窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(91):再度、英語を……?

第19週「1992-1993」(木)

放送日

  • 2022年3月10日

概要

大月家がテレビを買い替え、桃太郎が最後の夏に向けて野球の練習に励む頃、いよいよ本格的な時代劇存続の危機が訪れます。ひなたは外国人観光客をターゲットにした映画村ツアーを提案しますが、上司の反応はいまいち。「時代劇を救ってほしい」というかつての虚無蔵の言葉が、今になって重く心に響きます。帰宅したひなたは、るいが外国人客と英語で話しているところを目撃して……。(NHKオンデマンドの解説より)

雑感

ひなたは、昨日ラストの袈裟懸けで五十嵐のことは吹っ切ったようだ。今日は回想シーンにチラリと出て来ただけ。虚無蔵を呼び止めたのも、五十嵐のことを聞くためではなかった。ひなたは先に進んでいるのだ。

ドラマというより、英語の勉強について私見を述べておきたい。

るいは、ひなたが挫折した英会話の番組を、休むことなく17年間ずっと聞いていたそうだ。突然、大月に外国人客がやってきて、これはなんだと英語で訊かれた時に、回転焼きを援護で説明しているのにひなたが驚いていた。17年、英語講座を聞き続けていれば、この程度の会話は自然とできて不思議はないが、そもそもるいは高校2年までは優等生だったはず。この時の会話は、内容的にはごく初歩的で、中学英語がそこそこわかっていればできて当然。高校を卒業しているひなたが驚く方が驚き、と言いたいところだが、外国人と会話をした経験がないと、そして英語に苦手意識を持っていると、いざ話そうとしてもなかなか言葉が出て来ないものだ。るいの英語力は、中学・高校で語学の基本ができている上に、17年のラジオ講座で「英会話馴れ」していること、そして幼い頃にネイティブ・スピーカーと「会話」した体験などが重なってのことだろう。

外国人客を案内するために英語力を身につけたいと考えたひなたは、母親と同じやり方では17年かかる、そんなに時間はかけられないと、定期預金を崩して英会話学校に通う。るいが話した程度の英会話なら、17年かけずとも、東後勝明先生の英語会話を一年真面目に聞いて練習したらできるようになる、と思ったが、英会話学校の第一回では Nice to meet you. も怪しげだった。このレベルからのスタートとなると、ラジオ講座だけだとそもそも続かないだろう。ひなたは、頭は悪くないと思うのだが、学校での英語の成績はどうだったのだろうか。

ひなたは、週一回コース(97,000円)、週二回コース(187,200円)、週三回コース(270,000円)のどれを選んだのだろうか。一回が45分だから、週一回コースなら三ヵ月では合計9時間。わずか9時間でペラペラになるのはさすがに無理がある。最後の授業は I expect you to come to the party. だった。

twitterでは、高い費用をドブに捨ててしまったね、たった三ヵ月でできるようになるなんて、そんなうまい話はないね、的なコメントが多かったが、そうだろうか。子供の頃、ビリーに話しかけられても何一つ、声を出すことすらできなかった。が、三ヵ月後のひなたは、外国人の入場者に、おばけ屋敷に侍が出ることと、入場料が800円であることを、とにもかくにも伝えたのだ。あれは英語を話したうちに入らない、と言いたい人もいるかも知れないが、英語が苦手な私にしてみたら、逃げ出さず、誰かほかの人を頼りにすることなく、全知全能を使って(身振り手振りや日本語を交えてでも)、とにかく「受付」処理を済ませた、というのは偉大なことだ。もし英会話学校へ行く前のひなただったら、にりーに話しかけられた時と同じく、あわわあわわで終わっただろう。

この、とにかく通じた、相手の言うことがわかった、という成功体験と、800円を英語ですっと言えなかった、とか、幽霊とか落ち武者の英語を知らなかった、という失敗談から、それをモチベーションとして英語の勉強に励むのだ。それを繰り返せば、一年後にはツアーの案内ぐらいはできるようになると思う。

Hold on, Hinata!



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