第七週「1948-1951」(木)
放送日
- 2021年12月16日
概要
千吉は、入学に必要なものを買い揃えるため、るいを連れて大阪へ。るいは大はしゃぎ。
安子は一人で朝丘神社へ散歩。そこでローズウッドと会う。英語を教えてほしいとの依頼があり、春から週に一度、朝丘神社で英語教室を開くことになった。教材作りが難しい。安子に手伝ってもらえないか? との依頼され、安子は引き受けることに。
雪衣は算太に依頼された繕い物を仕上げ、算太に渡す。喜んだ算太は、雪衣を映画に誘うが、仕事を理由に断わられる。がっかりした顔の算太に雪衣は強い調子で、なぜ安子と算太はこの家に居続けるのか問う。稔の妻だと言うなら家のことをすべきだがおはぎを売り歩くし。雉真の財産狙いで居座っているのではないか――
それを聞きつけた勇に強く叱られる。算太が取りなすが、雪衣は居たたまれずその場を離れる。
大阪では買い物が終わった千吉がるいを連れて病院へ行き、額の傷を診てもらう。
今日の雪衣と勇と算太
雪衣「算太さん、なんで算太さんと安子さんはこの家におるんですか。安子さんは亡うなった稔さんいう人の奥さんじゃそうですけど、じゃったら大人しう家のことだけするんが筋じゃ思います。じゃのに勝手におはぎを売り歩いたり、こねえして……安子さんじゃのうて私が算太さんの服を繕うことだって、納得行きません」
算太「それは、わしが――」
雪衣「早うこの家を出て行った方がええと思います。るいちゃんは別じゃけど、安子さんと算太さんは旦那さまの財産をあてにしてこの家に居座りよる思われても仕方ねえんじゃねえですか」
勇「何を言うんじゃ」
雪衣「違います、違います」
勇「あんたに姉さんの何がわかるんじゃ。姉さんはどないな思いで兄さんと一緒になったか、るいを育てて来たか、姉さんにとってたちばながどねん大事な店じゃったか。なんもわかっとらんくせに、よけいな口出しするんじゃねえ」
雪衣「(土下座して)申し訳ありません、申し訳ありません」
算太「(雪衣に)ええ、ええ。(勇に)勇ちゃん、安子はともかく、わしがただの居候なんは本当のことじゃ。な。勇ちゃん、雪衣さちゃんが安子に出て行ってほしい思う本当の理由は」
雪衣「やめてください!」
雑感
雪衣の本心は?
雪衣の長台詞が今回のハイライト。この意図をめぐってはtwitterでもいろいろな意見が出た。
僕は、勇に対する思い云々よりも、常日頃からの自分の扱いや安子の振る舞いに関して不満がくすぶっていて、それが爆発したのではないかと思う。雉真は大家族ではないが、食事の支度から掃除、来客の対応など、すべきことはたくさんあるだろう。たみさんの時代は、美都里が家の中を仕切っており、かつ、女中ももう一人いたはずだが、今は家を仕切るべき安子が一日中外へ行って家の用をしない。算太という居候やるいという幼子の世話もすべて雪衣がやらなければならない、という不満である。
ドラマ的には、安子や算太のことを世間がどう噂しているかを雪衣の口を借りて紹介したというところではないか。安子は安子なりの思いがあっての行動であり、視聴者は安子よりに見ているが、口さがない近所の人はいろいろ噂をしていることだろう。雪衣はそれを知っていて、やはり世間はそう見るのだ、と背中を押されていた部分もあるのではないか。だから、雪衣をいくら叱りつけても、世間の見方が変わるわけではない。気にしなければいいと言えばそれまでだが。
とはいえ、女中の立場で家の中のことに口を出すのは許されることではない。こんなことを口にし、家の主人に聞かれた以上、もうここで仕事を続けることはできないのではと思うが、果たしてどうなるか。
その他
- 雪衣が大立ちまわりをする前に、勇が庭で素振りをし、雪衣がそれをじっと眺めているシーンがあった。勇は安子のことを考えていたのだろう。勇は昔から悩みごとがあるとバットを振る。それを眺めていた雪衣の視線は粘着質で少々怖かった。以前も書いたが、単に勇にひそかに心を寄せているというだけでは説明のつかない、不審な点が多い。
- 朝丘神社で安子に会ったローズウッドは、最初は「ミセス・キジマ」と声をかけるが、最後は「ミス・キジマ」と呼ぶ。未亡人なのでミスと呼ぶのは間違いではないが、なぜ言い換えたのか。
- 「木漏れ日」に相当する英語はないのだそうだ。sun dappleでは「木漏れ日」という言葉の持つ温かみが含まれないということかな。
- るいを病院へ連れて行き、千吉がどうですかと尋ねた後、医師の説明部分をカットした演出が謎。医師はなんと言ったのだろうか?
(2021/12/30 記)