窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「虎に翼」(043) 直言の圧巻の長ゼリフ

第09週「男は度胸、女は愛嬌?」(水)

放送日

  • 2024年5月29日

概要

直言は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子の様子がおかしいが、はるや直明も声がかけられない。それから直言はみるみる衰弱。自分が長くないと悟った直言は家族を枕元に集める。直言の身勝手な言葉に怒った花江は寅子にきちんと怒って向き合ってほしいと頼む。(NHKオンデマンドの解説より)

花江が「お父さんのしたことは酷過ぎる、寅ちゃんはちゃんと怒った方がいい」と言ったのをきっかけに直言の懺悔が始まったが、隠していたのは寅子が可哀想だからではなく、「今寅子に倒れられたら我が家は困る」と考えたからだと言い、さらに、寅子の結婚相手は花岡がよかったなどと言い出して周囲を唖然とさせた。その上、直道があまりに優秀だから、本当に自分の子か疑ったこともあると言うに及んで家族は言葉も出ない。

その後も次々と隠し事を告白。言うだけ言ってすっきりした直言は、その数日後に息を引き取った。

今日の花

「お父さんとは生きているうちにお別れできるんだから」

今日の直言

「……うちの家族は女が強いから直道と一緒にこっそり鮨を食いに行ってごめん。寅子が見合いに最初に失敗した時、嫁にいかないで嬉しく思ってしまってごめん。優未を高い高いした時、鴨居に頭をぶつけてしまったことを黙っていた。ごめん。直道が死んだあと、闇市でこっそり一人で酒を買って……」
「いったんやめてくれる? まだ続く?」
「あ、あと少し」

感想

直言の長ゼリフを堪能する回。いい人であるには違いないが、情けないといえば情けない、ダメな人といえばダメな人。根は正直者なんだけど、嘘もつくしごまかしもする。ただ、家族を愛していた、それだけは本当だった。人間くさい父であった。岡部たかし、これにてクランクアップ。お見事。

花江が寅子にちゃんと話をするよう促した後の「お父さんとは生きているうちにお別れできるんだから」は、考えてみれば「お父さんはもう死ぬ」という意味であり、酷い言葉だが、両親を空襲で亡くし、言葉を交わすこともできなかった花江にとっては、体裁ではなく魂のこもった言葉だっただろう。(2024-06-24 記)



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