窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「アシガール」最終回「若君といつまでも!」

続きが待てない。NHKオンデマンドにて視聴。

概要

撃たれはしたが、唯はなんとか羽木勢にたどりつき、状況を説明する。そのため、高山の罠にかからずに済んだが、忠清がまだ一人で(悪丸と如古坊はいるが)山中をさまよっていることと、高山から追手が出ていることは変わらず。軍勢を動かせば高山が一気に攻めてくるから、本陣は高山と対峙しつつ、忠清救出の部隊を割くことに。そして本陣は小平太が、救出には自分が行くと成之は言う。

小平太は成之を信用せず、険悪になりかけるが、唯のとりなしなどもあって成之に任せることにする。出発前、唯が気絶。介抱しようとする周囲に、城から女を呼んで解放させろと成之が言う。唯は女、それも、若君が命懸けで助けようとした女なのだと。

結局、忠清は無事に黒羽城へ戻り、唯も回復。忠清は唯を正妻として迎えることとし、唯は読み書きから行儀作法と厳しい修行を始める。が、「戦になったら私も行きます、戦場で若君様の命を守るために私は来たのです、正妻は戦に出てはいけないというのなら正妻にはこだわりません」と告げ、忠清はこれを受け入れる。「では、わしはお前の命を守るために、戦のない世を作らなければいかんな」

雑感

面白かったし、うまくまとまりがついたと思う。ただ、揚げ足ではないが不満も残る……

前回、阿湖が「私のことは気にせず、唯を助けてください」と忠清に願い出る場面は多くの人の感涙を誘った(かどうかはわからないが、健太郎がインタビューで、彼女の健気さに「撮影中に思わず涙が出そうになりました」と述べていた)。ただこの時自分は、オンナゴコロとしてはそうかも知れないけど、自分の正妻としての座は確保されているんだから、と醒めた目で見ていた。ところがなんと、忠清は唯を正妻にするという。これには驚いた。

唯に対する気持ちとして、側室はあり得ないということなのだろうが、小なりとはいえ大名家の嫁となれば、それ相応の能力が求められる。唯には独特の魅力があるだろうが、大名家を切り盛りする才覚があるとは思えない。また、そういうことを押し付けるのは唯にとっても不幸だと思う。一方、阿湖との縁談は、好き嫌いの前に、羽木家と松丸家の縁組という大きな目的があったはず。それを破棄して松丸の恨みを買えば、下手したら松丸に寝首を掻かれることになりかねない。

しかし、ラスト直前で成之が阿湖に気のある素振りを見せていた。忠清ではなく成之の嫁になれば、羽木と松丸の縁組という目的は果たせるし、阿湖の体面も保たれよう。そうなるかはわからないが、そういう救いがあってよかった。

忠清が唯に「戦のない世を作る」と約束したのも、気持ちは素晴らしいけれど、あまりにも非現実的であろう。松丸・高山と和睦・縁組みをして、しばらくは戦のない世が保てようが、必ず周囲の侵略を受ける。戦わずして配下に降っても、今度はそこの命令で他国との戦をしなければならなくなる。大坂夏の陣までと思えばあと55年、小田原攻めまでと思ってもあと30年、戦はなくならないのが史実である。ここは、あくまで志と決意を描いたと受け取るべきか。

羽木忠高が、忠清はなぜあんなどこの馬の骨ともわからない下賤な者の命を気にしているのだ……と呟いた時に、天野信近が、唯之助は吉乃の連れ子、私にとっても我が子同然。天野家の三男です! と言い返したのは気持ち良かった。実際、唯の手柄はともかく、おふくろさまが小平太パパの後添いになってからは、唯の「家格」も上がったはずなのだ。

ともあれ、二ヵ月余にわたって楽しめる作品で良かった。特別編はどうしようかな。

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