窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(14)/第三週-木:勇、そして父と父

放送日

  • 2021年11月18日

概要

稔が出征することになった。安子は神社で黙って祈りをささげる。そこへ勇がやってきた。安子は「お兄様のご武運をお祈りします」と頭を下げる。勇は「このままでいいのか」と声をかけるが「私にはもう関りのねえ人ですから……」。

杵太郎の病状が悪化。杵太郎は枕元に安子を呼び寄せると「幸せになあれ」と繰り返す。現役のころ、小豆を煮ながら「おいしくなあれ」と繰り返し呟いたように。ほどなくして亡くなる。

稔の出征が12月に決まり、千吉はそれまでに縁談をまとめようと大東亜銀行に何度も通う。

勇は会社の社長室(恐らく)を勝手に訪ね、「兄さんと安子を結婚させてください」と頼みに行く。千吉は、結婚は家と家がするもの、当人の気持ちだけでは決められないと突っ撥ねるが、勇は、家のための結婚は自分がすると言い出す。そして、せめて一度安子に会ってみてくれ、そうすればわかると言うが、千吉は怒って部屋を出て行く。

町を歩く千吉。稔と同年代の若者が軍服を着て歩いているのに何度もすれ違う。歩みを止め、橘を訪ねることに。

橘の店ではお団子が少し並んでいるだけ(一応店は開いている)。店に出てきた安子に「おはぎが食べたい」という千吉だが、おはぎはもうずいぶん前から作れないのだと安子は説明。確かにそうだ、それではと言って店を出ようとする千吉を安子は呼び止め、椀に入った汁粉を差し出す。祖母が作ったものだがぜひ食べて行ってくださいと。

金太が店に顔を出す。もしや雉真千吉さんでは? と。「ご当主ですか?」の問いに、頷きつつ、「安子の父です」と答える。

金太は説明する。今日は先代の初七日だ。せめてもの供養に、正月用に取っておいたわずかな小豆と砂糖を使って汁粉を作った。この汁粉がたちばなの原点なのだと。父を見送る時に、お気に入りの足袋をはかせてやることができた、雉真の足袋は足になじんで歩きやすいと言っていたと……。千吉は、足袋が雉真の原点ですと答える。

金太は、昨年、自分の息子も出征した。勘当した息子で、自分は意地を張って、最後まで家に入れてやらなかった……どうぞ、悔いのないように息子さんをお見送りくださいと頭を下げる。

稔は、頭取の娘との祝言をあげるため、岡山に向かう……

雑感

おじいちゃんついに死んでしまった。最後まで安子を可愛がり、将来を案じていた。

勇が男気を見せる。稔と安子が結ばれるよう、父親へ直談判。自分も安子が好きなのに、主題歌「アルデバラン」の歌詞「君と君の大切な人が幸せであるそのために」を地で行く行動だ。ただし、この時勇は闇雲に頭を下げるのではなく、稔と安子は今でも思い合っていること、安子は自分の幼なじみでよく知っている、父さんも会えばわかると安子の人柄を持ち上げ、政略結婚は自分がすると代替案を出す。これがなければ千吉が「たちばな」へ行くことはなかっただろう。勇は頭がいいのだ。学問の成績は稔の方が上なのかも知れないが、社長業には勇の方が相応しいのではないだろうか。第14話で勇の株が爆上がりしたのは間違いない。

千吉と安子の出会い(安子は相手が誰だかわかっていない)。安子が千吉に汁粉を出したのは、「気落ちしているように見えたので、汁粉を飲んで、少しでも元気を出してほしかったのでしょう」と金太は説明するが、はたしてそうだっただろうか。汁粉を提供する時に安子は「はようお元気になってくださいね」と言っているので、そう考えるのが自然だろうが、この安子のセリフは、ちょっと浮いている気がして仕方がない。自分としては、お客様はおはぎを買いに来たが、今はおはぎは作っていない、今日は家にたまたま汁粉がある、それではおはぎの代わりにせめて汁粉を飲んでいってもらおう、と考えただけなのではないかと思う。初対面の人の顔をチラと見ただけで、元気があるかどうかを軽率に判断するのは失礼な話だ。

なおこの時千吉は国民服を着ていて、胸には住所氏名が縫い込まれている。それを見れば誰だかわかったはずなのに、なぜわからなかったのかと疑問に感じる人もいたようだが、胸をじろじろ見るのは値踏みしているようで失礼な行為なので、敢えて視線を外し、相手の顔をきちんと見るようにしていたのだと思う。

さて、千吉と金太、父親同士の対峙である。この時の二人の会話は、何度見直しても震えがくる。金太は安子のことを、お願いもしなければ非難もしない。

ずっと真面目が顔をしていた千吉が、汁粉をぐっと飲んだ時に、「これはうまい」といって笑顔になった。視聴者はその瞬間を見逃さなかったはずだ。まさに安子の言う通り、「怒りよっても、くたびれとっても、悩みよっても、自然と明るい顔になる」のだ。金太が、父・杵太郎が雉真の足袋を気に入っていた、という話をした時もわずかに千吉の口元がほころんだ。足袋は雉真の原点なのだ。分野は違っても、お互いに物作りをしている者どうし、相手へのリスペクトが感じられた。

そもそも千吉は、町を歩いていても、肩で風を切って……という風ではない。葬儀の列が来れば、立ち止まって頭を下げる。「たちばな」の店でも、金太や安子に何度も頭を下げていた。威厳はあるが、威圧感はない。謙虚な人柄なのだ。千吉の株も大いに上がった。

それでも、どうにもならないのか。ナレーションでは「頭取の娘と祝言をあげるために」稔が岡山に向かったとはっきり言っていた。汽車の中の稔は、目が完全に死んでいた。松村北斗の演技力にも恐れ入る。眼の光を勝手につけたり消したりできるものなのか?

今日のきぬ

勇が神社で安子に会った時、店に行ったら閉まっていた、きぬに聞いたら、この時間ならここだろうと言われたと言っていた。今回きぬは登場していないが、画面の外で今日もいい仕事をした。

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