大河枠で放映。「利家とまつ」は2002年放送。ドラマオリジナル作品。
「利家とまつ」主要出演者:カギ括弧内は役者の誕生日後の満年齢
雑感
「国盗り物語」(1973)「独眼竜政宗」(1987)からずっと時代がくだって21世紀作品。映像も過去二回とは比較にならないほどきれいだし、CG処理と思われる迫力ある映像が増えた等、明らかに時代の変化を感じさせたが、内容も、過去二作と比べて甘ったるいドラマだなー、と思った。
これまでの大河は男が戦に出ていくところだけ描いていたが、男が一人だけで手柄を立てるわけではなく内助の功があったはず。「利家とまつ」は初めて女性の視点を取り入れたのだという。今日の放映では、利家が信長から切腹を申し付けられると、まつが信長に減刑の嘆願に直談判したり、秀吉に出世競争で負け、酒を飲んでうさ晴らしをする利家をまつが叱咤激励したりするシーンもあった。
それとは別に、しゃべり方がかなり現代風だったことも時代の変化だと思った。まあ、そうしたことが「国盗り物語」や「独眼竜政宗」よりずっと現代に近いと感じた原因だろう。その後ネットで感想を拾っていると、本作はいわゆる「スイーツ大河」の元祖なのだそうだ。なるほど、確かに甘い。
ところで、本作は秀吉、佐々成政と親しくもあるがまたライバルでもあるという関係に軸を置いて話が進んでいるようである。秀吉に負けて悔しがったり、秀吉の死後、家康を抑えて自分が天下人になることを考えたり。しかし、ついにトップにはなれなかった。解説では、トップにはなれなくてもまつという最高の女房を手に入れられたのだからいいじゃん! 的な結論になっていたが、ちょっと待て。最高の伴侶を得たことは否定しないが、それは別レイヤーの話なので。
秀吉は確かに利家や佐々成政を追い抜いて出世し、天下人になった。が、それゆえ次に天下人を目指す人に狙われ、自らの死後は一粒種の息子も、その子の母も殺され、豊臣家はあっという間に地上から消えてなくなる。一方、前田家は、織田政権下では21万石、豊臣政権下では83万石、徳川政権下では115万石の大大名となり、長く栄えたわけだから、長い目で見れば(自分の「家」に対して)利家の方がはるかに貢献したと言えるだろう。出世の仕方にもいろいろあるのだ。