窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「鎌倉殿の13人」(14)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第14話「都の義仲」

放送日

  • 2022年4月10日

概要

嫡男・義高を鎌倉へ送った木曾義仲は、平家の追討軍を撃退して上洛。敗れた平宗盛は、三種の神器とともに都を落ち延びる。義仲の活躍に焦る源頼朝であったが、義仲と後白河法皇との関係が悪化すると、弟・義経を大将とし派兵することを決断。しかし、利益のない戦に御家人たちが不満を募らせる。八重も気にかける中、義時は……。(NHKオンデマンドの解説より)

前回、木曽義仲が、戦に強く、男気もある、カッコいい武将として登場した。今回は倶利伽羅峠の戦い(1183)に勝利するとそのまま京に攻め上り、平氏安徳天皇三種の神器を持って逃げだした。

後白河法皇にしてもれば本来は武功第一なのだが、牛車からの降り方を知らなかったり、官位がないのに殿上に昇ろうとしたり、自分の(粗末な)刀を法王に献上しようとしたり、三種の神器を知らなかったりと、みやこ人から見て無知・無作法・無教養が極まっており、嫌われ者となってしまう。

戦を知らない法王は、すぐに西国を攻め平家を滅ぼせと言う。体制が整わないまま遠征を重ねたが戦況は一進一退で、いったん京へ引き返すと、平氏と和睦を結んだという噂が流れ、義仲は謀叛者になっており、法王に会うことができない。

事情を知った頼朝は、義仲および平氏追討軍の先遣隊として義経を派遣、本軍として範頼を出兵させることを決める。が、土肥実平、千葉常胤らは、これ以上頼朝についていくことはできないとひそかに密談をかわす……

雑感

今回はかなり駆け足だった印象を受ける。頑張った義仲があっという間に謀反人になってしまった。自分では戦ひとつできないくせに、武士の無教養ぶりを莫迦にするみやこ人に腹が立つし、翻弄される義仲が哀れである。教養といってもその大半は自分たちが勝手に決めたことである。牛車をうしろから降りたっていいじゃないの。

が、一番の曲者は頼朝だ。こうなることを見こして、法王と連絡を取り合い、義仲との共同戦線を避け、いまや義仲征伐を名目に京に兵を派遣する。女にはだらしないが政治はできるのである。

しかし、昔からわからないのが、平氏が天下を取り、源氏の抵抗力を削ぐためにいろいろと手を打ったはずだが、以仁王の令旨ごときで北陸にもこれだけの勢力が集まった理由である。平氏の大将は平維盛で、富士川の戦いでみっともないところを見せてしまったから、この戦は背水の陣で臨んだはずである。率いた軍は10万。どうして負けたのだろうか。また、福井で負けたからといって、あっさり京を明け渡さなければならないほど、平氏の権力基盤は脆弱だったのか。

義経の出陣の際の義高との別れの場面はよかった。義経は、これからオレがこいつの親父を討つ。戻ってきた頃には人質であるこいつは殺されているだろう。もう二度と会うことはない、と思っている。義高は義高で、戦で父に勝てるわけがない、哀れなお方だ、と思っているのである。

寿永二年十月宣旨が発せられたことも触れられているが、あっさりしていた。が、これは朝廷が頼朝に対して東国支配を公認したもので、これをもって鎌倉幕府の成立とする説もあるくらい、重要なものであることを強調しておきたい。

とはいえ、坂東武者たちはふたつに割れている。このままでは足元が危ういが……
(2022-04-11 記)



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