放送日
- 2021年11月18日
概要
稔が出征することになった。安子は神社で黙って祈りをささげる。そこへ勇がやってきた。安子は「お兄様のご武運をお祈りします」と頭を下げる。勇は「このままでいいのか」と声をかけるが「私にはもう関りのねえ人ですから……」。
杵太郎の病状が悪化。杵太郎は枕元に安子を呼び寄せると「幸せになあれ」と繰り返す。現役のころ、小豆を煮ながら「おいしくなあれ」と繰り返し呟いたように。ほどなくして亡くなる。
稔の出征が12月に決まり、千吉はそれまでに縁談をまとめようと大東亜銀行に何度も通う。
勇は会社の社長室(恐らく)を勝手に訪ね、「兄さんと安子を結婚させてください」と頼みに行く。千吉は、結婚は家と家がするもの、当人の気持ちだけでは決められないと突っ撥ねるが、勇は、家のための結婚は自分がすると言い出す。そして、せめて一度安子に会ってみてくれ、そうすればわかると言うが、千吉は怒って部屋を出て行く。
町を歩く千吉。稔と同年代の若者が軍服を着て歩いているのに何度もすれ違う。歩みを止め、橘を訪ねることに。
橘の店ではお団子が少し並んでいるだけ(一応店は開いている)。店に出てきた安子に「おはぎが食べたい」という千吉だが、おはぎはもうずいぶん前から作れないのだと安子は説明。確かにそうだ、それではと言って店を出ようとする千吉を安子は呼び止め、椀に入った汁粉を差し出す。祖母が作ったものだがぜひ食べて行ってくださいと。
金太が店に顔を出す。もしや雉真千吉さんでは? と。「ご当主ですか?」の問いに、頷きつつ、「安子の父です」と答える。
金太は説明する。今日は先代の初七日だ。せめてもの供養に、正月用に取っておいたわずかな小豆と砂糖を使って汁粉を作った。この汁粉がたちばなの原点なのだと。父を見送る時に、お気に入りの足袋をはかせてやることができた、雉真の足袋は足になじんで歩きやすいと言っていたと……。千吉は、足袋が雉真の原点ですと答える。
金太は、昨年、自分の息子も出征した。勘当した息子で、自分は意地を張って、最後まで家に入れてやらなかった……どうぞ、悔いのないように息子さんをお見送りくださいと頭を下げる。
稔は、頭取の娘との祝言をあげるため、岡山に向かう……
雑感
おじいちゃんついに死んでしまった。最後まで安子を可愛がり、将来を案じていた。
勇が男気を見せる。稔と安子が結ばれるよう、父親へ直談判。自分も安子が好きなのに、主題歌「アルデバラン」の歌詞「君と君の大切な人が幸せであるそのために」を地で行く行動だ。ただし、この時勇は闇雲に頭を下げるのではなく、稔と安子は今でも思い合っていること、安子は自分の幼なじみでよく知っている、父さんも会えばわかると安子の人柄を持ち上げ、政略結婚は自分がすると代替案を出す。これがなければ千吉が「たちばな」へ行くことはなかっただろう。勇は頭がいいのだ。学問の成績は稔の方が上なのかも知れないが、社長業には勇の方が相応しいのではないだろうか。第14話で勇の株が爆上がりしたのは間違いない。
千吉と安子の出会い(安子は相手が誰だかわかっていない)。安子が千吉に汁粉を出したのは、「気落ちしているように見えたので、汁粉を飲んで、少しでも元気を出してほしかったのでしょう」と金太は説明するが、はたしてそうだっただろうか。汁粉を提供する時に安子は「はようお元気になってくださいね」と言っているので、そう考えるのが自然だろうが、この安子のセリフは、ちょっと浮いている気がして仕方がない。自分としては、お客様はおはぎを買いに来たが、今はおはぎは作っていない、今日は家にたまたま汁粉がある、それではおはぎの代わりにせめて汁粉を飲んでいってもらおう、と考えただけなのではないかと思う。初対面の人の顔をチラと見ただけで、元気があるかどうかを軽率に判断するのは失礼な話だ。
なおこの時千吉は国民服を着ていて、胸には住所氏名が縫い込まれている。それを見れば誰だかわかったはずなのに、なぜわからなかったのかと疑問に感じる人もいたようだが、胸をじろじろ見るのは値踏みしているようで失礼な行為なので、敢えて視線を外し、相手の顔をきちんと見るようにしていたのだと思う。
さて、千吉と金太、父親同士の対峙である。この時の二人の会話は、何度見直しても震えがくる。金太は安子のことを、お願いもしなければ非難もしない。
ずっと真面目が顔をしていた千吉が、汁粉をぐっと飲んだ時に、「これはうまい」といって笑顔になった。視聴者はその瞬間を見逃さなかったはずだ。まさに安子の言う通り、「怒りよっても、くたびれとっても、悩みよっても、自然と明るい顔になる」のだ。金太が、父・杵太郎が雉真の足袋を気に入っていた、という話をした時もわずかに千吉の口元がほころんだ。足袋は雉真の原点なのだ。分野は違っても、お互いに物作りをしている者どうし、相手へのリスペクトが感じられた。
そもそも千吉は、町を歩いていても、肩で風を切って……という風ではない。葬儀の列が来れば、立ち止まって頭を下げる。「たちばな」の店でも、金太や安子に何度も頭を下げていた。威厳はあるが、威圧感はない。謙虚な人柄なのだ。千吉の株も大いに上がった。
それでも、どうにもならないのか。ナレーションでは「頭取の娘と祝言をあげるために」稔が岡山に向かったとはっきり言っていた。汽車の中の稔は、目が完全に死んでいた。松村北斗の演技力にも恐れ入る。眼の光を勝手につけたり消したりできるものなのか?
今日のきぬ
勇が神社で安子に会った時、店に行ったら閉まっていた、きぬに聞いたら、この時間ならここだろうと言われたと言っていた。今回きぬは登場していないが、画面の外で今日もいい仕事をした。
今日のtwitter
【らくがき】これまで上白石萌音さんの出演作を見ずにいた自分にビビビーン!とビンタしたくなるくらい今作の安子ちゃんで萌音さんのことすっかり好きになっちゃった。やっぱ見ないでいたら会わないでいたら魅力分かりませんよね千吉さん。#カムカムエヴリバディ #カムカム #カムカム絵 #絵ヴリバディ pic.twitter.com/OwxyO8ujON
— マチチマコ🍡 (@machichimako) November 18, 2021
幸せを願う #カムカム絵 pic.twitter.com/wXsHV1keuo
— きみどり☺︎千円くれ (@midoricro) November 18, 2021