窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(27):岡山でもおはぎ販売

第六週「1948」(火)

放送日

  • 2021年12月7日

出演

概要

三ヵ月経ち、安子の骨折した左腕は完治したが、るいの額の傷は残ったまま。

安子はおはぎ作りを岡山でも始めることにし、雉真の台所で小豆を煮、水田屋の店先を借りてるいと二人でおはぎの販売をすることに。

雉真繊維は焼け残った工場で足袋と学生服の生産を開始。が、生地はもちろん糸も入手困難で、売り上げはなかなか伸びない。意見を訊かれた勇は野球に喩えて現状分析をするが、千吉は否定する。

帰宅後も部屋で繊維のことや会社の業務のことを勉強する勇に、雪衣は夜食を持っていく。勇は「気が利くのう」と謝意を示す。

徹夜明け、小豆の匂いで勝手口に行くと安子が小豆を煮ている。なぜおはぎの販売などを始めたのかと訊くと、安子は、るいの傷を気にしていて、千吉は任せておけと言うが、治療費とかは自分がなんとかしてやりたいのだと答える。

そこへ千吉が顔を出し、話があると安子を部屋へ連れていく。商店街でおはぎの販売を始めたことを確認。いけなかったでしょうか、と尋ねる安子に、おはぎは安子にとって大事なものだから口ははさまないが、るいを連れて行くのはやめろという。雉真の長男の嫁とその子が働いているのを見たら、世間の人がなんというか。

その日から、安子はるいを連れず一人で仕事に行く。るいは一緒に行きたがったが家で待っているように厳しく言いくるめる。一刻も早く売り切って家に帰りたい安子は、水田の店先でも声を枯らして呼びかけるがなかなか売れない。力が歩き販売で豆腐を大量に売ってきたのを見た安子は、リヤカーを借り、歩き販売を始める。

そんな矢先、花屋の店先で進駐軍の将校に謝罪しつづける女性を見かける。将校が困っているのを見た安子は……

今日のきぬとるい

「るいちゃんのお父さんとお母さんのなれそめも、たちばなのおはぎじゃ」
「なれそめ?」
「るいちゃんのおじさんも、入り浸っとった……」

今日の千吉と安子

「るいは雉真の子としてここへ帰って来たんじゃ。それを忘れたらいけん」

今日の安子とロバート

「May I help you?」

雑感

朝丘町でのおはぎ販売

安子が水田の店先を借りておはぎの販売を始めた時は驚いた。昨日のきぬの言葉に勇気を得た安子が思いついた方策なのだろう。きぬも、自分が言い出した手前、協力せざるを得ないが、さして広くない店を半分取られて、豆腐屋としては歓迎とは言えないだろう。もっとも、力による外販の割合が高そうで、店舗販売にそこまで固執しなくてもいいのかも知れないが……

それより、千吉がよく許したな、と思った。雉真にとっては迷惑だろう。案の定、事前の相談はなかったようだ。それでも千吉は、おはぎは安子にとって特別なものだと認めるとは、器がでかい。幼いるいを連れて行くのに反対するのは当然だ。

もちろん、安子の商売に反対はしないが、積極的に賛成するわけではない。内心は苦々しく思っていたに違いない。商売をするならるいは置いていけ、というのは、るいと一緒にいたければ家にいろ、という意味でもある。つまり、二択を示したわけだが、安子は一択としか受け取らなかったようだ。そう言われておはぎ作りをやめることは考えず、全く迷いなくるいを家に置いていくことを選んだ。少しは迷うかと思ったが……

働く理由を、るいの治療費に充てるためにお金を貯めたいからと勇に話したが、まだ「女性の自立」とか「職業婦人」とかの概念がない時代。安子自身、自分がなぜ外に出て働きたいのか、その理由を自覚できていない。治療費のため、という程度にしかとらえられていない。るいのためならそばにいてやった方がいいが、目覚めてしまった安子にその選択肢はなかったのだ。

もうひとつ、雉真の台所でおはぎを作っているのも驚いた。他に作る場所はないから仕方のないところだが、いくら広いと言っても個人宅の台所。商売となれば、作るおはぎも10や20ではないだろうが、大丈夫なのか。朝食の支度もあるだろうに邪魔ではないのか。小豆の声を聞いている途中で家族から話しかけられるような環境で、微妙なお菓子作りができるものなのか。

その他

  • 勇と千吉が新たなコメディパターンを開発。勇が長ゼリフで雉真の現状を野球に喩える。足袋は一番バッターで学生服は二番バッター……名調子でしゃべり続けるが、内心は、こんなことでいいのか? 父さん、止めるならさっさと止めてくれよ……と思っていたのではあるまいか。しかし真面目な顔をしてふんふんと聞き続けていた千吉は、勇がしゃべり終わるとただ一言、「ちがう」。ズッコケるねえ。
  • 雪衣は勇のことが好きなのだろうが、あからさま過ぎる。部屋へ食事を持って行ってなかなか帰らない。帰るように促され部屋をですが、扉の外でずっと中を伺っている。「気が利く」と褒められて喜んでいるのかも知れないが、勇は、好きな人のことは決して褒められない人間なんだよ……

(2021/12/18 記)


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