窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「舞いあがれ」(008)

第02週「ばらもん凧(だこ)、あがれ!」(水)

放送日

  • 2022年10月12日

概要

舞は、祥子が瀬渡しの仕事で乗っている船の名前がめぐみ丸という母の名前がつけられていることを知り、なぜ母と祥子が14年間も音信不通になっていたのかを祥子から聞き出す。そして祥子は本当はずっとめぐみと会いたかったこと。舞や悠人と会いたかったこと。そして今、舞と一緒に暮らせて嬉しいことを語る。そんな祥子は、磯釣りの客を船で連れていく。舞は生き生きと船を操縦するおばあちゃんの姿に感心する。(NHKオンデマンドの解説より)

祥子は、悠人が生れた時にばらもん凧を作り、舞が生れた時にも新しく作ろうとして作りかけになっていたことを思い出し、舞と二人で急遽、続きの作業を始め、完成させる。が、凧作りに夢中になって、客を迎えに行くのを忘れてしまう。慌てて迎えに行くが、客はかんかん。祥子はひたすら謝る。

そんな祥子を見て、舞は、「失敗は悪いことではないんでしょ」と口にし、祥子は笑顔を取り戻す。

一太が舞を誘いに来、舞は元気に出かけて行く。そんな舞を見て祥子は「もう少したいね……」とつぶやく。

雑感

ナレで前回から匂わされていたが、何が起きるのかとハラハラのし通しだった。焦って近道を通ろうとして大けがをするとかも想像したが、幸いそこまでのことはなかった。が、この商売をする者としてはあってはならないミスだった。

お弁当を持ってきていたから、もともとは無人島に送ったあと、迎えに行くまでは港で過ごすつもりだったのだろう。そうしていれば忘れることもなかったのだろうが、ばらもん凧を舞に見せたい、と思って帰宅したのがそもそもの失敗だった(もっとも、この時点で11時だったから、本来なら時間の余裕はあったのだが)。

作品の良し悪しに関わることではないが、ちょっとリスク管理が気になった。twitterでは「アラームをセットしておかないと」という声もあったが、そもそも個人管理にしているのはマズイと思うのだ。

釣り客は祥子に直接申し込んだのではなく、観光協会だかに予約をし、そこから祥子に指名があったのだろう。客の予定は協会側も把握しているはず。迎えに行く時間なのにまだ船がある、祥子さん何やってんの? みたいなことにはならなかったのだろうか。

もし祥子が迎えに行くのを忘れたまま寝てしまったら、あるいはケガや病気で意識不明になったら、客が島に取り残される。そうなったら祥子個人ではなく五島全体の問題になるわけで、もう少しフェールセーフが働かなかったのかな、と。

そもそも客が急に体調を崩したり、滑って転んで大けがをすることもあるので、緊急事態でも約束の時間まで迎えに来ないというのも怖い。無線を貸し出すとか、連絡が取れるようにしておくべきなのでは、と思うが、実際にはどのように運用されていたのだろう。そう考えると、今は携帯があることの有難味を実感する。

今回は、しっかり者と見えた祥子の内面の吐露(めぐみにずっと会いたいと思っていたとか、めぐみに再開した時に涙ぐんでいたとか)があった。この時の舞のセリフは、ちょっと狙っている感もあり、僕はそれほどとは思わなかったが、朝イチで横澤夏子が号泣していた。その様子を見て、もらい泣きしてしまった。

舞の心の腑を抉るような質問にも、ごまかそうとせず、言葉を選びながら答える祥子。何度も何度も瞬きをして、何を考えているか、表情で雄弁に物語る。素晴らしい演技だった。

祥子が客のことを思い出すのは、おやつ時を狙って一太が遊びに来たから。恐らく一太は常習犯なのだろう。普段ならここでおやつにありつけるというわけだ。だが、これは、祥子のような一人暮らしや高齢者のみの家への「見守り」でもある。一太は島の安全に一役買っているのだ。

ラストの「もう少し」というセリフに戦慄した。元気になったら五島を出て行ってしまうのか? 東大阪にいた時は毎朝熱を測るのが習慣だったのが、だんだん熱を測らなくなったり、一太が遊びの誘いに来た時、「遊びに行ってええ?」と許可を求めることなく自分で判断して出かけて行ったり、舞が心身ともに、どんどん元気になっていくのは嬉しい限りだが、別にこのままずっと五島でのおばあちゃんとの生活を描いてくれてもいいんだけどな。


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