイケルの妻)、デビッド・ヘアウッド(ジェイク、マイケルの担当編集者)、他
■ローマ/エイドリアン・ブロディ(スコット、いかがわしいビジネスマン)、モラン・アティアス(モニカ、ロマ族の女)、他
■ニューヨーク/ジェームズ・フランコ(リック、著名なアーティスト)、ミラ・クニス(ジュリア、リックの元妻)、マリア・ベロテレサ離婚弁護士)、ロアン・シャバノル(サム、リックの恋人)、オリバー・クラウチジェシー、リックとジュリアの息子)、他
公式サイト映画『サード・パーソン』 TOHOシネマズ日本橋ほか大ヒット上映中!
制作USA、イギリス、ベルギー、ドイツ(2014年6月20日日本公開)
時間137分
劇場TOHOシネマズ日本橋(スクリーン1/128席)

内容

3つの話が並行して進む。マイケルは妻と別居中だが、この二人は単に仲が冷えたというのではなく、共通する心の傷があるらしい。マイケルと若い愛人のアンナがツンデレなのは単なるバカップルというだけだが、一流ホテルの廊下に素っ裸で放り出したり、女がパニックになって走るのをニヤニヤしながら眺めたりするのは普通ではない(SM愛好家だってこんなプレイはしない)。アンナは自分の美貌と若い肉体には自信を持っているらしいが、彼女も心の傷を抱えている。

スコットは出張先で立ち寄ったパブにいた客・モニカに興味を持つ。モニカが店に忘れたバッグを見つけたことをきっかけにモニカのトラブルに巻き込まれる。彼女の幼い娘は他人に預けられていて会えない状態であり、取り戻すためにはお金が必要。モニカと関係を持ったスコットは、結局その金を用立てる羽目になり……

ジュリアは、ジェシーが生まれてからは女優業をやめ育児に専念してきたが、子どもがイタズラから瀕死の状態に陥ってしまったのを虐待していたと見なされ、リックから離婚され、親権も手放すことになってしまう。情緒不安定なジュリアは子供にも会わせてもらえず追い詰められていく。弁護士のテレサはジュリアに精神鑑定を受けろというが、ホテルの客室係として働くジュリアは時間の余裕も経済的な余裕もない。

雑感

よくわからん、というのが率直な感想。

三つの話が並行して進むが、それぞれの話も、たとえば第一の話もマイケルとアンナ、マイケルとエレイン、アンナと父親の話がそれぞれあり、第二の話もスコットとモニカとは別にスコットとその妻の話があり、……というように多くの話が同時並行的に進むため(それぞれの話が短い間にどんどん切り替わっていくため)、とにかくストーリーを追うのが大変だった(知っている役者がエイドリアン・ブロディだけ、という点もわかりにくさに拍車をかけた)。

こうした場合、三つの話は次第にひとつの話に収斂していくものだが、ジュリアの働くホテルがマイケルが泊まっているホテルであり、マイケルがアンナに贈った花をジュリアがダメにしてしまう、というような関わりはあったけれども、ストーリー自体には何もかかわりがない。おまけにスコットの話と他のふたつはそもそも全く接点がない。その上、あとで公式サイトを確認すると、スコットが泊まっていたのはパリであり、ジュリアが働くのはニューヨークだという。「???」である。

他にもわからない点はたくさんあるが、下記にリンクしたBLRPNさんの説明でようやく納得がいった。つまり、第二、第三の話はマイケルの書いた小説の話だと考えるわけだ。エレインとスコットは、子どもを水死させてしまうという同じ体験をしているようだったが、これも自分の体験を小説に生かしたとみれば辻褄が合う。

とはいえ、第二の話はどういうことなのか依然としてわからない(モニカは業者とグルだったのか、モニカも被害者なのか? モニカに娘はいたのかいないのか? スコットはなぜモニカに金を出そうとしたのか? 等など)し、マイケルの行動が突飛過ぎて感情移入できない。それに比べれば第三の話は話としてまとまっていたのではないか。

作中、何度も "Watch me." と意味ありげに繰り返されるが、この意味するところもよくわからなかった。下記にリンクした、rose_chocolatさんの説明もわかるのだが、なんで突然子供の視点になるのか。

ていねいに作られた作品だという印象はあるのだが、よくわからなかった、というのが率直な感想である。

今日の英語

  1. Is she there?(そこにいるの?)
  2. Watch me.(僕を見てね)

リンク