窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」(13)「凍った時間」

地上波での放映は(まだ)ないので、オンデマンドで見た日付で記事も一致させる。

題名

  • 凍った時間

登場人物

あらすじ

ムントは事故で脳以外はほとんど機械になったサイボーグだ。町を歩けば人々から奇異な目で見られ、そのため人目を避け、誰にも会わず、地下で一人で暮らしている。ある時、突然電気が消え、電話をかけてもどこにも通じない。外の世界に何かあったのかと、久しぶりに地上に出てみると、神経性の毒ガスが撒かれ、人々は道に倒れていた。マスクをかぶった人間が活動中。革命が進行していたのだ。ムントは革命のリーダーを狙撃。革命は失敗に終わり、平穏な暮らしが戻る。世界を救ったムントだが、人々はそれを知らない。また、ムントに差別的・侮蔑的視線を投げかけ、ムントは地下に戻る――

雑感

人知れず世界を救い、それを知らない人からさげすまれる、という話は面白いが、ムントが住むのは倉庫のような殺伐とした部屋で、そこそこの広さはあるが、ソファとベッドがあるだけで、本棚もテレビもないようだった。事故の補償もあっただろうに、なぜこんな部屋で暮らしているのか不思議である。

ガスで倒れた人はスマホを手にしていた。してみると物語は現代だ。だとしたらムントだってパソコンかタブレットスマホは必須だろう。緊急事態が起きて、電話で外界(?)と連絡を取ろうとするのはいつの時代の話かと思う。今ならまずネットを見るだろう。革命グループも、ネット上に何らかの声明を出しているのではないか。

なぜムントは毒ガスに平気だったのか。ロボットだからか。が、可能部が機械でも脳が人間のものなら、神経ガスにやられそうだ。地下にこもっていたから、といっても別に機密シェルターのような御大層なものではない。ただ普通の部屋で孤独にしていただけだ。その程度でガスを避けられたのなら、やられたのは道を歩く人だけで、世の中のほとんどの人は無事だっただろう。

話は面白いが、リアルに描くと粗もはっきり見えてしまう。59年以上前の話だが、時代劇として描くのか、現代の話として描くのか、現代の話として描くならば、もっときちんと作り直す必要があると思う。


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