やはりハリウッド映画は面白い。「ダイバージェント」

最近日本映画が続き、邦画には邦画のよさもあるのだが、こういうタイプの映画は邦画にはない。

題名ダイバージェント(Divergent)
監督・脚本ニール・バーガー
出演シェイリーン・ウッドリー(ベアトリス・プライアー/トリス)、アシュレイ・ジャッド(ナタリー・プライアー、ベアトリスの母/「無欲」所属)、トニー・ゴールドウィン(アンドリュー・プライアー、ベアトリスの父/「無欲」所属の政府高官)、アンセル・エルゴート(ケイレブ・プライアー、ベアトリスの兄/「博学」に所属)、テオ・ジェームズ(トビアスイートン/フォー、「勇敢」教官)、ジェイ・コートニー(エリック、「勇敢」教官)、ゾーイ・クラヴィッツ(クリスティーナ、「高潔」出身で「勇敢」所属)、マイルズ・テラー(ピーター、「高潔」出身で「勇敢」所属)、マギー・Q(トーリ、「勇敢」所属/ベアトリスの適性検査を実施)、ケイト・ウィンスレット(ジェニーン、「博学」最高幹部)、レイ・スティーブンソン(マーカス・イートン、「無欲」最高幹部)、他
公式サイト映画『ダイバージェント』公式サイト
制作USA(2014年7月11日日本公開)
時間139分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜(スクリーン5/126席)

内容

終戦争から100年後の近未来では、5つの共同体(faction)で社会は成り立っていた。

勇敢 Dauntless 勇気ある者 軍事・警察を担う 身体中にタトゥー、黒い服
高潔 Candor 正直者 司法を担う 思ったことをそのまま口にする
無欲 Abnegation 思いやる者 政権を担う 地味で味気ない生活
平和 Amity 優しい者 農業を担う 穏健派
博学 Erudite 論理的な者 教育・研究を担う 「無欲」に疑念を抱いている
無派閥 Factionless 共同体を脱落した者たち 「無欲」の施しで生きている

住民は一定の年齢に達するとたった一度の性格テストによって適正な共同体を示唆される。ただしテストの結果に関わりなく希望する共同体に所属することができるが、選択はただ一度だけであり、途中変更は許されない。なんらかの理由で脱落したものは無派閥として一生を過ごさなければならない。

まれに、どの共同体への適性もない「異端者」(ダイバージェント)が発見される。社会を滅ぼす者とされ、存在が見つかれば抹殺される可能性がある。

雑感

正直、設定に関しては羊頭狗肉の感あり。近代社会における役割分担は極めて複雑で、役割(職業)の種類は多い。業種も多いが職種も多岐にわたっている。

ざっと説明を聞くと、では農林水産業はどうなっているのか、皆が来ている衣服、乗っている自動車や列車は誰が作っているのか、といった疑問が沸く。「博学」はさまざまな研究開発も行なっているらしいが、工場で働く人がいなければ物は作れない。要は5つの共同体がカバーしている範囲は狭すぎて、社会が成り立たないのではと思う。実際にスクリーンの中では多くのものが存在していたが……

また、生産を担っているのは「平和」だけのようだが、それでは社会は成り立たない。生産者人口が少な過ぎる。実際には各共同体の人数には大きな差があり、「平和」が圧倒的に多くて他は少数、というならわかるが、本人が希望すれば誰でもその共同体に入れる仕組みになっており、定員が決まっている様子はない。これは不思議だ。

所属する共同体を選べるのはただ一度限りであり、何らかの理由で脱落したら無派閥になるしかない、というのも乱暴な話だ。施しなんかしないで、彼らにも働かせたらいい。なぜ一度だけなのか、その理由は説明されない。映画のストーリー上の設定、としか受け取れない。

このように、一見おおがかりな社会システムを構築していても、実は穴だらけであり、映画で描かれる社会自体もこのルールに則っているようにも思えず、そのあたりは残念であった。

しかし、そこは片目をつぶると、親から独立して新しい共同体を選んだこと、そこで厳しいトレーニングを受け、脱落しかけたり、周囲から虐めに遭ったり、それを撥ね返したり、……というあたりはひとつひとつが興味深く、引き込まれるところだ。

シェイリーン・ウッドリーが最初はいかにもひ弱で、一所懸命自主トレをするのだが、弱々しく、いくら頑張っても他の人についていくのは難しかろうと思われたが、どんどんたくましくなっていき、最後の方は教官も一目置くほどの存在になっていく……この変化は見応えがあった。シェイリーン・ウッドリー渾身の演技である。

途中から共同体間の勢力争いに焦点が移るが、軍隊としていいように利用される「勇敢」の中で、トリスとフォーが反乱を起こし、息の合ったアクションで大勢の敵をバタバタ倒し、追い詰めていくさまは爽快感がある。

結論として、設定は突っ込みどころ満載だが、テンポがよく、アクションシーンが見応えがある。十分「面白い」と言える作品であったと思う。

配役

シェイリーン・ウッドリーは「ファミリー・ツリー」での好演が印象に残っていた。その後あまり露出がなく、今回が初めてである。あの時とは全然違う役柄だが、よくこなしていた。

観客

わずかに8人。公開されてだいぶ日が経つとはいえ、ちょいと寂しい。

リンク

同じ日に観に行ったようである。社会の構成単位が家族ではないことに注目されている。この視点は面白いと思った。