窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「鎌倉殿の13人」(30)

2022 鎌倉殿

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第30話「全成の確率」

放送日

  • 2022年8月7日

登場人物

今日の退場者

概要

源頼家に対して呪詛を行った疑いにより詮議を受ける全成。比企能員はその背後に北条家の暗躍があると確信し、対決姿勢をさらに強める。そのころ北条家では、夫・全成を巻き込まれて激怒した実衣が父・時政を追及。名乗り出ようとする時政だが、りくに止められる。義時は北条家を守るために一案を講じ、畠山重忠の助力を得て……。（NHKオンデマンドの解説より）

御所の床下から頼家の名が書かれた人形が見つかり、誰かが呪詛したことが明らかに。真っ先に全成が疑われる。義時は、全成に罪を認めるなというが、取り調べに先立って家の中が捜索され、呪詛に使った道具や頼家の名前を書いた紙などが見つかり、言い開きができなくなった。比企能員は、全成に指示した人がいるはずと、北条の名を言わせようとしたが、全成は口を割らなかった。時政は名乗り出ようとするが、義時が止める。時政が関わっていたことがわかれば、比企と北条の全面戦争になることを憂慮してだ。

全成は八田知家の治める常陸国へ流罪となる。常陸に行く前に実衣と再会した全成は、拷問を受けて傷だらけの全成を見て驚くが、誰も恨んではいけない、私は罪をつぐなうと諭す。

頼家は、有力御家人から土地を取りあげ、それを貧しい御家人に分け与える政策を断行しようとしており、比企能員に、まずはお前が手本を示せと、所領を差し出すよう命ずる。能員は怒り心頭に発し、顔を赤くする。

ひそかに常陸へ行った能員は全成と会い、鎌倉殿が実衣殿の関与を疑っている、このままでは実衣殿が危ないと吹き込み、呪詛の道具を全成に渡す。が、それで再び頼家を呪詛しようとしているところを八田知家の手の者に見つかり、死刑に変わる。八田知家が首を刎ねようとすると、急に雷がとどろき、嵐が吹き荒れる……

雑感

全成の初登場の際、風を吹かせてみてと言われ、九字を切るが、何も起きなかった、というエピソードがあった。その後も、占いは当たらないし、今日の目から見れば当たり前だが、術者としてはほとんど力がないと、視聴者はわかっていたし、全成自身も「自信がありません」と言い、実衣も「うちの人は何もできませんよ」などと言っていた。が、これは「人を恨んではいけない」という全成の心持ちからくるもので、実衣を守ろうと真剣に考えた最期は、奇跡を起こすことができた。術者としての力はあったのだ。

一方、頼家は死にはせず、病気にもならなかった（ちょっと体調を崩しはしたが）。だから本気で呪詛したわけではないんだ、それを示すためのデモンストレーションでもあった、そのことに頼家は気づいて……という見方もあるようだが、力があろうがなかろうが、自分が呪詛されたという事実は、心を大きく傷つける。父親の今となっては唯一の弟であり、人を信じるところから始めてみようと決意した頼家にとっては何より手痛い裏切りだった。

全成は人がいいというか間抜けというか。こういう人は政治に関わってはいけない。実際、これまで直接関わって来なかったからこそここまで無事に生きることができたのだ。時政に何を言われても従う必要はなかった。断わりにくかったかも知れないが、それならまずは実衣に相談すべきだった。

それにしても、人形に呪う相手を明記したり、それをわざわざ御所に置きに行ったり、それを回収し忘れたり、人形を作った時の道具を処分せずに残しておいたり、手抜かりがあまりにも多過ぎる。現代ミステリーなら、証拠が多過ぎるという理由で、逆に犯人ではないと言いたくなるほど。

比企能員は、乳母だというだけでは頼家は自分の言うことを聞かない、これが一幡なら自分は外祖父として力を振るえる、と言う。現在の外祖父の時政は権力を振るっているようには見えないが、最近は目に余る行動を繰り返しているにも関わらず、誰も止められないのは、外祖父であることが効いているのだろうか？　それはともかく、能員の言うことはもっともである。ただし、それは幕府の基盤が盤石であり、将軍が誰であっても構わないような支配体制が確立できていることが大前提だ。江戸幕府は初期と末期を除けばこの体制ができていた。それに比べて今の鎌倉は、基盤は脆弱で、将軍家に力はなく、主要な御家人が離反したら成り立たなくなるのは明白。御家人同士が協力して鎌倉を大きく、強くすることが何より必要であって、そのためには将軍も将軍たるべき人が務めなければ成り立たない。頼家も若く、経験不足かも知れないが、5歳の一幡など話にもならない。義時や畠山重忠など、こころある者が心配しているのはそこだろう。

政子が義時に、いつまでこんなことが続くのかと問い詰める場面がある。が、ここ最近のトラブルのほとんどはりくが発信源である。政子だってわかっているはずだ。義時に八つ当たりするくらいなら、直々にりくに引導を渡してはいかがか。

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