窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

離脱します

19回、今に面白くなるのではないか、今に面白くなるのではないかと思い頑張って見続けて来たが、さっぱり面白くないのみならず、今後とも面白くなりそうな気配が塵ほども感じられないので、見るのをやめることにした。

暢子は明るく前向きでいいキャラだと思うし、黒島結菜川口春奈、上白石萌香、山田裕貴片桐はいりら好きな俳優が何人も登場する。前田公輝は初めて知ったがいい役者だと思う。だから見たいと思ったし、ここまで我慢して見ていたのだが。

沖縄という地には興味があるが、どういう土地柄であるか、どういう歴史があるのか、漫画やドラマで描かれたことを断片的に知っているだけで、よくわかっていない。日本復帰以前についてはなおさらだ。そこがどう描かれるかにも大きな興味があったが、これまでのところ、ドラマが沖縄の地である必然性が感じられない。確かに沖縄料理はいろいろ紹介されたし、お金はドルを使っているし、賢秀はドルの両替詐欺に遭うのだが、ドラマそのものはどこの田舎を舞台にしても成立しそうである。なんのための50周年企画であるか。

沖縄のきれいな自然がたびたび映し出されるのは見ていて気持ちよかった。ただ、島袋しかり、眞境名商事の社長の息子しかり、南山原高校の料理部の面々しかり、我那覇良昭や東江里美もそうだけど、地元の厭な人間が次から次へと出てくるのはなぜなのか。沖縄はあんな人ばかりだと思い込むほど単純ではないけれど、我那覇良昭と東江里美を別にして、島袋らは、なぜあんなに執拗に嫌がらせをするのか理由がわからないから気持ちが悪い。

比嘉家の「貧乏」がひとつの大きな要素になっているはずなのだが、そして夫と若くして死別し、四人の子どもがいるとあっては、貧乏でないはずがないのだが、制作者が貧乏とはどういうことであるかまるで分っていない(としか思えない)描写の連続にも呆れるほかはない。全員が高校へ通えたことも謎だし、賢秀はしょっちゅう飲んだくれているが、あの酒代をどこから調達しているかも大いなる謎である。

ニュースサイトなどでこれに関する記事が出ると、前作でもジョーが働いていないのに回転焼きの売上だけで一か四人が生活できるのかという批判があった、などと比較されるが、全く違う。ジョーは収入こそ得ていなかったが、子育てには積極的に関わっていた(だから結果的にるいが仕事に専念できた)。またその穏やかな人柄は近所でも評判で、商店街での信頼も厚かった(これは店の評判に直結する)。そして、酒を飲まず、浮気もせず、喧嘩もしなかった。浮気や喧嘩はともかく、酒を飲まないのは大きい。酒は金がかかるのだ。

ドラマとしては、話がつながっておらず、ぶつ切りになっている点が致命的だ。借金の問題もそうだし、比嘉賢吉・和恵夫妻が突然出て来なくなったのもそうだが、暢子は幼い頃から食べることが好きで、世界中のおいしいものを食べたいという野望は持っていたが、料理そのものに興味のある描写はなかった。家族で家事を分担する際に、暢子が一番適しているという理由で料理担当になっただけで、特に料理が好きというわけでもなさそうだった。それが今週、一転して、料理の才能があり、料理が好きでたまらない風になっている。「?」である。

幼い頃から「女のくせに」と言われたり「女らしくない」と言われたりしても、気にしている風ではなかった。だから、眞境名商事の専務から「女くせに意固地だね」と言われて突然堪忍袋の緒が切れることに必然性がない。ほかにも「え、そういう話だったっけ、そうじゃなくね?」ということを挙げたらきりがない。

前作だって矛盾はいろいろあった。完璧な整合性よりも、それをしのぐ圧倒的な魅力があればいいのだ。が、これまでのところ、印象の残ったのは、歌子の「アベベはお正月に食べるの?」、智の「おれにとっては歌子が一等賞」、和彦の「賢秀、ガチョーンの使い方間違ってる」ぐらい。いいところもあったんだけどなあ。それにしても歌子役の布施愛織はいい役者だった。またどこかで会いたいものだ。



映画ランキング