窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「舞いあがれ」(064)

第14週「父の背中」(水)

放送日

  • 2023年01月04日

概要

工場嫌いの悠人が珍しく工場にやって来た。舞は誇らしく工場を案内する。そこで働く笠巻や結城に会釈する悠人だが、工場内の機械を物色するように一回りすると、お好み焼きのうめづへ行くと浩太やめぐみに会うそぶりも見せず、工場を後にする。舞、笠巻や結城も悠人の珍しい来訪を不思議に思う。(NHKオンデマンドの解説より)

悠人は結局自宅で食事をするが、めぐみからはもっと帰って来られないのかと責められる。また、浩太に「工場売ったらどや」と言って喧嘩になる。悠人は、借金は増えているんだろう、今ならまだ機械もきれいだし買うところはある、これ以上傷口を広げないことが大切だと説くが、浩太は、これまでコツコツやってきて、やっとここまできた、手放すなどできないとハナから悠人の話を聞かない。悠人が、損切ができないのは自分の間違いを認めたくないからだと言い放つと、浩太は「帰れ!」と怒鳴り、悠人は家を出て行ってしまう。

翌日、「ノーサイド」に悠人を呼び出した舞は、工場を立て直す方法を考えてほしいと兄に相談するが、悠人は舞に、お前のやっていることは無責任だと言い放つ。

感想

「悠人、もっと頻繁に帰って来られないの?」と言うめぐみさんが象徴的だ。そうじゃないだろうと思う。まずは「忙しい中、寄ってくれてありがとね、顔見れて嬉しいわ」じゃないのか。悠人は受験も仕事も人一倍頑張って、成果も出しているのに、両親から褒められたことが一度もないのではないか。

悠人は両親に褒めてもらいたいんだろうな。認めてほしいんだろうな。頼りにされたいんだろうな。あんな言い方はないでしょう、と舞は言うけど、反省して態度を改めるべきは、浩太やめぐみの方だと思う。

悠人は、貯金を崩して給料を払っているという話を聞いて、いくらなんでもそれはマズイと悠人なりに気にし、アドバイスをしに来たのだろう。言い方に気をつけないと浩太を怒らせるだけだぞ、と以前書いたが、工場を売ったらどうか、という提案は、悠人なりに、精一杯ていねいに、誠実に説明したと思う。

もっとも、リーマンショックを知っているわれわれ視聴者は、悠人の言い分が正しいとわかるけれど、渦中にいる浩太やめぐみに理解しろと言っても難しいのも事実だろう。もう少し頑張れば、いずれ好転するはずと思いたいのだ。でもそんなに簡単に好転しないのだ。きちんと状況分析のできている悠人だけはそれがわかっているのだが。

舞が両親のことを心配するのはいいのだが、だから工場で働く、というのは悪手だと思う。以前にも書いたが、外で働いてお金を家に入れる方がいい。この点も、悠人の意見に賛成だ。悠人が姿を見せたら、舞が「お兄ちゃん」と駆け寄り、「工場を案内したげるな」と言って工場内を連れ歩く。こんなの、舞が社長の娘だから許されることで、一般従業員だったらこんなことはできない。こういう人がいたら、他の従業員はやりにくいだろうなと思う。

舞が久留美から、「柏木さんとはどうなっているの?」と訊かれ、「たまにメールしている」と答えたのはよかった。久留美にそう訊かれるまで完全に柏木のことは忘れていた表情だったからだ。このまま柏木が出て来なくなっても、「柏木くんはどうなったの!?」と詮索する視聴者は、一人もいない、と思う。



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