実際に観たのは10日。本田翼を初めて見た。
題名 | 起終点駅 ターミナル |
---|---|
原作 | 桜木紫乃 |
脚本 | 長谷川康夫 |
監督 | 篠原哲雄 |
出演 | 佐藤浩市(鷲田完治、元裁判官で現弁護士)、本田翼(椎名敦子、覚醒剤事件の被告人・鷲田の依頼人)、中村獅童(大下一龍、ヤクザの二代目組長)、和田正人(森山卓士、新米判事補・鷲田の息子の同級生)、音尾琢真(大村真一、鷲田の隣に住む老人の息子)、泉谷しげる(南達三、鷲田の先輩弁護士)、尾野真千子(結城冴子、鷲田の嘗ての恋人)、他 |
公式サイト | 映画『起終点駅 ターミナル』公式サイト |
制作 | 日本(2015年11月7日公開) |
時間 | 109分 |
劇場 | TOHOシネマズ 新宿(screen 8/112席) |
内容
鷲田は、北海道釧路で小さな弁護士事務所を開いている。国選弁護士しか引き受けず、個人の依頼は一切受けない。だから生活は貧しい。子が一人いるが、25年前に離婚してからは一度も会っていない。孤独な生活だが、なぜか料理には熱心で、器用に自炊している。そんな生活に、ある日突然椎名敦子が飛び込んでくる。個人の依頼は受けないと断わっても、なぜか懐かれてしまい……
雑感
悪い意味でいうわけではないが、冒頭のシーンからいかにも日本映画だなあ、と思った。
自分の人生を終わったものと思い、何の夢も持たず、心を閉ざして生きている鷲田と椎名。その二人が、だんだんとお互いがお互いの心を溶かしていく。終着駅はまた始発駅でもある、と、再出発を決意する二人でラストシーン。こう書くとベタだが、ラストはともかく、二人が徐々に心を溶かしていく様子は悪くない。佐藤浩市はまあともかくとして、本田翼がいい動きをした(演技がうまいわけでは必ずしもないのだけど)。
本作は、2014年の釧路を描くのが目的だろうから、それ以前の「事件」はある意味どうでもいいのだろうが、それにしても経緯が不明である。旭川で地方裁判所の裁判官をしていた鷲田は、かつての恋人・冴子と再会する。冴子は被告人で、鷲田は有罪判決を下すこととなった。その後冴子の営むスナックを訪ねた鷲田は、冴子と関係を復活させるが……
執行猶予つきとはいえ、有罪判決の下った刑事被告人と、判決を下した裁判官が私的に会うだけでも問題だろうに、既婚者の鷲田がいきなり冴子と関係を結ぶのも疑問だし、単身赴任中の火遊びかと思ったら、一緒に暮らそうなどと言い出すし、それを聞いた冴子が自殺するのも謎なら、冴子が死んだあとに鷲田が離婚するのも謎。子どもにも一切会わず、父親らしいことを何一つせずに過ごすのも謎。それなのに子どもは父親と同じ職業に就きたいと、同じ東北大学の法学部に進学するし、法曹界に職を得たことを喜ぶのも理由不明。そこは突っ込むところじゃないのかも知れないが。
ラストシーンはいただけない。息子から結婚式に招待されたものの辞退する。しかし、急に出席したくなり、釧路から出発するところでエンドマークなのだが、一度は断わった人が、何の連絡もなく突然来られても、招待側は困るだろう。料理その他の準備の都合もある。新郎の父となれば、隅の方に適当に席を作って座らせればいいというわけにはいかない。挨拶だってしてもらわにゃいかん。いや、結婚式に行くなというのではない。家を出る前に、一本電話して、やっぱり行きたいんだがいいかと言えばいいことなのだ。そのシーンでエンドの方がよかったのではないか。でも実際に駅を出発しないと「起点駅」にならないか。
佐藤浩市の料理
物語の中で、鷲田は器用にいろいろな料理を作る。佐藤自身が作っているわけではないだろうが、料理の場面が何度も出てきて、しかも出てくるものがみなおいしそうで食欲をそそる。特に何度か登場するのが「ザンギ」。初めて聞く料理名なので何かと思ったが、鶏の唐揚げに似た北海道特有の料理らしい。「くしろザンギ推進協会」のサイトには下記のような説明がある。
「ザンギ」は、分かりやすく言えば「鶏の唐揚げ」です。(中略)昭和35年、釧路市の末広歓楽街にある鶏料理店で「ザンギ」は誕生しました。鶏の骨付き肉を唐揚げにして、ソースをつけて提供されていたメニューは、炸鶏(ザーギー)に『運(ン)』がつくようにと「ザンギ」と名付けられたのだそう。ちなみに、この鶏料理店は今もザンギ発祥の店として昔ながらの骨付きザンギを作り続けています。(中略)釧路では「ザンギ」は料理の名前であると同時に「唐揚げにしたもの」という意味を持っており、今も進化し続けているのです。
http://946zangi.com/about
佐藤浩市と尾野真千子のベッドシーン
舞台挨拶で尾野真千子が「これまで共演経験のほとんどない佐藤浩市といきなりベッドシーンだったので、ちょっと気まずかったけど、一気に打ち解けたので、その後は却ってやりやすかった」というようなことを言っていたのは事前に知っていた。はたして始まって間もなくベッドシーンがあった。で、そのあと二人はどんな関係が続いていくのかと思ったら、あっさり尾野はスクリーンから姿を消す。その後も何も、ほぼベッドシーンだけじゃんよ!!
ちなみにそのシーン、尾野は上半身は下着をつけていた。ただ寝ているだけではなく、あれこれ動くので、動いた時に胸が見えるのを嫌ったのかも知れないが、普通の女性は、ベッドに入っている時にブラジャーをしますかね? ちょっと興醒めだった。
(2015年11月15日 記)
リンク
- 佐藤浩市、尾野真千子と撮影初日にベッドシーン「恥ずかしかった」(ORICON STYLE、2015/11/07)