窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(37):算太の出奔

第八週「1951-1962」(火)

放送日

  • 2021年12月21日

概要

勇は酔って深夜に帰宅。雪衣が迎え入れる。雪衣はケガをした勇にサディスティックに赤チンを塗り付けると、無様だの面目丸つぶれだなどと言いたい放題。これはいったい何事かと驚いて見ていたら、なんと、その夜勇は雪衣を抱くのだった。

算太は朝(恐らく厠へ行こうとして)起きて部屋を出ると、勇の部屋から夜具を着て出てくる雪衣を見てしまう。

その日、算太は背広を着て、通帳と印鑑を持ち、信用金庫へと向かう。が、朝の雪衣を思い出し、36話で一緒に暮らそうと雪衣に言っても返事をくれなかったが既に勇の手がついていたのかあ、ピエロじゃなあわしは……と思ったのか、窓に映る自分の顔を見て自嘲気味に笑う。

安子はるいに、家を借りられることになったら、自分はここを出て算太と一緒に住むと告げる。るいはもちろん母についていくつもりだったが、るいはこの家で暮らすのだと安子は言う。るいは話が違う、ずっと一緒だと言ったと泣く。安子は、るいのためなのだと諭すが……

水田卯平が安子に、算太が信用金庫へ行っていないらしいとの報をもたらす。慌ててあちこち町をかけずりまわり、聞いてまわった結果、どうも大阪へ向かったらしいとわかる。そこで安子は着替えをまとめると、大阪へ向かうことにする。荷造りをする安子を見てるいは、もう新しい家に越すのかと尋ねる。算太が家出したと言えない安子は、たちばなのことで大阪で用事があると話す。

大阪では懐かしい「おぐら荘」を訪ねて泊めてもらうこととし、心当たりを訪ねてまわる。が数日経っても兄の行方はつかめない。過労から安子は倒れてしまう。

今日の雪衣と勇

「無様ですね。そねえことでお酒を飲んで、暴れるじゃなんて。雉真のぼっちゃまの面目丸つぶれですね」

今日のるいと安子

「なんでそねえなこと言うん? ずっと一緒におれるって言いよったが」

雑感

安子の行動が下手を重ねていて、「ムカムカ・エブリバディ」である。

雪衣の正体がわかった!

雪衣は勇と関係があったのだ。それで、これまでの数々の不思議な行動の謎が解けた。勇のことをジト目で見ていたのは、密かにあこがれていたのではなくて、情夫だったからだとわかれば納得である。若い男の家に若い女中がきた、おまけに女は勇の性格に惚れたか雉真の財産に惚れたかはわからないが、その気である、そうなれば関係ができるのはむしろ当然といえる。

安子が来てから勇が自分を誘わなくなって(恐らく)、それは勇が安子に気があるからで、その上千吉が安子を嫁にするように言うので焦ったが、安子にその気はないようだ。そこで勇をけしかけるふりをしてはっきり失恋するのを待った。そうすれば自分に逃げてくるのはわかっていた。その上勇はバカ正直なところがあって、安子に気がありながら雪衣に手を出すことに罪悪感を持っているから、うまくそこを突けば、責任を取ると言い出すかも知れない。

と、そこまで考えていたかはわからないが、今回のシーン、一見勇が無理やり雪衣を襲っているように見えて、雪衣に手玉に取られているのは見え見えだった。したたかな女だなあ、と、ちょっとぞっとした。

なお、twitterでは、この夜初めて関係を持った説と、以前からそういう関係にあった説が割れていた。雪衣の立場を顧みない偉そうな物言いは、関係を持っていればこそで、自分は以前から関係があったことが今日視聴者にわかったのだと見ている。

安子は何を考えているのか

37話で、千吉から、家を出るならるいを置いていけと言われた安子は、るいを置いて家を出るつもりであることをるいに告げる。以前、おはぎの販売は止めないが、るいを連れて行くのはやめろと言われた時と同じ。るいと一緒に暮らすために、雉真を出るのはやめる、という選択肢は安子にはないのだ。勇とは結婚しないが、るいの母としてこれからも雉真に置いてくれと言えば、千吉も勇も受け入れるだろう。なぜそう考えないのか不思議だ。

たちばなを大きくして、できるだけ早くお金を貯めてるいを迎えに行こう、と思っているようだが、そういう問題ではないと思うのだが……

それにしても、算太出奔の知らせを聞いて、自ら大阪に出て行ったのは何といっても悪手だ。

大阪まで切符を買ったからといって大阪にいるとは限らない。仮に大阪にいたとしても、大阪は広い。素人の安子が簡単に探せるはずがない。仮に見つけたとして、兄になんと言うつもりか。金を返せと言って返してくれると思うのか。子どもが迷子になったのではない、大人が意図して家を出たのだ。金を持ち逃げしたのだ。

こういう時こそ、千吉に相談すべきだ。「おぐら荘」のオバチャンは、大人が家出したって警察はまともに取り合ってくれないと言う。その通りだが、千吉であれば、警察に知り合いがいるかも知れない。雉真には顧問弁護士もいるだろう。興信所に頼むこともできる。とにかく、素人が歩き回っても時間の無駄だから、専門家の力を借り、家で連絡を待つのが最善の策だ。

るいは間もなく入学だ。入学式を見に行けばそれでいいというわけではない。こまごまとした準備が必要なはずで、それをしてやれるのは母親の安子しかいないはずだが、簡単に家を出て、何日も帰らない安子の神経は自分には理解できない。父親も、祖母もいない。昼間はるいは一人ぼっちなのだ。

全財産を持ち逃げされ、自分が描いていた将来像が崩れ去ってしまったことで、気が動転し、冷静な判断ができなくなっているのはwかる。ただ、以前から、安子は視野が狭く(若いから仕方ないけど)いったんこうと思い込むと頑なで、人の意見を聞かないところがあるから心配だ。
(2022/01/02 記)


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