第八週「1951-1962」(水)
放送日
- 2021年12月22日
登場人物
- 深津絵里(雉真るい)
概要
入学式の朝、るいがいなくなった。
安子が目を覚ますと、ロバートがそばにいた。昨日からずっと意識を失っていたという。昨日から? ということは今日は入学式だ、行かなければ……と立ち上がりかけるが、力が入らない。まだ熱がある、それにもう間に合わないとロバートは言う。なんでこんなことになってしまったのか。
ロバートはアメリカに帰国しなければいけなくなった。安子に一緒に行こうという。好きだ、愛していると――。その光景をるいが覗き見していた。一人で大阪にやってきて、見てしまったのだ。ショックを受けたるいは、声をかけずに帰る。
安子は、るいを置いてはいけないと答える。ロバートは、もちろんるいも一緒にというが、るいは稔の子だ、雉真から切り離すわけにはいかない。自分はたとえ一緒に暮らせなくてもそばから見守っていたいと、ロバートの求婚を断わる。ロバートは帰る。
雉真の家に電話した安子は、るいの失踪を知る。あわてて岡山へ帰る。
水田家にも協力してもらい、るいを探している途中、きぬが産気づく。
るいが大阪から帰って来たところを駅員が見つけ、保護し、雉真の家に連れていく。雨に濡れた身体を雪衣が拭いている途中で嗚咽が……。
きぬ、出産。
Dippermouthで一人静かにルイ・アームストロングを聴く定一のところへ、健一が帰って来た。
安子が帰宅。るいがいること知り喜び、入学式に間に合わなかったことを詫びる安子に、るいは帰ってこなくていいと言い放つ。呆然自失となった安子が旭川沿いをふらふら歩いていると、ロバートが追いかけてくる。安子は、アメリカに連れて行ってくれと頼む。
10年後……
旭川沿いにいるるいに、勇が声をかける。キャッチボールをしようと。
今日の安子とロバート
「なんでこねえなことに。私はただ、あたりまえのくらしがしてえだけじゃのに」
今日のるいと安子
「I hate you.」
雑感
安子
安子が次から次へと下手を打っていくので、同情もしにくい。入学式は当日だけ行けばいいというわけではないだろう。前日は、着るもの、持ち物の準備、その他、期待と不安が同居する忙しい一日になるはずである。そういうことを誰かに押し付けてるいを一人にしていた時点で、既に「間に合っていない」。
また、るいに嫌われたからといって、だから家を出て行くというのもあまりにも短絡的で、ここはるい、ごめんねごめんねと言って、ねばり続け、仲直りすべきだった。るいはお母さんに放り出されて寂しかったんだから。
そのくらい、兄の全財産持ち逃げというのは安子にはショックで、正常な思考力が失われていたということか。
ちょうどきぬの出産と重なったのも、安子には痛かった。そうでなければ恐らく真っ先にきぬのところへ行っただろうし、そうしたらきぬがなにがしかの知恵を出してくれたかも知れないが、ちょうどきぬは出産中。頼ることも泊めてもらうこともできない。そうした状況が「アメリカに連れて行って」という大胆発言になったのだろう。
るい
そもそも岡山に返ってきてからの一連の安子の行動は、るいにとっては納得のいかないことだらけだったのだろうが、直近では大阪に「たちばなの件で用事があって」行くと言い置いて行ったが、これが嘘であることはるいはすぐにわかったのだろう。それで何日も帰ってこない、何をしているかと思えばロバートとの逢引きだった。るいが怒るのも無理はない。どうせなら、そのあとの「私にはるいが一番大事なんです」と安子が話すところまで聞いていたら、とも思うが、以前にも書いたが、安子は二言目には「るいが大事、るいがすべて」と言うが、安子の行動はるいのためになっていないことが多い。るいはぞれを以前から敏感に感じ取っていたのだろう。
雪衣
37話で、勇と関係があることは判明したが、twitter界隈では、以前から関係を持っていた派と、この夜初めて関係を持った派に分かれていた。僕は明らかに前者だと思ったが、後者の派の人も少なくなかったように思う。しかし、今日の雪衣の悪阻で、以前から関係していたことが明らかになった。
その他
- 36話で千吉がるいに「しいたけが嫌えて英語でなんと言うんじゃ」と訊いているが、これが今日の伏線だったわけね。
- るいから I hate you. と言われた瞬間にすべての音が切れるのは、稔の死を知った時と同じ効果の使い方。
- アバンが長く、最後に主題歌を流して、最後にもうひとシーン、というのは、8話と同じ構成。
- 最後のシーンでるいと勇が黒い服を着ていたのが気になる。まさか千吉の葬式だとか?
- 健一の帰国はめでたいが、ここで時間が流れたら、もう健一の出番はないよねえ。これまで健一にはろくなセリフがなかった。前野朋哉を健一役にした理由はどのあたりに? これからまた登場するのか?
(2022/01/05 記)