玉木宏と石原さとみのW主演。「幕末高校生」

玉木宏久々の主演映画。前回がアレだったから今回は期待したいが。

題名幕末高校生
原案眉村卓「名残の雪」
監督李闘士男
出演四葉学園/石原さとみ(川辺未香子、教師)、柄本時生(高瀬雅也、生徒)、川口春奈(森野恵理、生徒)、千葉雄大(沼田慎太郎、生徒)、他
幕臣玉木宏勝海舟)、吉田羊(民子、海舟の妻)、篠井英介徳川慶喜)、伊武雅刀(大崎則篤、町奉行)、柄本明(柳田龍三、陸軍副総裁)、中村育二(木下長行、柳田一派)、井上肇(神田尚志、柳田一派。西郷隆盛への書状を柳田に渡してしまう)、渡辺邦斗(宮川八郎、柳田一派)、他
長州藩佐藤浩市西郷隆盛)、隆大介(山下利蔵、西郷の側近)、他
■江戸町民/山崎銀之丞新門辰五郎)、嶋田久作(薩摩屋)、石橋蓮司(長英、蕎麦屋)、谷村美月(千代、沼田慎太郎の妻?)、他
公式サイト映画「幕末高校生」
制作日本(2014年7月26日公開)
時間108分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜(スクリーン2/126席)

内容

幼馴染の高瀬、沼田、恵理と担任の未香子(日本史教師)が一緒にいる時に、高瀬がスマホの「歴史体験アプリ」を起動させてしまい、4人は過去へ飛ばされてしまう。未香子が着いたのは1868年3月10日、高瀬はその3日前、恵理はその半年前、沼田は未香子・高瀬らの一年前に着く。着いた場所は全員ほぼ同じ、江戸の中心部だった。

未香子と高瀬は薩摩のスパイと誤解されて捕まり、奉行の厳しい取り調べを受けるが、密航者と誤解した勝海舟に庇護され、その屋敷で暮らすことになる。

歴史の知識から、勝海舟といえば日本史上まれにみる偉大な人物だと未香子は思い込んでいたが、実際の勝はどうも未香子の知っている勝海舟とは違う……

雑感(ちょっとネタバレあるかも)

勝海舟といえば、いい人として描かれるか敵役として描かれるかはともかく、政治力があり、先を見る目に優れ、頭の回転が速い人物として描かれるのが普通である。が、本作における勝はそれとは対極的なキャラである。既に評価の固まった人物のキャラを、新しく立て直す、という試みは面白いと思う。また、ダメ人間かと思ったらそうでもないことがだんだんわかってくる、という見せ方も悪くない。最初はなんだと思ったが、最後はカッコいい玉木宏を見せてくれた。

未香子未香子は教師として自分なりに頑張っているが、生徒からは好かれていない。自分でもそれが薄々わかっているが、どうしたらいいのかわからない。そういう悩みを抱えていたのだが、勝の行動を見て変わっていく、というのはいい話だ。

一足先に過去に着いた恵理のために歴史が少し変わってしまい、未香子が着いた時には、彼女の知っている幕末の様子と違いが出てきていた、というのも面白い設定。恵理がどのようにして歴史を変えたのかは触れないが、それはギャグであると同時に深く考えさせられる問題である。

ただし、申し訳ないが石原さとみに、ではなく石原の演じる川辺未香子の造形に全く魅力を感じられず、そのため退屈な作品としか思えなかった。

前半の未香子は頭が悪い……わけではなくmこの年齢としてはごく普通なのかも知れないが、そして自分が彼女と同じ年代の時にどれだけ賢かったのかと言われれば言葉を濁すしかないが、今の自分から見れば「あんた、バカ?」としかいいようがないほど考え方も態度も幼稚である。

たとえば薩長軍による江戸城総攻撃はなんとしても中止させたい。それは戦が起きればそれ以降の歴史が変わってしまうから……。それはそうだろうが、世話になった勝海舟やお民、町火消しの人や蕎麦屋のおっちゃん、そういう人たちが皆死んでしまうかも知れないのだ。戦が起きるとはそういうことだ。でも未香子はそうしたことに全く思いを馳せることはない。

沼田や恵理は、知っている人の一人もなく、現代に戻ることも完全に諦めなければいけない状況だった、ということもあるのだろうが、それなりにこの世界に溶け込み、前向きに生きて行こうとしている。教え子の三人と比較しても未香子は幼いが、自分が教師であるというプライドだけはあるから、いつでも上から物を言う。石原さとみがなまじ演技がうまいだけに、本当にバカに見えてしまう。

それが勝の姿勢を見て変わっていく……という設定はいいのだが、全然変わっているように見えないのだ。勝にあれだけ世話になっておきながら、今の自分にできる限りのお礼をしよう、なんてことは考えない。薩摩屋敷まで自動車に乗せて送ってやればよかったのに。テロ対策にもなるし。そういう発想は彼女には最後までない。

あと、高校の日本史の教師であれば、もう少し歴史に詳しくてもいいのではないかと思うが、知識が浅過ぎる。勝に的確なアドバイスができなかったのも、授業が詰まらないのも、それが原因だと思う。彼女が変わりたいなら、進路指導も生活指導も大事だろうが、まず自分の専攻をもっと極めるところから始めてはどうだろう。

配役

  • 川口春奈の19歳はまあいいとして、24歳の柄本時生、25歳の千葉雄大が高校生役とはどういうことか。もっと若い役者を使っていたら、石原さとみとの年齢差から、もう少し石原が大人に見えたかも知れないが。特にきれいな顔で若く見える千葉はまだしも、柄本時生なんてオッサン顔だから滑稽だよ。
  • 柄本時生柄本明と親子共演。柄本明は、やっぱりうまいなあ。啖呵の切り方がいい。

疑問

恵理はある身分の高い男性の保護を受けて生活していたのだが、彼女は妾ではなかったのか。顔はちょっときれいだけど、氏素性のわからない女を保護するとしたら、他に理由はないと思うのだ。もし生活の面倒を見るだけだったら、身分が違い過ぎるので、親しく口をきく機会はほとんどなかったと思われるが、彼女から現代の若者言葉がうつってしまう程度に親しく話をしていたとなると、ますます、それは閨の中でではないか? と思ってしまう。作中ではそうだとは描かれていないが、そうでないとも描かれなかった。